新年のマニアックな模型工作三大シリーズ、最後の一点 (とゆーか1セット) として敢えて白羽の矢を立てたのは、製作が最高に面倒臭いうえに、そもそも存在自体がマイナーの極みゆえにネット上でも作例を全然見かけないという相鉄3000系(旧国ボディ時代)です!!
相鉄3000系といえば、最近の趣味界一般で抱かれている印象は恐らく「旧6000系と同じボディを持った僅か10両のVVVF車であり、しかも1998年に相模大塚構内でポイントを渡っている際に突如脱線して損傷が激しく敢え無く廃車となったという、極めて存在感の薄い車両である」という程度かも知れません。しかし、それは決して3000系の余りにも濃すぎる本質を知らない評価に過ぎないと断言出来ます。
そもそも3000系は、相鉄がかつて神中鉄道改め東急厚木線であった際、東急が運輸省から配給を受けた国鉄モハ63を輸送力不足にあえぐ厚木線と小田原&江ノ島線に投入し、1800形と命名されたものです(その後小田急に引き継がれた車両は、そのまま1800形→秩父800形に)。相鉄として独立した後は3000系と改称され、さらに戦災で焼失したクモハ60や事故廃車となったサハ48(相鉄入線時に電装&3扉両運化)を系列の一員として組み込み、総勢9両となったわけですが、相鉄2000系が17m旧国&買収国電の巣窟であったのと並び、相州の大地に一大国鉄型魔界ワールドを現出させたという存在であったと言えましょう。ことによると……その後のマンケー(E231)・マンセンケー(E233) の登場を予言するものだったのか?? (汗)
その後昭和30年代半ばになり、相鉄では猛烈な勢いで沿線の宅地開発が進み、4扉の6000系が登場して大いにラッシュ輸送に威力を発揮したわけですが、その結果ロクサンや叩き直し車両の巣窟だった3000系も6000系と同じボディを載せることになり(6000系が日立製であるのに対し、こちらは東急製ですので、厳密には車体形状が異なります)、純新造車サハ3514を加えて3010系を名乗ったという次第。
しかし個人的には残念ながら、70年代末以後相鉄を愛用するようになっても、3010系に乗った記憶は1~2回程度しかありません。それはひとえに、70年代後半になると8連以上が当たり前となる中、僅か10両しかなくサハ3514を除いて6000系と混結出来ない3010系は、釣掛ということもあって基本的に予備車扱い、せいぜい朝ラッシュ時に動員されるのみとなったからです。中学生の頃、自宅からチャリンコを飛ばして相模大塚の貨物シーンやかしわ台の車庫シーンを見に行っても、いつも3010系は片隅で惰眠を貪るばかりであり、小田急江ノ島線が釣掛4000天国(一般利用者には地獄? ^^;)であったのと比較しても「相鉄は音が静かでつまらん……このまま3010は廃車になってしまうのか?」と溜め息をついたものです。
それだけに、高校に入学して以来毎日相鉄で通学するようになったある日、ラッシュアワーでほとんどの車両が出払ってスッカラカンになったかしわ台で見かけた光景は、まさに神秘そのものでした……。何と、3010系のうち5両が釣掛の下回りのまま冷房を搭載してピカピカになっており、いっぽう別の5両はVVVF&新台車に換装して3050番台に改番しているとは……!! 旧国譲りの釣掛と、まだ他の路線でもほとんどないVVVFの混結……。一体全体本当にちゃんと協調して走るのか?!一体どんな音がするのか???……などなど、超ドキドキワクワクなナゾで脳内がいっぱいになり、高校の授業も完全に上の空となってしまったのでした (笑)。
ところがその後数ヶ月、待てど暮らせど営業運転には入らず、結局釣掛冷房車は再び東急車両に入場し、全車VVVFの3050番台に……。半釣掛+半VVVFという破天荒な試みは結局失敗に終わったわけですが、とにかく一本の編成に全く異次元の技術が混在する光景は、日本鉄道史上空前絶後であったと断言できます。
もちろん、3050番台として営業運転を開始(形式名は3010から3000に戻った次第)してからの活躍も実に面白く、昭和30年代気質そのままの薄暗い車内で、簡単なLED表示の停車駅案内が灯ったり、ごく初期のVVVFのうなりを満喫出来たり……と、とにかく究極のマニアックさ尽くしの電車でありました (遠い目)。
そんな3000・3010系、N模型としては鉄コレを素材として6000系ボディに改まってからの姿を何とか作ることは出来そうですが(まぁ厳密には差違を再現しきれないでしょうから「タイプ」ということになるでしょう)。いっぽう旧国ボディ時代の相鉄3000系は、他の既成73系・戦前製旧国N完成品やGM/LJ板キットと比べても、あらゆる点において違いがあり、かつ超弩級のマイナーぶりであるため、未来永劫メーカーが模型化することはないでしょう……。これほど数奇でマニアックな遍歴をたどっているというのに、何と憐れな相鉄3000系! ならば俺様が、妄想の限りを尽くしてそれっぽく見せてやる!と思い立った次第です(アホ ^^;)。
とはいえ、GMの板キットで安く(?)切り接ぐ以上、もちろん厳密な再現は最初から諦めているわけでして、あくまでそれっぽく見せただけの「タイプ」です! ……というわけで、そろそろ思いの丈を書きまくってしまい長文駄文の極みとなりましたので、具体的な製作上の考え方につきましてはまた改めて……(^^;;)。
とりあえずモハ3001らしき車両 (1枚目) と、モハ3004らしき車両 (2枚目) が、ようやく苦心惨憺な切り接ぎ地獄を経て箱状に組み上がり、鉄コレ下回りに対応する状態になっています、ということです。しかし計画では他に、サハ48の事故車を大改造したモハ3005、そして2両のロクサン型クハ、ならびにモハ63の焼失車を丸屋根トレーラー化したクハ3504をつくるつもりでありまして、今日アップした分を含めて計6両の切り接ぎ&ヤスリ整形地獄……(滝汗)。しかし、これまで奇っ怪な車両を何とか手がけたことで得られた根拠なきイケイケ気分に基づき、何とか作業を少しずつ進め、年末までには完成すれば良いなぁ……と (笑)。
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