熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

2000キロを渡る蝶・アサギマダラ

2007年04月30日 | 地球温暖化・環境問題
   春たけなわ、私の庭にも蝶が舞い始めた。
   蝶の喜びそうな花は咲いていないので、また、ひらひらと飛び去って行くのだが、それらしき木があるので卵でも産み付けるのかも知れない。
   昨年8月に、NHKのクローズアップ現代で、日本列島を東西南北に2000キロメートル以上も渡る蝶がいると言って詳しく報道していた。
   このブログでも触れたが、この口絵の写真の翅を広げると19センチメートル程度のアサギマダラと言う蝶である。

   最新のナショナル・ジオグラフィック5月号に、「海を渡る蝶アサギマダラ」と言う記事が載っている。
   この蝶を見つけた人は、蝶の翅に、見つけた場所や日付をマーキングするので、アサギマダラの途轍もない渡りの実態が分かるのである。
   南遥か南西諸島で生まれた蝶が、沖縄、日本列島を越えて、サハリンまで渡ったのが記録されていると言うから驚きである。
   この記事に、アサギマダラの写真が載っていて、翅に書き込まれたナガノ、アシズリと言う字が読み取れる。長野から足摺岬まで旅をしたことだけは、紛れもない事実であろう。

   蝶の飛翔を見ていて、人間の歩く早さより早く飛んで移動して行くのは分かるのだが、それにしても、あの小さい身体で2000キロメートルと言うのは大変な距離であり、生命力の凄さに恐れ入る。
   エネルギー効率だけ考えても、今の化石燃料に依存している人間世界の効率の悪さに愕然とせざるを得ないが、逆に、イノベーションによって、人間のエネルギー効率のアップは、まだまだ、無限にあると言うことであろうと慰めを感じている。

   昔、「人の言うことを聞かない男と地図が読めない女」とか何とか言った本が売れていたように、人間には方向音痴が結構多いのだが、アサギマダラの場合には、本州から沖縄の南大東島まで1000キロメートル飛んだ蝶が4例記録されているという。
   全く、途中に立ち寄るべき島もないのにどのようにして飛び切ったのか。
   NHKのテレビでは、大海原に死んだように浮かんでいたアサギマダラが、急に飛び立つのを放映していたが、例え、水の上に浮かんで小休止出来る能力を持っていたとしても、大荒れに海が時化る時もあろうし、何日も安全に飛び続けられるとは限らない。
   都合よく南大東島に向かう船がある筈もないし、ジグザグに移動しても、島と島の間の距離は大変なものであろうし、大体、どうして方向を察知するのか。
   あの小さな燕でさえ渡りの神秘さに驚かざるを得ないのだが、ほんの吹けば吹っ飛ぶような紙のようなアサギマダラの強靭さに脱帽せざるを得ない。

   アサギマダラは、何故、亜熱帯の南西諸島から亜寒帯のサハリンまで、気の遠くなるような遠距離を渡るのか。
   人間のように観光旅行や見聞を広める為に旅をする筈がないから、当然、生きる為、子孫を残す為に渡って行くのである。
   アサギマダラ自身は、遠い祖先から受け継いで来た運命であり、体内に埋め込まれたDNAであるから、この渡りの艱難辛苦を何の苦とも思っていないかも知れない。
   しかし、大切なことは、このような多くの生き物達が必死になって生きることによって我々の宇宙船地球号が成り立っていると言うことである。
   人権が大切だと人々は叫ぶが、この地球は、生きもの総ての地球であって、その総ての生き物が共存共栄しながら成り立っているエコシステムなのである。
   生きとし生けるもの総てが、生きる権利を持っている筈の、この均衡を保って息づいている地球のエコシステムを、無謀にも人間は破壊しつつある。
   たとえアミーバのような単細胞の生き物でも、一度破壊されて死滅すると永遠に再生不可能か、或いは、可能であっても、その為には悠久の時間を必要とする。

   生きとし生けるもの、生きる為に食べ、子孫を残す為に恋をする。
   アサキマダラも、人間も少しも変わらないが、人間には智恵があるばかりに、自分の力を過信して、この地球が、そして、自然が、自分たちのためだけにあるものと錯覚している。自滅の道を歩みつつあるのも意識せずに。
   友を求めて囀る小鳥達を、そして、花から花へと無心に飛び交う蝶を見ていると、その神秘さに感動して、ついそんなことを考えてしまう。
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不都合な真実(本)・・・アル・ゴアの地球人への遺言

2007年04月18日 | 地球温暖化・環境問題
   アフリカの秀峰キリマンジャロの頂を荘厳していた真っ白な雪が消え、ヒマラヤなどの世界各地の名だたる山岳氷河がドンドン後退して消えて行き、3000メートルも厚さのある南極の氷床が轟音を立てて崩れ続けている。
   このままの状態が続き、南極とグリーンランドの半分が溶けたり割れたりして海中に滑り落ちると、世界中の海水面は6メートル上昇して、オランダは殆ど水没し、上海周辺では4000万人、バングラディッシュとカルカッタでは6000万人が家を失う等世界各地で多くの国土が水没する。世界地図を根本的に書き直さなければならなくなるのである。
   このような地球環境の大激変が、人間の暴挙による地球温暖化によって益々進行し、人類を未曾有の危機に追い込んでいるのである。

   アカデミー賞を獲得したアル・ゴア元副大統領の映画「不都合な真実 AN INCONVENIENT TRUTH」のブック・バージョンを読んだのだが、1960年代から地球温暖化に関心を持って問題を追及してきた筋金入りの環境主義者アル・ゴアの使命感と情熱に感激し、ことの重大性を革めて喚起された。
   自然のエコシステムを破壊し続け、地球環境を危機に追い込んでいる真実を誰よりも熟知し、政治の舞台で最高峰に上り詰めた政治家であり、あらゆる問題点を的確に把握しているので、論点には些かの迷いもなく正鵠を得て清々しくさえある。

   冒頭に、アポロ8号から撮影した有名な美しい地球の写真を示し、カール・セーガンの言う「球にニスを塗ったそのニスの厚さしかない薄い地球の大気」の組成を、「温室効果ガス」の中でも最も大きな鍵を握る二酸化炭素の量を増大させて変えてしまった。
   このために地球上の各地の温度がドンドン上昇し、海水温度の上昇をもたらし、1970年以来、猛威を振るう大型の暴風雨は、大西洋でも太平洋でも、その勢力を保つ期間も強度もかっての約1.5倍になっている(MIT)。このことはハリケーン・カタリーナが証明した。
   このほか、スマトラ沖地震やヨーロッパの熱波、オーストラリアの旱魃など地球の反撃とも言うべき異常な天変地異でもその自然の驚異の増大が顕著だが、早晩、保険業界が引受を拒否する事態になろうと言う。

   経験したこともないような恐ろしいナチスの嵐が、ヨーロッパ大陸を襲った時、イギリス国民に告げたウインストン・チャーチルの言葉を引用してゴアが警告を発する。
   「先送りや生半可な対策、聞えの良いよく分からない急場しのぎ、遅延の時代は終わりつつある。その代わりに私たちは、結果の時代に入りつつあるのだ。」

   さんご礁の破壊と赤潮の発生、旱魃と洪水。
   新興感染病の発生と絶滅病の復活。
   人口増、特に都会の人口増と貧困の深刻化。
   熱帯雨林等森林破壊と緑地の後退、砂漠化。
   水資源の枯渇の進行。 等々ゴアの追及は止まる所を知らない。

   アル・ゴアは、自分の目の前で、最愛の息子が車に跳ねられて10メートル吹っ飛び、ずずっと歩道を這ってピクリとも動かなくなったのを目撃し、死地を彷徨うわが子を前にして、殆ど絶望に近い辛苦と艱難に呻吟した過酷な経験をしている。
   そして、無二の姉弟であった姉を煙草の吸い過ぎで失くし、タバコ産業の悪辣さを知り尽くしている。
   このような悲しくも過酷な経験を通して、神が、ゴアに、人間の命が、そして、家族が如何に大切かを教え示し、この人間が生きている瀕死の状態の、美しかった地球船宇宙号を死守すべき大切な使命を与えたのであろう。

   笛吹けど汝等踊らず。アル・ゴアが、地球の温暖化を阻止する為に、早くから国会等に働きかけたが京都議定書を破棄されるなどアメリカの世論は踊らず大変な苦労を続けてきたが、特に、ブッシュ政権の背信行為と環境問題軽視は極に達している。

   ブッシュ大統領は、就任第一週目に、二酸化炭素排出量を規制すると言う選挙運動中の約束を反故にし、温暖化汚染物質を制限する為の政策は総て断固として阻止する方針を固めて、既存の法規制を後退させ、弱め、そして可能な場合には、全く失くしてしまう為の全面的な努力を開始したのである。
   京都議定書の批准拒否などは序の口で、温暖化に対する警告をしようとしたNASAのジェームス・ハンセンをはじめとする政府機関の科学者さえ黙らせようとし、ほんの数ヶ月前にも、科学者達から報告数字を改ざんさせられたと抗議を受けている。
   今回の「国連の気候変動に関する政府間パネル」の報告でも、ブッシュ政権は強引にレポートを修正させている。

