ゴロゴロと大量に放置された客車群。ん……真ん中の客車は?
何という丸妻丸屋根! 何という大窓!
台車は日本風のものに換装されていますが、台枠が目立つ……。
クーラーを屋根に載せた車両も。駅出入口で落書きが残念。
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タイシリーズの前回記事で、2等座席車に乗りたいと思いつつも結局乗りそびれたという間抜けすぎる備忘録を記したものですが、そんな北線・東北線の列車が分岐するバーンパーチー駅で列車の姿を見送ったあとは、何やら駅構内の東側に大量の放置客車が転がっていましたので、一体どんなものか……ということで、先に帰りの切符(これも2等車が買えず玉砕)を購入したうえで、炎天下じっくりと観察してみました。すると……日本製または日本ノックダウンの切妻客車(これはこれで超貴重な顔ぶれでしたので、後日記事にします)に混じって、全く違う風貌の丸妻・丸屋根の客車が! こ、これは一体……。
そこで仔細に観察してみますと、このタイプの客車は少なくとも3~4両が放置されており (計3線に大量の客車が放置され、全ての検分は時間的にも暑さ的にもムリ)、いずれも巨大な窓と車体中央部のトイレ・洗面所スペースを特徴としています。そして、窓はどう見ても固定ということで、堂々のクーラー装備……。これはどう見ても、1950~70年代のいずれかの時点で、恐らく欧州のいずれかの国で製造された超!特別な客車に違いない……。この時代のタイ国鉄の客車はほとんど日本がかっていますので、日本ではないルートに特注したということは、ひょっとして当初王室用に造られ、のち一等座席車 (どんな車内?)か何かに格下げされたのでしょうか?? 側面のタイ語を読めないのが遺憾です……(滝汗)。
それにしてもこのバーンパーチー駅、分岐駅だけに極めて広大なヤードを擁し。その中に駅舎と駅ホームがあって、街に出るにはこの廃車体が転がっている側線を横切る(跨線橋があるものの誰も使わず。笑)という、何ともワイルドな雰囲気なのですが、そこを当初埋めるはずだった貨物列車の姿は全く無し。基本的にタイの国鉄からはヤード型の車扱輸送は消滅し(とにかく道路交通が発達)、東北線からバンコクの東・ラートクラバン界隈にある貨物ターミナルや産業路線のサタヒープ線に入るコンテナ・セメント列車は、東線のクローン・イーシップイェットと東北線ケーンコーイを結ぶ貨物線を経由しますので、結局用無しになったバーンパーチー駅側線は廃車置き場となっています。とはいえ、「放置されてから久しいために草が生い茂り、車両に蔦が絡まっている」という雰囲気(マッカサン工場の放置車を空港鉄道から眺めるとそんな感じ)は全くありません。恐らく、バーンスーの操車場が新巨大ターミナル建設で潰されてしまったため、ここで雨晒しになっていた車両が最近バーンパーチーに移ってきたのでしょうか。