コルゲートギンギンギラギラな東急車輌製初期オールステンレスカーのうち、東急8000系は今後もしばらく伊豆急とインドネシアで元気で活躍してくれることが強く期待され、小規模地方民鉄に転じた7000・7200系についてもまた然りですが、ついに東急本家では7600・7700系の淘汰が始まり、寂しさを覚えるところです。
そんな中、同じく東急車輌製でコルゲート+小窓+伊豆急マスクが魅力的な台湾鉄路局の名車・DR2700は、非冷房ゆえここ20数年来東部のローカル輸送専属となって久しく、朝夕の通学輸送を中心に雄大な山河の中を駆け抜けていました。しかし、登場以来既に48年、今や先進国と言って良い台湾で非冷房というのはあり得ないサービスとなり、補修部品の新規製造も遠い昔に終了して欺し欺し使ってきたのも限界に達した……ということで、台東線電化の成果を本格的に反映させる明後日のダイヤ改正を期に引退することとなりました。傍目で眺めていても、毎日運転のローカル列車として使うには余りにもボロボロで、引退はやむを得ないと思います。台湾が本格的に経済発展を始めた1960年代後半、新時代のシンボル「光華号」として台北~高雄間をブッチギリの4時間45分で駆け抜け始めて約半世紀、それは整備さえ良ければ日本製ディーゼルカーが外国でも高性能を永く発揮しうることを実証する半世紀であったと思います。長年の活躍どうもお疲れ様でした……。
台鉄公式HPによりますと、明日の最終運転は玉里17:20発の花蓮行き4677レとなるとのことで、普段はまずない6連での運転 (事実上、引き上げの廃回も兼ねているのかも) に加えて記念品もありとのこと。さぞかし台湾の鉄ヲタでいっぱいとなることでしょう (汗)。そして今後は現存する15両のうち、4両を動態保存車として各種臨時列車・イベント列車に動員するものの、残りの11両についてはこの4両を活かすために廃車となるとのこと。そこでふと思ったのは「こりゃぁ~是非、台北からすぐ訪問出来る平渓線で!」ということですが、平渓線ならびに最近観光路線として復活した深澳線 (※) には車両限界の関係で入線出来ないようです。そこで、内湾線・旧山線・集集線あたりの観光列車として週末運転などしてくれれば一番御の字といったところでしょうか!
いっぽう、DR2700が去った後の台東線ですが、電化されたということで……基本的に客車列車及び一部の南廻線直通自強号 を除けば電車で運転されることになります。但し、新時刻表を見るにつけ、台東~樹林間の自強435/436レは車椅子マークがありませんので、割と古めなDC自強で来るものと予想されます。いっぽう、のんびり客車列車の旅を満喫出来るキョ光号は……ただでさえ本数が減っているだけでなく、日中台北~台東を直通する列車には車椅子マークがついている……ということで、椅子がチョロい新しめな客車で来ることが確定 (激鬱)。やっぱ手動ドア車をなるべく早急に消したい台鉄の方針は明確なようです (-_-;)。
また、キョ光が減ったことで、多くの有人小規模駅にとっては停車回数が減ることを意味しているわけですが、それをカバーするために区間車が増えています。しかし、その車種はEMU500……。嗚呼、台北近郊区間で風前の灯火となったEMU400がごっそり台東線区間車となるのであれば垂涎ものであったのですが、そもそもEMU400はこのまま全車廃車にしたいのでしょうか?? いっぽう、EMU500はロングシートですので、ヲタ的には「DR2700と比べると旅情的には全く以て何だかなぁ~」という意見が大勢を占めることでしょうが、そもそも90年代までは田舎の客レには日本製のロングシート客車がジャラジャラ連結されていたわけで、ラッシュ時には学生さんが如何にも暑そうな表情で乗っていたのを思い出すにつけ、花蓮~台東間においてすら鈍行が冷房車になることの方が余程重要なことなのだろうと思います。この区間でも鈍行→区間車の客は基本的に学生さんですし。
※深澳線……瑞芳から北東に向かい海沿いに達する。過去は発電所への運炭を行っていたものの、休止を経て海技館(国立海洋海技館)への観光客の足として復活。今度のダイヤ改正から日中は完全に平渓線と通し運転となってキッカリ1時間間隔! →というわけで、従来の平渓線が八堵発となっていたのはほぼ取り消し。まず台北から瑞芳まで行けということになりました (汗)。