   ゴアは、ニューヨーク・タイムズがすっぱ抜いたフィリップ・クーニー事件に言及している。
   ブッシュ大統領は、米国石油協会のロビイストとして温暖化に関する情報に関する情報かく乱を担当していたフィリップ・クーニーを、2001年にホワイトハウス直属の環境問題諮問委員会委員長に採用し、科学的な訓練を全く受けていないにも拘わらず、環境保護庁をはじめとする連邦政府の省庁から出される温暖化に関する公式な評価に手を入れたり検閲する権限を与えた。
   クーニーは、温暖化が米国民にもたらす危険について言及している箇所には一つ残らず、微に入り細に入り手を入れていたのである。
   ニューヨーク・タイムズの修正記事のコピーをゴアは本書に掲載しているが、これでクーニーは首を切られたが辞めたのは2005年6月で、翌日、驚くなかれエクソン・モービルに入社しているのである。
   
   ブッシュ政権とエクソン・モービルなどの石油、石炭、電力・ガス会社を中心とした小規模だが潤沢な資金を持った特別利益団体が、地球温暖化をめぐって科学者の意見が真っ二つに割れているとメディアを利用して報道させてきた。
   しかし、過去10年間に論文審査を受けて科学の学術雑誌に発表された「地球温暖化」に対する論文928の内、温暖化の原因を人為的であることを疑う論文は皆無だった。
   サイエンス誌のドナルド・ケネディ編集長に、「科学において、この件に関する意見ほど皆の見解が一致することは、稀である。」と言わしめた由縁である。

   アメリカの民主主義とは、一体何なのであろうか。
   さらに、イラク戦争に伴うブッシュ政権の経済界との癒着である産軍複合体について考えると、もう気が遠くなって頭がおかしくなってしまう。
   火星人が、自分たちの歴史に次のような文章を書き残すかも知れない。
   「21世紀に、地球上では、ブッシュと言う偉人がいて、地球と人類の破壊に最も貢献してくれたお陰で、我らの天下が早く到来した。」
   
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滅び行くゾウの王国

2007年03月10日 | 地球温暖化・環境問題
   3月号のナショナル ジオグラフィックの地球の悲鳴特集は「滅び行くゾウの王国」である。
   餌を探しに保護区である公園の外に出て行く800頭のゾウを先導するのは年老いた雌。家族の安全を守るためにけもの道や渡河地点、人間の住居や道路など危険が潜む所や、食料となる草や水のありかなどを知り尽くしている、賢くなければ生き延びれない。  
   それでも、毎年、膨大な数のゾウが密猟者に殺されて、絶滅の危機に瀕している。
   1970年代前半からゾウの数は急速に減っていて、今では、大規模な生息地はアフリカ全土で2箇所だけで、それでも夫々4000頭に足らないのだというのである。
   サバンナを突き進むそんなゾウの大群、顔を切り刻まれた無残なゾウの死体、水場に殺到するゾウ、牙をささげるレンジャー隊員、流石にナショナルジオグラフィック誌で、そんな生々しいドキュメンタル写真が、ゾウの悲劇を生々しく伝えている。

   サハラ砂漠の南方、中央アフリカのチャドにザクーマ国立公園が出来てゾウが保護されているが、狭くて食料がなくなるので、ゾウたちは春から秋にかけて公園外に出るので、この管轄外の公園外で、アラブ人遊牧民の密猟者たちの餌食になるのだと言う。
   この3月号には、密猟者とレンジャーの銃撃戦、死体となって残されたゾウの象牙解体状況等レポートされているが、実に悲惨で悲しい。
   1979年から1990年にかけて50万頭のアフリカゾウが殺されており、1989年にワシントン条約によって象牙取引が国際的に禁止されたにも拘わらず、いまだに象牙に対する需要が高いのだと言う。

   巨大なゾウを殺して2本の象牙を得たとしても、密猟者の手に入るのは、精々2~3袋の雑穀と少しばかりの砂糖とお茶くらいで、何百頭のゾウを殺しても貧しいだけだと言う。
   意図的かどうかは知らないが、「中国では象牙の利用が急増し、インターネットで世界中に向けて販売されている。」書いているが、中国人は金になるなら何でもやると言うことなのであろうか。
   アニーと言う雌ゾウにGBS発信機を付けたら、86日間で1634キロメートルの旅をしたのだが、公園の北側で密猟者に殺されてしまったと言う。
   地図上に描かれたアニーの縦横無尽に動き回った旅の軌跡が実に切ない。

   話は変わるが、
   アメリカには、National Wildlife Federationと言う環境保護団体がある。
   このホームページを見ると、北極熊の救済キャンペーンを行っている。
   地球温暖化の影響を受けて、北極海の海氷が年々解けて後退し始めており、年間2万3千平方マイル、言い換えれば、10年で9%減少している。
   北極熊は、海氷の上からアザラシを取って生活しているが、この地球の温暖化の進行による海氷の後退によって、住んでいる陸地から海氷が遠くなって泳げ着けなくなり、それに、より晩秋になって氷が張りより早く初春に氷が解けるので海氷期間が短くなって生活圏が急速に狭まって来ており、生存の危機を迎えている。
   劇的な変化は、この生活圏の縮小によって、小熊の出生一年目の生存率が、1980年代及び1990年初には65%だったのが現在では43%になってしまったと言う。

   随分、前のことだが、アラスカで地元優先プロジェクトでエスキモー人グループと仕事をする機会があった。
   記憶に間違いがなければ、確かローカルのハンターに年間2頭の白熊のハントが認められているのだと言っていた。この権利を、白人ハンターが買うようであった。
   アラスカ鉄道で、雪原を走ったことがあるが、カリブーやヘラジカなどが車窓から見えた。
   イエローストーンやフロリダなどの国立公園で自然に生活しているバイソンやコヨーテ、ワニなどを見たが徹底して自然環境が守られている。
   アフリカと違って、このようにアメリカではレンジャーがしっかりしておりワイルドライフ保護が徹底されている。
   しかし、悲しいかな、いくら国立公園や保護区での監視が徹底していても、地球規模の温暖化や環境破壊による野生動物たちの生存圏縮小の脅威には勝てないのである。
   
   イギリスにも、The Wildlife Trustsと言う野生動物保護団体がある。確か、フィリップ殿下が総裁をされていた筈だが、イギリスのあっちこっちにパンダの献金箱が置かれていた。
   ナショナルトラストの国であり、伝統や自然環境を高く評価する国民性なので活発な活動をしているのだろうが、在英時には、接触する機会はなかった。

   イギリス人が、日本の鯨について文句を言ったので、狐狩りは野蛮ではないのかと応酬したことがある。
   あれは、スポーツだと言い逃れていたが、結局、動物愛護協会の圧力によって、その後、禁止された。
   私は、欧米人が自然を人間の対極の存在と看做して克服すべき対象としているものの考え方より、森羅万象ことごとく神だと考える東洋の思想の方が、自然との共生を重んじており殺生を嫌うので高級だと思っている、と言ったのを覚えている。

   先日、佐渡のトキセンターが野生に放ったトキの兄妹が恋をして、遺伝子的に劣勢の雛が生まれると困るので引き離したと言うニュースが出ていたが、ほほえましい話で、保護もここまで来たのである。
   人類は、これまでに、気の遠くなるような過去から生きてきた数え切れない動物や植物、或いは、人種までも、絶滅に追い込んできた。
   無限の年月を経て生まれ進化を遂げてきた動植物は、一度、絶滅してしまうと、永遠に地球上から消えてしまって再生は不可能である。
   人類の自然に対する罪はあまりにも重い。
   
   戦後の混乱で疲弊していた日本に、インドのネルー首相が愛娘インディラの名をつけたゾウを贈ってくれて日本中が沸いた。
   あのゾウが地球上から消えてしまうとは思えないが、知らない間に、危機はそこまで近づいて来ているのである。
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資源と環境が支える地球と人類の未来・・・東大130周年記念シンポジウム

2007年02月03日 | 地球温暖化・環境問題
   三日節分の日の午後、東大安田講堂で、「資源と環境が支える地球と人類」と言うテーマで、サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)が公開シンポジウムを開催した。
   東大が中心となって日本の著名大学を糾合したサステイナビリティ研究団体が、同一の目的で結成された国際研究型大学連合の協力で開いたシンポジウムで、「資源と環境によって持続可能な地球と人類の将来をどのように構築するのか」と言う重要な問題提起で、講演と討論が行われた。

   小宮山宏東大総長が、趣旨説明「サステイナビリティ学の世界的研究拠点形成を目指して」
   奥田碩トヨタ相談役が、基調講演「産業界における資源・エネルギー問題とサステイナビリティ」
   川口順子元環境大臣が、基調講演「もっと環境先進国へ―あなたの選択が温暖化を防ぐ」
   G.ブルーワー・イエール大教授が、基調講演「未来を創る:持続性へのシナリオ構築」
   
   続いて、
   武内和彦東大教授の司会で、
   一昨日パリで報告されたIPCCの世界気候変動報告を作成したTERIのリーナ・スリバスタバ執行役員
   欧州科学芸術アカデミー・ピーター・ウイルダラー・サステイナビリティ高研所長
   松雄友矩東洋大学長
   G.ブルーワー・イエール大教授
   が加わってパネル討論会が、「資源・エネルギーから考える持続可能な未来社会」をテーマに展開された。

