世界各国がバイオ燃料を見直し始めた。バイオ燃料は、使用する時点では確かに環境に優しい。しかし、急激な社会変化で、その生産過程で多くの矛盾が起きている。
例えば、フランスをはじめとするヨーロッパ諸国では、バイオジーゼル燃料になる、パームヤシの獲得に躍起である。その結果、金になるパームヤシを大々的にマレーシアが作付するようになった。熱帯雨林は破壊されている。環境に優しいのか?
アメリカでは、家畜用のコーンが根こそぎエタノール産生に向けられている。政策的な援助があり、あまりにも急激な生産支援で、コーンは投機の対象にもなっている。その年の生産高と 備蓄量で価格が決定されていた、農産物の姿はそこにない。とりわけアメリカのコーンを家畜に給与している日本は、悲惨である。あと数年で、コーンの価格は倍になる。倍になっても輸入される量が、極端に少なくなる。
アマゾンでは、エタノール産生効率の高いサトウキビの栽培のために、大豆畑などからの転用や新たな農地を熱帯雨林を破壊してまで進めている。多品種の高騰や環境に影響を与えるようになっている。
アメリカのブッシュ大統領は、「スイッチグラス」は、エタノール生産にうってつけの草だと持ち上げた。芦のような、食べることもできないこの草は、どこでも生える。相当栄養が少ない土 地でも生産できる。ところが、スイッチグラスの生えているところは、極端と思えるへき地山間地ばかりでる。おまけに、中が抜けていて軽い。早い話が輸送料が高くつき、生産効率も悪い。
イギリスの運輸省は、生産にかかわる輸送や生産効率などを検討し、再生可能輸送燃料義務を業者にかけるようである。
地球規模で、農産物の需要拡大が予測されている。こうした中で、人と競合するような農産物からの転用や、作付に環境破壊を起こすようではバイオ燃料の生産に矛盾が生じることになる。
現行のバイオ燃料は、CO2排出がガソリンの倍になるとする研究者もいる。生産過程で相当のエネルギーを消費するからである。日本では、廃材からの生産や廃棄食材からの生産を研究する健全な研究者ちがもいる。
バイオ燃料にかかわる問題は、ほとんどが生産過程にある。誰もが、燃料そのものの有効性は信じてはいる。こうした世界の動きに、相変わらず日本政府はほとんど無関心である。
そもそも、バイオエタノールという燃料に、温暖化対策効果を与えている「カーボンニュートラル理論」が間違いであり、人為起源の二酸化炭素排出増によって温暖化が進行しないことも、明らかになっていりので、バイオエタノールの生産規模は縮小の一途を辿ると思います。
カーボンニュートラルの嘘
http://blogs.dion.ne.jp/spiraldragon/archives/5509453.html