そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

TPP、そして誰も食料自給率も食の安全も農業の多面性も語らなくなった

2015-11-06 | 農業と食
TPPが大筋合意したと報道は盛んである。報道の多くは農家が大変だと言いながら、安くなるものがあると但し書きの報道に偏っている。農家が大変なのではなく、消費者が大変なのだろうし、国民の貧困層を増やしておいて、食糧は安価であるべきというのであろう。
食料については自給率も食の安全も、環境問題や多面性も、TPP大筋合意で吹っ飛んだ感がある。自民党の現政権は、TPP参入しないと公約を掲げていた。半ば信用していなかったが、主要5品目は守るとも言っていた。チビチビ出してくる情報では、どうも十数年かけてこれらの関税も撤廃かそれに近い状態になるものと思われる。
自民党は都市部では必ずしも、TPP参入しないとは言ってはいなかった。二枚舌の公約であるが、田舎でははっきりと参入しないと明確な態度を示していた。その反応が下の表である。農業新聞の読者を対象にした、内閣支持率である。かつては自民党の票田とまで言われた農村、農民票である。保守政党に支持率が高いのは、農業に対するというより、農家に対する補助を続けていたからである。現在は過疎化、高齢化が進行して票田といわれるほどの量がない。相対的に農業の位置が低くなってきたからである。
自民党は農家に見切りをつけてきたと言える。金をばら撒けべ農家が投票してくれる時代は終わったと言える。
農業の本質的な問題はどこかに行ってしまった。国家が自立するためには、最低限の食糧を自給しなければならない。先進国最低の食料自給率は自民党表明している。自給率の向上はTPP参入と矛盾する。地方の再生とか活性を望むなら、TPP参入を止めるべきなのである。自民党の農業政策と地方創生の政策は、TPP参入と矛盾する。
下の表は農民はこのことに気が付き始めたことを意味している。更には、宮城県議会選挙が象徴的である。自民党は選挙基盤を失い、共産党が倍増した。
TPPはあらゆる産業や制度を、価格や経済効果だけで評価するシステムである。毎日太陽の元で大地を見つけ、水の管理を行い作物の成長を観察する農家は、今起きている矛盾を肌を持って感じている。物の価値や環境を、価格や経済効果だけで語ろうとするシステムに矛盾を感じている。下の表は農家が自民党を見限り始めていることを語っているのである。

コメント (1)
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