   極めて重要なテーマで、著名な後援者を得てのシンポジウムであった所為もあって、東大の安田講堂は満員で、13時から17時まで殆ど途中退出者がないほどの熱気に包まれた集まりであった。
   私自身も、この日もダブルブッキングしていて、11時からの歌舞伎座での仮名手本忠臣蔵の冒頭の「大序」だけを観て、残りの松の間刃傷や切腹、城明渡し等々の舞台を断念して東大に向かった。歌舞伎は、まだ、今月一杯はあるが、このシンポジウムは今日限りだからである。

   奥田相談役は、
   昔は「品質の良い魅力のある製品を安く生産」すればよかっが、現在では、環境や資源エネルギー問題に十分配慮して、豊かな生活増進の為にサステイナブルな社会を目指すことが必須である。
   自動車産業にとっては、環境、資源・エネルギー対策は、企業の社会的責任のみならず、生き残りに向けた最重要課題であると同時に、競争力確保の為に極めて重要である。と述べ、サステイナビリティ確保に向けた対策について、トヨタの事業のみならず、日本経済についても熱っぽく語った。
   トヨタの取り組みについては、後10年位は石油エネルギーが続くであろうと言いながら、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、バイオ燃料対応車、燃料電池自動車等について動向を語りながら、リサイクルへの取り組みについても説明していた。
   新興国の台頭によるグローバル経済の拡大で、消費地に近いところで生産すると同時に、世界的な規模で最適調達・最適生産を求めて産業立地を追求するとする企業戦略を語りながら、自動車産業にとって生命線でもある資源エネルギー・材料素材の確保について、発明等の新しい技術革新によるブレイクスルーの大切さと政府の外交努力の大切さについて協調した。
   BRIC’s等の新興国の技術的なキャッチアップについても速度が加速化しているので、その先を行くイノベーションの追及が必要だと言う。
   
   私自身としては、財界天皇であった奥田相談役の立場では当然だとは思うが、イノベーションや技術的ブレイクスルーによって経済社会が発展して行く、そして、新興国の工業化とその参入によってグローバル経済が拡大して人類社会の発展が進行して行くと言った趨勢について、殆ど疑問を抱いていないような話し振りに一抹の不安を感じて聴いていた。私自身は、一本調子のこの発展をどこかで停止ないし方向転換しなければならないと思っているからである。
   そして、政府の資源エネルギー確保、貿易拡大のための2国間のEPA(経済連携協定)やETA(自由貿易協定)の促進について手放しで期待を表明していたが、ステイグリッツがアメリカの2国間貿易協定が、多国間自由貿易体制への動きを徐々に衰退させ、自由貿易の基礎である総ての国を対等に扱うべしと言う基本ルールに反すると言って反対していた、のを思い出して聞いていた。
   強力な交渉力を持つアメリカが発展途上国と結ぶ協定の結末は火を見るより明らかであり、また、2国間協定で特権を得た国々が特権の剥奪を意味する多国間協定に反対するなど弊害が多すぎると言うのである。

   さて、川口元大臣だが、京都議定書作成時の当事者なので、その経緯や問題点などを語っていた。
   最大の問題は、アメリカと中国、インド等の大エネルギー消費国の参加を得ていないことで、2008年のアメリカ大統領選挙とこれらの国を含んだG20会議時期あたりに抜本的な協定が締結されることを期待すると希望的観測を述べていた。

   ところで、今回IPCC報告を作成したインドのTERIのスリバスタバ女史が、インドに限定してと言ってインドの将来について語っていたが、やはり、新興国のインドとしては、経済社会開発については欧米や日本の後追いをする模様で、もしこのままならどうするのか暗澹たる思いで聴いていた。
   恐らく中国でもそうで、新興国が欧米並みの経済社会の繁栄を求めて何が悪いのかと言う発想は十二分にあると思われる。
   しかし、中国とインドがアメリカ並みの経済段階になって消費生活に参入すれば、間違いなく地球のエコシステムは崩壊する。
   どうするのか、先進国だけ括った京都議定書など無意味なのであろうか。

   もう一つ、水資源のエキスパートの欧州科学芸術アカデミーのウイルダラー氏は、水資源は総体としては十分にあるのだが、世界的な都市化によって人口が人口稠密な都市に集中しており、そのために局地的な水資源の枯渇が最大の問題だと指摘したことである。
   現実に、更に、環境汚染などの為に更に水資源の問題が深刻化して来ている。

   松尾東洋大学長は、現在東洋大において、「共生学」を立ち上げて研究していると説いていた。
   地球の持続性の前提は地球共同体における「共生」の実現にあるので、「共生」の概念の確立を求めて「共生学」を立ち上げるのだとして、哲学的アプローチから学際的な学問展開を図っているのである。
   
   東大と京大に、サステイナビリティ学部を創設して、政治家のタマゴを要請すべきであろう。
   
   
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食料と燃料間でトウモロコシ争奪戦

2007年01月25日 | 地球温暖化・環境問題
   昨日、ブッシュ大統領の年頭教書に触れてバイオ燃料について考えて見た。
   日系ビジネスの最新号で、「穀物争奪戦の隠れた主役 エタノールメジャー ADMが食料も燃料も支配する」と言う面白い特集を組んでいる。
   最近、トウモロコシ相場に大異変、短期間に、2倍近く高騰したのだが、その火元となったのは、シカゴ商品取引所ではなく、イリノイ州の人口8万人の片田舎にあるADM(アーチャー・ダニエル・ミッドランド社)でエタノール生産を拡大した結果だと言うのである。
   レスター・ブラウンが恐れている食料と燃料との穀物争奪戦が始まっている。

   ADMは、1923年の創立、売上高4兆3800億円、純利益1500億円、従業員2万6千人。社長はパトリシアウオルツ女史でメジャー・シェブロン出身で、カーギルに次ぐ大穀物会社でありながら、石油メジャーに殴りこみをかけようと言うのである。
   昨年のブッシュ大統領の年頭教書のエネルギー政策で、エタノールの使用量に対する数値目標が設定され、ADMのエタノール生産に拍車がかかった。
   1980年代にM&Aを重ねて穀物メジャーに躍り出たのだが、更に、エタノール以外にアジアのパーム油事業などバイオ燃料等エネルギー事業の強化をも図り始めている。
   
   食料と燃料を押さえる戦略は、原材料となる穀物の仕入れ力を高める。更に、ADMは、食料と燃料を同時に扱っているので、両方の相場を見て、より高い価格で売れる分野に穀物を流せるので、利幅を思い通りに拡大できる。
   ADMのディーリングルームには、各地の穀物、燃料、為替それぞれの相場が電光掲示板に表示されていて、トレーディング担当者が売買しているのだと言う。
   日本の農協もエネルギービジネスのスタディを始めた方が良いかもしれない。

   ところで、環境問題や代替エネルギー政策の振興によりエタノールへのトウモロコシ需要が拡大して、トウモロコシ価格が上昇すれば、穀物の世界では連鎖的に他の穀物の値段が上がる。
   大豆畑をトウモロコシ畑に転用可能なので、大豆の値段が上がり、他の作物も連れ高になる。
   更に悪いことには、そのトウモロコシを飼料として使っているので、当然、鶏や牛の価格も上がらざるを得なくなる。食品価格の高騰、そして、極貧国の人々の生活の圧迫等不幸な連鎖の先駆けとなる。
   ジム・ロジャースが、石油や原材料等の商品への投資を推薦していたのは慧眼だったのであろうか。

   さて、このバイオ燃料を日本で生産することについて、エネルギーの外国依存が多少解消出来てセキュリティ上有利であるとか、農業振興とか、或いは、環境問題への配慮等々考えられるが、どうせコスト上外国製品と対抗出来ないので、現在の石油や食料のように輸入に頼らざるを得ない。
   セキュリティさえ考えなければ、生産資源を他へ転用した方が経済上遥かに有利である。

   また、食料供給と人口との問題は、マルサスの人口論以降何度も繰り返されている人類にとって最大の問題だが、今回のバイオ燃料との資源争奪戦は、燃料原料として使用される分は完全に食糧供給から蚕食されるので、更に、そして極めて深刻な問題である。
   エタノールを生産することは、既存の天然資源の枯渇を招く訳ではなく再生可能ではあるが、農地、電力、水資源等々生産資源の割譲移行と言う問題を伴っており、他の必需品の生産を圧迫する心配も出てくる。
   有利なバイオ燃料生産のために更なるイノベーションが必要だが、食生活の安全とは関係ないので、バイオ燃料用には遺伝子組み換え作物の開発が進むであろうと考えられる。神の手の導きに逆らって、更に、自然界に手を加えて変化を加速することが、人類にとって良いことかどうか、問題となろう。
   再生可能、代替燃料としてのエタノールだが、未来のエネルギーだとして、手放しで喜んでばかりも居られない。要するに、大切なことは、省エネ。宇宙船地球号の大切な資源を浪費してエコシステムを破壊しないことである。
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バイオ燃料に託す・・・未来のエネルギー源か

