そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

司法が権力の僕となった原点長沼ナイキ判決から今日で50年になるが、ますます司法が萎える

2023-09-06 | 平和憲法

日本の裁判史上で唯一「自衛隊は憲法違反」と判断した、長沼ナイキ訴訟の一審札幌地裁判決から9月7日で50年になる。丁度半世紀を迎えたことになる。
その後判決は札幌高裁で、「政治性の強い国家の行為を司法審査の対象外にする(統治行為論)」として憲法判断を避け、最高裁も高裁判決を支持し判決は確定した。
長沼ナイキ判決を下した福島重雄裁判長は、自衛隊違憲判決以降、東京地方裁判所手形部、福島家庭裁判所、福井家庭裁判所と異動したが裁判長を務めることはなく1989年8月31日に定年を前に退官している。地方の下級判事を転々とされたことを、他の判事はしっかり見ているのである。
これ以降自衛隊違憲どころか、憲法を巡る訴訟の数多くの訴えのすべてに対して、日本の裁判長全員が判断を避けてしまうこととなったのである。
国権がつまり立法も行政も、福島重雄を人身御供にして司法の人事まで支配しているのである。
福島判決は、自衛隊と憲法を巡る議論に一石を投じ、憲法前文を根拠に「平和的生存権」を初めて法的権利として認めた。司法はその後、政治性の高い自衛隊の憲法判断を避け続けているが、安倍晋三を守り通した裁判長は、異例の出世の道を歩んでいる。日本は司法の独立性が、完全に失われた国家となっている。
現在富山で弁護士をされている、判決を下した福島重雄さん(93)は、「当たり前のことを当り前に書いただけ」と述べている。
早稲田大学憲法学の水島朝穂教授は、「自衛隊の違憲判決は存在するが、正面から合憲判決は存在しない」と指摘している。
<第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。>


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青葉真司の救われた命の意味が問われるべき

2023-09-06 | 死刑

2019年に起きた、36人が死亡し32人が重軽傷を負った京都アニメーション放火殺人事件で殺人罪などに問われた青葉真司の裁判員裁判がきのう(5日)から京都地裁で始まった。 

手塚治虫の漫画、「ブラックジャック」で殺人の限りを尽くした犯人の少年が追われてビルから落下します。犯人の命は誰も救うことができな。そこで呼ばれたのがブラックジャックである。ジャックは奇跡的な医療技術で犯人を救うことができたのです。
裁判で犯人は死刑判決が下されます。法廷でブラックジャックは大声で叫びます。「私は何のためにこの少年を救ったのだ!殺すなら救うことなどなかった!」

このブラックジャックの言葉は、この京アニ放火事件の犯人青葉真司と、4カ月間懸命の治療で彼を死の淵から救い上げた、近畿大学付属病院の上田敬博医師 に重ねることが出来る。
上田医師は何のために犯人の命を救ったのか?死刑は何のためにあるのかということである。
上田医師は、「死に逃げはさせたくない」、「犯行に向き合ってもらうため」などと述べ、「量刑は受け入れるべきと考えますが、そこに関してはせっかく助けたのにという葛藤は全くありません 」とも述べている。ブラックジャックとは異なる。技術者の側面と青葉に、事件をしっかり認識させたいという思いが強い。
青葉真司は、「こんなに多くの人が亡くなっているとは思わなかった。やり過ぎたと思っているが、あの時はあれしか方法はなかった」などと述べている。
裁判では事実関係では争われることがなく責任能力を問うことになるが、この発言を見ると、責任能力は十分ある。現行日本の法律では青葉には死刑しかないだろう。
しかし、青葉を死刑にして事件は終わるわるのだろうか。日本では量刑とくに重大犯罪では、報復意識が強い。命を奪うことで犯人は贖罪、罪を償うことになるのかということである。死にたくて自死できず、小学校に押し入り数人殺害して、希望通り死刑にしてもらった犯人もいた。死刑は何のためにあるかわからない。
青葉真司には、自らが奪った36人の命の重さとその事実と向き合い逃れるべきではない。死刑にしてはそれすらなくなる。量刑の持つ犯罪抑止を死刑に求るのは無責任である。社会がもたらした不幸な生い立ちや貧困なども、今回の青葉は無関係ではない。
冤罪の回復の機会を死刑は永遠に奪うことになる。死刑は犯罪者に人権すらないことを認め、国家が命を奪うのである。大量の死刑が執行されていると思われる中国や北朝鮮など見れば、明らかな人権侵害があり、政治的な背景も強いものがある。
京アニ放火事件が、死刑という量刑へ論議のきっかけになってくれればと願うものである。
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羅臼港

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