2007年01月24日 | 地球温暖化・環境問題
   昨夜のブッシュ大統領の年頭教書スピーチをCBSテレビの電子版で見た。
   50分弱の演説だが、始めは通しで、次は、ホワイトハウスのホームページからプリントアウトしたTEXTを見ながらポイント点だけ聞いた。
   相当部分はイラク戦争での自己主張や今回の増派等についてだが、丁度、前日に、Bio Fuels Wrold 協議会主催の「バイオ燃料の未来~安定供給に向けた今後のシナリオ~」と言うシンポジュームを聞いていたので、ブッシュ政権のエタノール燃料に対する対応に興味があった。

   ブッシュ大統領は、大きく膨らむ未来への希望と機会は、アメリカ経済を持続発展させ環境をクリーンに保つことの出来るエネルギーの安定供給にかかっていると問題提起しながら、まず、長年に亘る外国産石油への依存の危険性、エネルギー源の多様化の必要性、そして、クリーンな石炭技術、太陽光や風力、クリーンで安全な原子力等による発電について言及した。
   続いて、ハイブリッド・カー、クリーンなジーゼル車、バイオジーゼル燃料の必要性を語り、更に、木材チップ、雑草、農業廃棄物等あらゆる物(everything)を原料にしてエタノールを生産できるような新しい生産システムを開発する為に投資の必要性を説いた。

   今後10年間に、アメリカでのガソリンの使用量を20%削減し、それによって、中東からの石油輸入量を4分の3削減する。
   この為に、代替エネルギーの開発が必須であり、2017年までに、現在の法定目標の5倍の350億ガロンの再生可能燃料や代替燃料を要すると言う燃料基準を設定し、同時に、車に対する燃費基準を改革して85億ガロン以上のガソリンを節約しなければならないとも言及した。

   興味深いのは、京都議定書を蹴って、環境問題について殆ど一顧だにしなかったブッシュが、珍しく、過度な石油依存症から脱却する為の技術開発の必要性を説いた後で、このような技術が、グローバルな気象異変に対する深刻な挑戦(the serious challenge of global climate change)に直面する助けになるであろうと言って、気候異変について言及したことである。
   各州が環境保護に動き始め、産業界からも強力な環境保全要求が起こり始めており、いくら石油業界の利益代表であり大企業利権擁護派のブッシュでも、愈々抵抗出来なくなって来たと言うことであろうか。

   日本は、3%エタノールを混入したガソリンの試用段階だが、アメリカでは5%基準で動き出しているようで、エタノール先進国のブラジルには及ばないが、エタノール生産量はほぼブラジルに追いつきつつあるようで、バイオ燃料生産に関する研究や技術開発が相当進んでいるようである。
   このバイオ燃料の開発及び増産は、原料となるトウモロコシなどの農産物を生産するアメリカ農業にとっては朗報だが、スティグリッツによると補助金漬けでやっと国際競争力を維持している状態であるから、アメリカ経済にとって別な影響を与えるかも知れない。
   日本の場合は、バイオ燃料の生産がまだ小規模の段階なので生産コストが高くて、ヨーロッパのように補助金で埋めるか税金を免除するなどしないと競争力がない。しかし再生エネルギーであり地産地消であるなどメリットは多い。
   何れにしろ、トウモロコシ生産のためには膨大な量の水資源が必要で、中国ではエタノールは難しかろうと言われているが、先日、地球の悲鳴についてのブログで言及したアマゾンの環境エコシステムの破壊や水資源に対する国際紛争などセキュリティの問題もあって、石油からエタノールへの転換と言っても、グローバルベースで色々な資源や環境問題を引き起こす心配がある。
   
   日本でも、バイオ燃料普及へ新法を制定する検討に入った。
   将来3%基準のバイオ燃料の混合比率を上げて行くようになるのであろうが、安価なエタノール等を大量生産するためのもっと革新的なイノベーションの開発のみならず、導入に伴う関連産業への対応など経済社会体制の整備も含めて問題点は多い。

   余談だが、もう30年近く前、サンパウロで自動車(フォードが現地生産していたマベリック)を運転して坂道(坂が多い)を上り下りしていたが、ブラジルのガソリンは混ぜ物が多くて、よく運転中にプシュっとエンジンが止まって困ることがあった。
   その後、ブラジルは、石油危機でブームが終息して、経済が異常に悪化して、ガソリンの代わりにアルコール自動車の開発を始めた。必要は成功の母の正に実例で、農業国ブラジルの再生可能な代替エネルギーへの転換が始まったのである。
   その後、アルコール混入自動車に乗ったが異質感はなかった。好い加減なガソリンに慣れていたので、ブラジルのエタノール転換技術の開発が早かったのではないかと素人考えで思っている。
   
   再度付言するが、レスター・ブラウンが言うように、ガソリンからエタノールへの転換は、エタノールの原料がトウモロコシや小麦などの農産物であれば、穀物価格を吊り上げて、食糧危機に泣くアフリカやアジアの極貧国の人びとの生活を更に悪化させる。
   それに、水資源の浪費と世界的争奪戦が始まるのみならず、地球の砂漠化等の深刻な環境問題も惹起する。
   バイオ燃料への転換は、あくまで資源の用途の転換であって、革新的な技術開発で不要な廃棄物や雑草や雑木など未使用の資源を活用してバイオ燃料を生産しない限り、根本的な問題の解決にはならないのである。
   

   
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地球の悲鳴・・・消え行くアマゾン熱帯雨林

2006年12月30日 | 地球温暖化・環境問題
   環境問題については、このブログでも何回も書いたが、「宇宙船地球号」の危機に関しては極めて悲観的である。
   人類の叡智は、大津波と同じで襲って来るまではその危険に気付かないと言う歴史の繰り返しでありいまだにこれから一歩も出ていないし、自然環境の破壊によるエコシステムの崩壊に関しては、起これば最後で人類の滅亡待ったなしであるからである。
   人間は考える葦だとパスカルは言ったが、考えてなどいない唯の弱い葦に過ぎない、一吹きの蒸気で死んでしまう弱い生き物に過ぎないのである。

   ナショナル・ジオグラフィックが、この1月号から、100周年を迎えたチャンスに「かけがえのない地球を守る」キャンペーンとして「地球の悲鳴」と言うシリーズ企画を打ち上げることにした
   第一回目に「アマゾン 消えゆく地上最大の熱帯雨林」を特集して、如何に、最後に残された自然の宝庫であるアマゾンが崩壊しつつあるかを克明に綴っている。
   この口絵写真は、30年前にブラジルで発行された観光ガイドの写真の上にナショナル・ジオグラフィックの表紙を重ねたものだが、熱帯雨林が鬱蒼と繁茂するアマゾン流域と切り裂かれてたった1本だけ木の残った台地との対比が象徴的である。
   ブラジルの大地はテラロッサなので強烈な赤茶色で、ジャングルに切り開かれた道や農地の毒々しさは異様な光景である。
   私は、ブラジルの真っ赤な川の流れを上空から始めて見たときにはビックリしてしまった。

   ところで、ナショナル・ジオグラフィックは、
   「ブラジル・アマゾンの熱帯雨林は、この40年間に20%近くが消滅した。これは、欧米諸国が南米に進出し始めて450年の間に失われた森林の総面積を上回る広さだ。今後20年間に更に20%が失われると見られ、そうなれば森林の生態系は崩壊する。」と言った出だしで、如何にアマゾンの熱帯雨林が危機的な状態にあるのかを語っている。
   農業やその他の開発で毎年2万平方キロの熱帯雨林が失われており、最近ブラジル政府が6万5千平方キロの特別保護区を設けて国立公園や先住民居住区などの保護区を加えて開拓の拡大に対抗する「安全の砦」を設置したが、森林の違法乱伐や土地泥棒達の跋扈が後を絶たず、森林の消滅には歯止めがかからないのだと言うのである。

   私がブラジルにいた頃は軍事政権であったが、あの頃に設定された法律で林業や牧畜に重点を置いて有力者達に土地を与えており、その不在地主である特権階級が独占した土地が大規模な乱開発の元凶であり、本来アマゾンのエコシステムを守り森の恵を共有していた小集団を駆逐しているようである。
   アメリカ生まれのスタング修道女が、皆で力を合わせて環境に対する意識の高い闘う共同体を作り、自分達の生活の場を奪おうとする暴力的な人びとに抵抗しようとして頑張っていたが、乱開発土地泥棒の用心棒に射殺されてしまった。
   森林破壊の元凶は道路で、公道以外に、マホガニー等の高価な材木を伐採する為に17万キロに及ぶ違法な私道が建設され、その後に、土地の不法占拠者が入り込み、ブラジル政府の「環境再生可能天然資源院(IBAMA)の役人を抱きこんで偽造した伐採許可書で熱帯雨林を蚕食して行く。
   魚の骨のように白く剥き出しになった道路網が原始林を引っかくように写っている写真を見て、その醜悪さに暗澹としてしまった。   
   
   手薄なIBAMAの役人の監視監督が殆ど機能せず、無法者の乱開発者が我が物顔に振舞っているだけではなく、アマゾンを抱え込むマット・グロッソ州のブライロ・マジ知事は、世界最大の大豆生産会社の社長で、森林資源を搾取するグループの代表格だと言う。
   もっと悪いことに、アマゾン地域に、アメリカの農機具メーカーが5店舗も出店しており、ADM,ゲンブ、カーギルと言った米系食品多国籍企業のサイロが林立している。市場原理主義で金儲けなら何でもすると言う米国主導のグローバリゼーションの毒牙と魔手がアマゾンのエコシステム破壊の片棒を担ぎ始めているのである。

   京都議定書を拒否するブッシュ政権を支える多国籍企業の倫理概念がどの程度なのか、昔、学生時代に米国の多国籍企業が如何に中南米の経済を食い物にして来たのかを学んだ記憶があるが、何十年経っても何も変っていないのであろうか。

   それよりも、アマゾンの熱帯雨林の消滅だが、地球規模で対処すべきこの重要な問題は到底ブラジル政府の手に負える仕事ではない。
   人類の将来に対する存亡の危機だが、アメリカが頼りにならない今日、これこそ日本政府が先頭に立って戦略を立ててブラジルを助けるべき緊急の課題のような気がしているのだがどうであろうか。
   
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温暖化でアルプス・スキーが出来なくなる?・・・OECD

2006年12月19日 | 地球温暖化・環境問題
   先日、OECDが、地球温暖化の影響を受けて、アルプスの雪が少なくなって10%位のスキー場が通常の営業を行えず、地域のスキー場の経営のみならず地域経済に打撃を与えつつあると発表した。
   現在アルプス地域に666のスキー場が存在するが、気温が1度上がるスキー場の数が500となり、4度上がると200くらいに減少してしまうと言うのである。
   人工雪の活用も考えられているが、その為には水やエネルギーの消費が拡大し、周りの景観やエコロジーを破壊する恐れがあり、アルプス地域の経済全体に大々的な影響を与えると言うのである。
   氷河の後退を避けるためにプラスチック・シートで氷河を保護しても更に温暖化が進めば手の施しようもないし、スロープを掘り込んで地盤を変えたり水路を変更したりしても、自然環境にダメッジを与え洪水や岩石の崩落を引き起こす心配があるので、営業時間を短縮するなど現状維持がやっとだと言うことらしい。
   それに、このまま温暖化が進んで行って、ある水準を越えてしまうと打つ手ががなくなってしまう。
   一番被害を受けているのはドイツで、続いてオーストリア、フランス、イタリアの順で、スイスの被害が最も少ないと言うのだが、この地方の観光収入、特に冬季のビジネス収入は経済に大きな影響力を持っているのである。

   私はスキーが出来ないのでスキー場に行ったことがないので詳しいことは分からないが、旅行の途中にアルプスのスキー場は側で見ている。
   シャレードの冒頭、ヘップバーンが子供に水鉄砲で撃たれるあのレストランのあの席付近に座って長い間華麗にスキーを楽しむスキー客を見ていたし、マッターホーンのケーブル駅から多くのスキー客が3000メートルの高みから一挙に滑降していくのを見たこともある。
   ダボスの国際会議に出席した時も、休みの時に、ホテルの横のケーブルカーでスキー客に混じって頂上まで上ってスキー客の優雅な動きを追っていた。
   何れにしろ、冬にスイスを訪れて雪に覆われたアルプスの景観を楽しもうと思うような観光客はマイナーで、ケーブルカーや登山電車の乗客の殆どはスキー客なのである。

   地球温暖化については、人類の大半は気にもかけていないと思うが、オゾン層が破壊されて大変なことになると言った高度なエコシステムの破綻問題などは別にして、誰にも分かることは、南極や北極の氷が解けて水面が上昇して行き、少しずつ我々が住んでいる陸地が沈んで行くと言うことである。
   モルジブなどで水没が心配されているし、ヴェニスでも洪水の時には殆ど水没するので水面の上昇は脅威であり、そんなところが世界いたるところに出現している。

   私が地球温暖化しているのを一番感じるのは京都の紅葉の時期である。
   京都で学生生活を送っていた頃は、確か、11月のはじめの文化の日のあたりで紅葉を楽しめたが、最近では11月の末頃になり、今年は12月に入ってからだったという。

   ところで、このOECDの「Adapting Winter Tourism and Natural Hazard Manegement」だが、正式なレポートは、来年2月に発行されるようだが、「OECDは、気候変化がヨーロッパのスキービジネスを恐怖に陥れていると警告」と言った簡単な事前報告では、自然現象の変化が、如何に人類の将来にとってシアリアスかと言った根本的な問題については一切触れられていない。
   地球のエコシステムにおいても、煮え蛙現象が起こるのではなかろうかと心配するのは、どうも私だけのようである。
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黄河が死んでしまう・・・中国の深刻な水不足

2006年07月08日 | 地球温暖化・環境問題
   宇治で学生生活を送っていた時、世紀の歴史学者アーノルド・トインビーの「歴史の研究」を読んでいて、挑戦と応戦によって文明が発展すると言う理論を知って痛く感激した。
   ローマ神話やゲーテのファーストを引用しながら、トインビーは「外部から進入するインパクトは、その突き当たる対象に、一番刺激的で効果的な変化を誘発する刺激を与える」と説く、すなわち、歴史上、極めて厳しい自然環境においては、自然がそこに住む人間に苛酷な試練を与えるので、人々は生き抜く為に必死になってそれに応戦して文明が発展進歩する、と言う「挑戦と応戦」の理論である。

   古代文明の発展について例証し、中国文明が、自然環境に恵まれた揚子江の流域ではなく、自然の厳しい黄河の流域に発展したことを説いていた。
   この中国文化の揺籃の地黄河をいつか訪れたいと思っているが、残念ながらまだ果たせていない。

   杉本元上海総領事によると、この中国文明を支えてきた大動脈「黄河」が、断流現象を起こして、97年には、河口から華南省鄭州までの1千キロに及んで226日間断流して、その年、黄河に水が1日中海に流れ込んだのは僅か5日しかなかったと言う。
   かっては、黄河の中上流には豊かな森林と草原が存在していたが、唐代以降森林破壊が続き、今では、上流に建設された3千百余りのダムで水を止め、水を乱用し、無駄に蒸発させて自然な還流システムが働かなくなってしまっている。
   1億5千万の人口を要する流域で水の取り合いが深刻となり、三門峡ダムなど8つの発電所の稼働率は3分の1だと言う。

   もう20年以上前になるが、上海から船に乗って揚子江の河口に出た。対岸など勿論見えないし、滔々と流れる、しかし殆ど波のない静かな暗い黄土色の海のような川面を古風な帆掛け舟が過ぎ去って行くのを感慨深く見ていた。
   しかし、この豊かな筈の揚子江の方も危ないと言う。揚子江の水自体の汚染が極めて深刻で、その最大の原因は現在建設中の三峡ダム。ダムが完成すると、揚子江上流600キロの水流が止まり、川ではなく巨大な人口胡となり、水を堰き止めるので、本来機能していた自然の浄化機能を奪ってしまい、今でも深刻なヘドロや悪臭の対策はどうなるのか、大変な問題だと言う。
   ソ連が崩壊した後で北欧を訪問した時、ソ連の豚飼育の汚物の垂れ流しでバルト海が殆ど死んでしまっていると聞いた事があるが、リバイヤサンとなってしまった人類は、自然のエコシステムなどいとも簡単に破壊してしまうのである。

   余談で、不見識かと思うが、三峡ダムの話で、オランダのポルダー、海岸線を延々と続く大締め切りダムのことを思い出した。
   第2次世界大戦で、オランダは、大堤防を破壊されると国が壊滅するので、抵抗できずに涙を呑んでヒットラーの蹂躙に従わざるを得なかった悲しい歴史を持っている。
   さすれば、この三峡ダムに対して中国は如何に国を守るのか、国防・安全上極めて危険な状態に立つことになる。
   もし敵が中国を攻撃しようと思えば、北京や上海をターゲットにする必要はなく、核弾頭なしの通常のミサイル一発を三峡ダムに打ち込めば十分で、上海等流域にある中国の大動脈に壊滅的な打撃を与えることが出来るのである。
   
   話が横道に逸れてしまったが、沿海部での大都市では、地下水の乱開発で地盤が沈下して海水が流れ込んだり、農村部の地下水位の低下は極めて深刻だと言う。
   中国では、穀物生産の70%以上灌漑用地で生産しており、生活水準の向上により米や肉の消費が進めば、更に水不足は深刻となり、そして、首都北京の水不足はもっと危機的に悪化しており、また、地方によってはあっちこっちで水難民が出ている。
   原材料不足や電気不足で生産が止まるなど中国経済に警鐘を鳴らしているが、早晩、水が足枷になる時期が到来しそうである。

   中国の驚異的な経済発展など陽の当たる部分のみ強調されて、世界大国への道を突っ走っている姿のみがアピールされている
   しかし、この水不足を筆頭に、エネルギー問題、公害、農村の貧困、苦難、不振等の「三農問題」、地方と都市の経済格差の拡大、貧富の差の拡大、役人の腐敗、等々中国には極めて深刻なネガティブ要因が目白押しで、何時これらが爆発するか予断を許さないと言う。

   (追記) この口絵の写真は2年前に訪れた時の西湖である。美しく優雅で詩心を誘う佇まいであったが、汚染が進んでいると言う。ここで遊んだ古の詩人達はどう思うであろうか。
   上海は、凄い公害で、晴れた美しい日は一日もなかったし、空気が息苦しい。何十年前の臭いの酷い水俣や煤煙の降る尼崎を思い出した。
   パリの街角に迷い込んだと思えるようなシックで優雅な上海があり、また、戦後の日本の闇市のような裏町の上海がある、そんな複雑怪奇な中国が隣にあることを忘れてはならないと思っている。
    

   
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人類は危機に瀕した地球を救えるか・・・レスター・ブラウンの叫び

2006年05月24日 | 地球温暖化・環境問題
   地球環境問題では世界的権威であるレスター・ブラウンの『経済発展と食料・エネルギー・環境問題~地球環境の視点から~』と言う貴重な講演を聴いた。
   第一回三井物産環境基金セミナー~環境と経済~の一環で、その前に、同じ演題で寺島実郎氏が、世界経済の現状を分析し、
21世紀に入ってから、世界全体が異様なまでに経済の高度成長の同時化局面に突入して、三つのE,即ち、エコノミー、エンヴァイロンメント、エネルギーのバランスを崩して、持続可能な成長を危うくする危険な状態にあることを説いた。

   レスター・ブラウン氏の主要論点を私なりに纏めると次のとおりである。

   現在、世界経済は、地球の自然の限界を超えつつあり、人類の文明は衰退し崩壊しかねない状態にある。
   人類全体の需要が初めて地球の再生能力を超えたのは1980年頃だが、一度再生可能な範囲、即ち、自然の限界を超えて崩壊すると取り返すことが不可能となり、シュメールやマヤやイースター文明のように滅び去ってしまう。

   これを回避する為には、化石燃料依存型で車中心の使い捨てのオールド経済から、『リサイクルやリユースのニュー経済(エコ・エコノミー)』に切換わらなければならない。
   風力、太陽光、地熱、水力、バイオ燃料など豊富な再生可能エネルギー源が主流となろう。
   風力発電、自転車専用道路、屋根上ソーラーパネル、古紙再生施設、森林再生などのエコ・エコノミーが一つづつ増えるごとに維持可能な経済環境に近づく。

   ピークオイルが何時来るのか分からないが、既に需要が供給をオーバーして石油の高騰が続いていて諸物価に影響を与えているが、更に高騰すると食料物価に大きく影響する。
   何故ならば、「口にするものは殆ど何でも自動車の燃料になる」ので、スーパーとガソリンスタンドが、小麦、トウモロコシ、大豆、サトウキビ等の農産物をめぐって競争するからである。例えば、小麦ならスーパーではパンに、ガソリンスタンドではエタノールに形を変えて。
   食料の供給力の圧迫と高騰は、食料としての穀物を輸入出来なくなる世界の最貧国を直撃することになる。

   石油は中東の一部の国に依存しグローバリゼーションを促進してきたが、エネルギー源が風力、太陽電池、地熱等再生可能なものに移行してくるとローカリゼーションが進むことになる。
   石油や資源、農産物等供給過剰基調の余剰の時代から、不足の時代の地政学が出現し、中国やインドの加入により熾烈な争奪戦の時代に入っている。

   未来は中国を見れば分かる。中国が成長を維持しアメリカ並みになるのが2031年だとし、その時アメリカ並みの生活を維持するなら世界の資源は悉く危機に瀕するのは自明の理であろう。  
   グローバル化し相互に依存する経済では、「一国の混乱」は「世界の混乱」を引き起こす。
   国家の利益と言う概念が意味を成さない時代に突入してしまったことを忘れてはならない。

   新しい経済の鍵となるのは、市場にエコロジーの真実を正しく伝える機能を持たせることである。
   共産主義は市場の真実を伝えることが出来なくて滅びたが、このグローバル化した世界も、生態系エコロジーの維持保全に如何にコストが掛かっているかを市場に伝えて、資源を野放図に浪費するいびつになった経済を立て直さなければならない。
   長江流域の大洪水で中国が、『地に生えている木が伐採された木の3倍の価値がある』ことを悟って森林伐採を禁止した。
   環境維持保全コストを加味した環境税の導入も有効であろう。
   
   レスター・ブラウンは、気が遠くなるほどの現実を前にしても希望を持っている。
   汚染と破壊と紛争の世界から、現状維持のプランAではない「プランB」を提案して希望の世界を目指そうと提案している。
   1.総ての環境破壊は事実上自分達がもたらした
   2.超工面している問題は、いずれも既存の技術で対処できる
   3.世界経済を環境的に維持可能な道に導く為に、しなければならないことはすべて、一つ以上の国で既に実現している
と言っている。
   アメリカや中国の入っていない京都議定書の不備を言うのではなく、もう待ったなし、気付いて立ち上がった国、人々からプランBを実践してこの地球を守っていこうと提言しているのである。

   私もレスターブラウンにエールを送りながら「プランB」にサインを貰って握手し会場を後にしたが、書物を求める若い人々の長い行列が、マンダリンオリエンタルの3階ロビーを埋めていた。
   
   余談だが、私の学生の頃に、アウリオ・ペッティ氏が中心となって出版されたローマクラブの「成長の限界」と言う本が世界中で話題になった。
   やはり、経済成長の問題を真摯に捉えて世の中に人類の将来に対して警鐘を鳴らした本だが、丁度、その後アメリカに行ったので関心を持って勉強した。
   メキシコのモンテレィに行った時、フィラデルフィアでの友人であったリカルド宅にお世話になったが、工業都市でその一部だが公害が酷くて、持っていた日本版「成長の限界」を置いてきた。

   マルサスの人口論もそうだが、地球危機説は繰り返す歴史的事象だが、さて、今回のレスター・ブラウンの警告は無視できるのであろうか。
   ブッシュ政権の環境政策のお粗末さは言語道断だが、日本も京都議定書の排出基準を守れないと言う。

   
   

   

   
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チャールズ皇太子の挑戦

2006年05月01日 | 地球温暖化・環境問題
   ナショナル・ジオグラフィック5月号に、「英国皇太子チャールズの挑戦 農業と町づくり 独自の改革を進める」と言う記事が載っていた。
   ヘレフォードシャー州の納屋の立替工事で建築家と打ち合わせている写真を掲載し、「彼は、14世紀以降、歴代皇太子が受け継いできたコーンウォール公領の改革に取り組んでいて、王室の威光と公領の経済力を活用し、環境や伝統を守りながら事業活動を行って、それが収益を生むことを示そうとしている。」と解説している。

   チャールズ皇太子が、自分のコーンウォール公領で、環境に負荷をかけずに長く続けられる”持続可能な(Sustainable)”農業を様々な形で試みていることは有名な話で、自分の経営する有機食品会社ダッチー・オリジナルが燕麦で作ったオート・ミール入りビスケットが、スーパーのテスコや海外でも売れに売れて生産が間に合わない位だと報道されていた。
   有機食品以外にも天然ウール製品や色々な牧畜農業関係の製品を売っていて、2000年に14億円だった公領収入が、2004年には27億円に跳ね上がったと言う。

   私は、チャールズ皇太子が、現代の都市開発を嫌い、古き良き時代の心地よい田園生活をこよなく愛していることを知っている。
   皇太子の道楽ではなく、徹頭徹尾の環境保護主義者であり古き良き英国を再現したいと思っていることは間違いない。

   もう、18年ほど前になるが、ロンドンのシティで、私が、大きな都市開発プロジェクトを担当していた時に、シティ・コーポレーションが晩餐会を開催し、チャールズ皇太子がゲスト・スピーカーとして招待された。
   その時、私は招かれて、数人のシティのお歴々と会場の前に並んで皇太子をお出迎えした。
   シティでの開発プロジェクトについて少しご説明申し上げたが、「アーキテクトですか。」と聞かれた事だけは覚えているが、何を説明したのか何を言われたのか全く何も覚えていない。
   この時の握手した手の感触と、少し後に、別なレセプションで同じ様にダイアナ妃をお迎えした時の彼女の柔らかい手の感触だけはかすかに残っている。

   問題は、この時のチャールズ皇太子のスピーチの内容で、激しい口調で、当時ビックバンに湧くシティの乱開発について批判し、当時のシティの都市景観は、ナチスの空爆によって破壊された戦後のシティのスカイラインよりも遥かに酷いもので、「Rape of Britain」 だと糾弾したのである。
   チャールズ皇太子のシティのイメージは、丁度セント・ポール寺院が軍艦のように洋上に浮かんでいるシティなのだが、既に周りの色々な高層ビルが寺院を威圧してしまっていた。
   それに、悪いことに、イギリスの開発許可は、個々のプロジェクト毎に認可されるので、そのデザインについては統一性がなく、各個区々なので都市景観の統一性がないために、パリのように都市そのものの纏まりがなくて美観に欠ける。

   その後、BBCがチャールズ皇太子のこの見解に沿った特別番組を放映し、チャールズ皇太子がテームズ川を行く船上から、「あの建物はパソコンみたいで景観を害する・・・」等々問題の建築物を一つ一つ批判したのである。

   同時に、「A VISION OF BRITAIN A Personal View of Architecture」1989.9.8が出版されたので、チャールズ皇太子の一石が、英国建築界とシティ開発などに大きな波紋を投げかけて大論争になった。
   この時、私の友人のアーキテクトが推進していたセント・ポール寺院に隣接するパターノスター・スクウェアー開発プロジェクトも頓挫してしまって、三菱地所による開発が完了したのはほんの数年前のことである。
   この時のBBC番組のビデオ・テープと本は持って帰った心算だが、紛失してしまって今はない。
   
   その後、もう一度、景観保護団体の集会があり、チャールズ皇太子を先頭にシティの古い街並みを歩きながら勉強する会があったので参加した。
   この時は、後のレセプションでチャールズ皇太子と5分ぐらいお話しすることが出来た。
   丁度、日本への訪日前だったので、興味を持たれて色々聞かれたが、日本の経済や会社の経営については非常に評価しているので勉強したいと言われていた。

      

   
   
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人類の文化遺産を守る・・・文化を破壊する戦争の惨禍

2006年02月25日 | 地球温暖化・環境問題
   有楽町朝日ホールで、日伊シンポジューム「人類の遺産 国際協力で守る」が開かれて、日伊の文化遺産の保護・修復に携わる専門家の先生方が出席し、遺産保護の状況の説明および今後の対策や国際協力等について討論を行った。
   世界文化遺産の赤十字運動を推進している平山郁夫氏(ビデオ出演)やイタリア文化省J.プロイエッティ局長などの総括講演の後、日本とイタリアのこれまでの文化遺産保護活動について具体的に説明が行われた。

   日本の場合は、タリバンによって破壊されたバーミアンの大仏やカンボジアのアンコールワットなど中東からアジアにかけての文化活動について説明があったが、やはり、イタリアは世界に冠たる文化遺産を擁するこの道の先進国で、桁外れの活動を行っている。
   クロアチアやモンテネグロなど戦争で破壊された旧ユーゴ諸国、イラン・イラク、アフリカ、中南米、北京の紫禁城を筆頭に中国各地の文化遺産の保護にも手を染めていて、その活動は世界各地に亘っており膨大な専門家を派遣して、文化遺産の修復・保護のみならずローカルの専門家の育成に努めている。

   タリバンが、世界を敵にまわして戦っていた時、バーミアンの大仏を爆破してしまったが、仏教遺跡である大仏破壊は、彼らにとっては、タダの異教の飾り物で痛くも痒くもないのだが、人類の共通の貴重な文化遺産であることの認識が欠落していた。
   イスラムに支配された土地の仏教遺跡の仏像などは、偶像崇拝禁止なので、バーミアンの大仏のように、殆ど、顔が削り取られたり、あるいは、目が刳り貫かれたりして破壊されている。
   しかし、今回の大仏爆破は、バンダリズムの極地、文化文明への限りなき反逆である。

   貴重な人類の文化遺産に対して、戦争ほど恐ろしいものはない。
   ヨーロッパの歴史的な文化都市は、二度の大戦で、容赦なく破壊しつくされたが、幸いにも、アメリカに残っていた最後の叡智によって京都、奈良が破壊から免れて助かった。
   しかし、戦争によって荒廃した日本は、日本人の心まで荒廃させてしまって、当時、現在国宝になっている多くの貴重な仏像など文化遺産が路傍に転がっていたり、良くても湿気が多くて朽ちかけた倉庫におかれて見向きもされなかったと言う。
   米軍に徴用されるのを恐れて、その前に記録を残そうと入江泰吉が仏像を写し続けたのもあの頃。

   戦争は、絵画や彫刻など貴重な芸術品の争奪戦でもあり、特に、ヒットラーとスターリンの虚虚実実の争奪戦争は凄まじかったし、その間に、失われていった文化財も数限りない。
   日本軍も、中国での戦いで、故旧博物館の芸術品輸送中に多くを喪失しており、北京原人の骨も移送中になくしてしまっている。

   イラク戦争で、バグダッド博物館が略奪されたが、文化遺産を守るイタリア隊が必死になって復旧作業をしたと言う。
   玄奘三蔵が、バーミアンを訪れた時、大仏は金色に輝き、巨大な大仏が涅槃姿で横たわっていたと記録しているが、それを頼りに塵一つも逃さじと日本隊が復旧作業に気の遠くなるような努力を続けている。
   戦争だけは絶対にしてはならない。ひよわな文化文明が真っ先に犠牲になって消えていってしまう。
   

   今回のシンポジュームで、イタリアのカンパニア州文化財・景観監督官のステファノ・デカーロ氏は、「遺跡の発掘は、発見ではなく学問である。根源的な人間のニーズを、追及することであって、個々の人間の文化的、歴史的アイデンティティを明かしてくれるが、究極は、人類共通の偉大な存在と価値を教えてくれる。」と言っていたが、偉大な文化遺産の与えてくれる教訓は限りなく豊かで深い。

   余談だが、私は、幸いにも、ヴァチカン宮殿のシステナ礼拝堂のミケランジェロの「最後の審判」と天井画、それに、ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会のレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を、両方とも、修復前、修復中、修復後、と何回か見る機会を得ており、イタリア人専門家の修復技術の途轍もない実力を垣間見ている。
   大学生の時、気が触れた京大生が、太秦の広隆寺の半跏思惟像の弥勒菩薩の指を折ったことがあった。修復後見に行ったが、何処を修復したのか分からなかった。
   ヴァチカンのミケランジェロのピエタ像も、ロンドンのナショナル・ギャラリーのヴェラスケスの「ヴィーナスの化粧」も、いくら近づいて見ても、何処を修復したのか全く分からない。
   それほど、重要な人類の文化遺産の修復・保存は進んでいるが、その前に、人類全体が、先人の偉業に対して敬意をはらうことで、そして、その貴重な文化遺産を大切にすることであろう。

   文化財の修復・保存・維持については、日本の技術は世界でも最高水準だと言われているので、イタリアに伍して十分に歴史貢献は可能であると考えられる。
   しかし、あの高松塚古墳の壁画にカビが生えて消えかかっているとは、一体、何たることか。お粗末極まりないとも思っている。
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美しい英国の田園、そして英国庭園・・・徹底的な原始林破壊

2005年12月19日 | 地球温暖化・環境問題
   先にもシェイクスピアの森は優しくて美しいと言う感想を述べた。
   ヨーロッパの森の概念は、森は生活の場から乖離されたいわば海の様なもので、一度入り込むと下界に戻れない極めて危険な所である。

   ところが、シェイクスピアの森は、そんな暗い雰囲気は全くなく、異質だがどちらかと言うと別の世界で、時には夢のような雰囲気を持っている。

   私は、イギリスを歩いていて、イングランドには、全く原始林が残っておらず、徹底的に破壊されて、美しい田園地帯に変えられてしまって居るのに気が付いた。
   コンスタブルやターナーの描く牧歌的で、しみじみと田園生活の幸せを感じさせてくれるような、そんな優しくて美しい田園地帯が延々と続く。
   山がなくて起伏が緩やかなので、いっそう、野山の風景は美しさを増す。

   世界への雄飛と言えば聞こえが良いが、世界を制覇する為、軍船を建造する為に、木を切り倒して、原始林を破壊し、或いは、自然を囲い込んで森や林を破壊して羊や家畜の牧場にしてしまった。
   産業革命を先導して経済社会を発展させ、世界の国々にイギリスの文化文明を伝播させたが、貴重な原始からの人類の遺産である自然を破壊してしまって、その後を糊塗する為に、自分好みの訓化された見かけは美しいがエコロジーを無視した自然に変えてしまった。
   イギリスには、ストーヘッドやロングリート等素晴しく美しい英国庭園が随所にあるが、すべて、人工の庭園で、山がちのスコットランドやウエールズなどには山岳地帯はあるが、鬱蒼とした森は少ない。

   オランダやベルギーを車で走っても、初夏には緑滴り秋には黄金に染まる美しい森や林はあるが、殆ど原始の森は残っていないし、ハイジの世界のアルプスの麓にも野生の森はなくなっている。
   肉食を旨とするヨーロッパは、牧畜の為に、原始の森を破壊してしまったのである。
   CULTUREと言うのは、CULTIVATE、即ち、耕すと言うことであるが、文化とは、原始林を破壊して畑を耕すことなのであろうか。

   昔、アマゾンの上空を何度も飛行機で飛んだが、行けども行けどもジャングルの上であった。しかし、そのジャングルも、今や、少しずつ消えつつあると言う。
   一度破壊すると自然は元に戻る為には大変な年月を要する。
   今、自然を容赦なく破壊した文明国が、自然保護を叫んでいる。
   少子高齢化で騒いでいるが、人口増加が60億から100億、そんなに遠くない時期に、地球に人間が乗れなくなってしまうが、どうするのか。

   私は、一時、何故日本の自然、特に、森林地帯は欧米のように美しくないのかと思ったことがあるが、今は、大変誇りに思っている。
   ブナやタブの木の原始林が残っていて、まだ、豊かに自然が息づいているからである。
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ハリケーン・カタリーナ・・・自然の人類への報復

2005年09月02日 | 地球温暖化・環境問題
   世界一豊かな文明国アメリカが、たった一吹きのハリケーンに、ニューオルリンズのライフラインがずたずたに切り裂かれて、大変な危機的惨状を曝している。
   この宇宙を、そして、地球をお創りになった神様・超自然が、自分達だけの独善的な物質文明を謳歌し、エコシステムを破壊して地球に穴を空けようとしている、あまりにも傍若無人な人類に対して、自然をして行わしめた鉄槌かもしれない。 

   もう何十年も前に、ニューオルリンズを2回訪れている。
   洒落たバルコニーのある美しいフランス風の街並みが印象的であったが、夜になると、あっちこっちのナイトクラブで、ジャズが演奏され、道行く人々も自然に華麗なサウンドにスイングする、そんな優雅な街であった。

   私は、街の中の民家を開放したよう小さなプリザベーション・ホールで、老嬢スイート・エンマ楽団のジャズ演奏を聴いた。
   貧しい小さな部屋で、客席は、ほんの数人座れるだけの床机があるだけで、他の人は土間に座って聞いている。
   小編成で、楽師は殆ど黒人の老人達であったが、実に感動的な演奏で、こんな所でジャズが生まれて育っていったのかと、感に堪えなかった。 
   ブエノスアイレスの港町ボカのビエホアルマセンの廃墟のようなセッティングの中でタンゴを聴いた時と同じ感慨である。

   この街で乗ったのか、セントルイスで乗ったのか忘れてしまったが、とうとうと流れる川面は静かで、舟遊びは優雅で古きよき時代のアメリカを感じさせてくれた。

   何とも無ければ、平安そのもの、豊かなニューオルリンズを、ハリケーン・カタリーナが、一瞬にして地獄の街に変えてしまった。街の80%が、水没していると言う。
  何十万人という人々が、塗炭の苦しみに喘いでいる、痛ましい悲しい大事故であり、テレビ画面を正視できない。
   皮肉にも、ブッシュ政権の生命線オイル地帯を襲撃し、更に石油危機を増幅させている。

   ハリケーン・カタリーナ来襲時、ブッシュは、休暇を取っていて陣頭指揮を執っていない。(何故か、郵政民営化、郵政民営化と連呼する蓄音機のような小泉首相は、仲の良い筈のブッシュにお見舞いの電話をしたとの報道も無い。)
   半世紀前にアイゼンハワー大統領が憂えた、あの軍産複合体を利するための戦争ごっこには極めて熱心だが、内政と国内の安全治安維持を二の次にし、そして、弱者を切り捨てて貧富の差を拡大させ、厚生福利等の国民生活には自立自助と厳しいことを言うブッシュ政権の失政が、いみじくも露呈したのが、今回のハリケーン・カタリーナ危機。
   美しいニューオルリンズが、革命騒ぎに揺れるアフリカのどこかの都市のような様相を呈している。

   東部諸都市へのオイルのパイプラインが閉鎖された為に、ガソリンスタンドに車の列が出来た。
   私は、何十年も前の石油危機の時を思い出した。
   フィラデルフィアからニューヨークまで、ガソリンスタンドが1ドル分のガソリンしか売らないので、長い列のガソリンスタンドをハシゴしながら走った。
   次からは列車を使ったが、瀕死状態だった鉄道会社ペンセントラルが起死回生し、急行アムトラックの予約が至難になってしまった。

   もう一つ、東海村で起こった原発の燃料処理放射能漏れで下請けの人が亡くなった事件を思い出した。
   水戸に住む友人が、近所の住民は、補償金を貰って喜んでいた、と言った。
   悲しいかな、放射能は、色も無ければ臭いもしない、被爆していても全く分からないので、自分の体が蝕まれていても分からない。

   丁度同じことが、この地球上で起こっている。
   少しずつ、人類が、地球のエコシステムを破壊しているのだが、目には定かと見えないし大きな変化はないように見える。
   耐え切れなくなった地球が、時々、異常気候や天変地異で悲鳴を上げて警告するが、人類は、喉もと過ぎれば熱さを忘れる。まさに、煮え蛙である。
   
   世界一強くて豊かなアメリカが、たった一発のハリケーンで右往左往している。それほど、文明社会は脆い。
   ニューオルリンズのように宝石の如く豊かな文化と歴史を持った人類の宝物を生み出す為には、長い年月をかけて営々と努力を積み重ねなければならないが、壊すのは一瞬である。
   自然の一ひねりの威力は途轍もなく大きく、人類の存在などひとたまりもなく無為に帰す。
   アトランティスもそうして消えた。

   人類文明が危機に瀕している。人類の運命が、岐路に立っている。
   自然の猛威の中でなすすべもなく呆然としている人々を見ていると、いつもそう思っている。
    
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リオの地球環境サミットに欠席した日本・・・郵政民営化にウツツを抜かす日本

2005年08月27日 | 地球温暖化・環境問題
   ノンフィクション作家山根一眞氏が「環業革命」と言う本を書いた。人類最大の危機「地球温暖化」等宇宙船地球号が直面する極めてシアリアスな試練について報告した貴重なレポートである。
   環境をテーマにした「愛・地球博」に呼応して出版されたのであろうが、売れなかったのであろう、神田神保町の古書店で山積みされ叩き売られていたので買って読んだ。  
   巷では、アスベスト、アスベストとマスコミに煽られて騒いでいるが、根本的な環境問題については無関心、みんなの環境問題意識はこの程度なのである。

   話は飛ぶが、山根氏が公演でも、この本でも触れているのは、1992年6月リオ・デ・ジャネイロで開催された「地球サミット」に、日本だけ、代表者が出席しなかったことである。
   当時のブッシュ(父)大統領、メイジャー、ミッテラン、中国・李鵬、ムバラク、マハティール、それに、カストロまで参加しており、183カ国の代表やNGOやNPO等7、946団体、18、900人が参加した。
   この「地球温暖化、酸性雨など顕在化する地球環境問題を人類共通の議題と位置付け、『持続可能な開発』という理念の下に環境と開発の両立を目指して開催された国際環境開発会議に、宮沢首相は、今は泡沫政党になってしまった某野党に国会会期中逃げるのかと言われて東京を発てなかった、そして、ビデオ出演を申し入れて世界の失笑を買ったと言う。

   私が問題にしたいのは、為政者が考えなければならないのは、その時点で、何が最も人類にとって国民にとってプライオリティが高いか、緊急重要かと言う判断、価値観で行動しなければならないと言うことである。
   以前にこのブログでも触れたが先のローマ法王逝去の時も、日本からは適切な参列者を送れなかった、いや、送らなかった。
   とにかく、環境問題は、もう既に地球のオゾン層に穴が開き、地球のエコシステムが破壊し始めて危機的な状態まで来ている。

   ところで、衆議院議員選挙が近づいているが、原因は、小泉首相の郵政民営化法案の帰趨が発端。
   基本的には、官僚主導の社会主義的な日本の経済社会には、民間主導への舵取りは必須であり郵政の民営化には賛成である。
   郵政の問題点の大半は、日本の官僚制度に起因して発生したことで、官僚主導の日本の経済社会政治体制そのものを改造する為の一環である。
   しかし、日本独特の膨大な資産と影響力を持った事業体を、妥協に妥協を重ねた今の政府案で改正することが果たして良いことなのかどうか、私自身はもう少し別な道があると思っている。
   何れにしろ基本的には、小泉首相の主導する構造改革を含めた日本の社会主義的な経済社会の大変革への道の追求には賛成している。
   
   郵政の民営化には、国民の大半が賛成だと思うが、それぞれ段階的に意見の相違が有り、今の自民党の案に賛成か反対かは別の次元の話。
これを十羽一絡げに自民党案を持って「郵政民営化賛成か反対か」を問い、その賛否を争点として黒白をつけようとしている小泉自民党は、まさに、民主主義の本道を踏み外している。
   悪く言えば、自民党案の郵政の民営化に国民の注意を集中して、他の重要案件に対して白紙委任状をとろうとしていると言う共産党の言い分もあながち間違いではない。
   折角、悲惨な歴史を経て獲得した民主主義の精神を大切にしなければならないと思う。

   従って、今回の選挙が郵政民営化一色に染まって戦われていることが問題で、今の日本で緊急重要なことは、本当に郵政民営化だけであろうか。
   近年の革命的な変化は、憲法の改正が極めてオープンに議論されるようになったことであり、風雲急を告げていた北朝鮮問題が愈々大詰めに近づいていることや中国との政経に亘る協調など国家の安全や国際問題、国連安保理入りを模索している国際外交、国民の厚生福利問題、京都議定書などクリアー出来そうにもない環境問題、少子高齢化問題、税制の問題、殆ど進んでいない構造改革等々問題は山積している。
   個人的には、憲法改正が表舞台に立った今、国際舞台で名誉ある地位を占めたいとして常任理事国入りを模索しており、日本の国のありかた・国のかたちを真剣に考えられるのは、まさにこの時期をおいて他にないと思っている。
   私自身は、もっと緊急な問題は、人類の傍若無人な自然環境の破壊、地球のエコシステムの崩壊によって、今世紀中に、人類の運命が岐路に立たされると思っているのだが。

   毎日のようにTVに出る程度の低い小泉首相の記者会見(これはお粗末なマスコミの質問にも問題がある)、殆どポピュリズム志向に近い政治家の姿勢と一般の対応、あまりにも太平天国で幸せな日本人には、イラクやイラン、北朝鮮の人々のような逼迫感はない。
   たった一杯のビールで口角泡を飛ばして安保を論じ、街頭で警官と衝突してジグザグデモに明け暮れたのはそんな昔の話ではないのだが、どうせ投票しても大勢に影響はないし、どの党に投票しても世の中が大きく変わる訳でもない、そんな思いが頭をかすめる昨今が恨めしい。
   
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