トランプのイスラエルだけを見る外交が新たな混乱の火種になっている。トランプがイスラエルのアメリカ大使館を、70年目の建国記念の日にエルサレムに移転した。同時のこの日は、パレスチナ人が祖国を追われた日でもある。トランプは大使館の移転を無神経に、一方的な自国の国内事情というにはあまりにも浅薄な福音派へのパフォーマンスである。
すじて日本の報道は中東について、表面的な現象優先が多い。イスラエルとアラブ諸国との戦いは同質の戦いではなく、質的にも全く異なるものである。死者の数だけ見ても、イスラエル1人に対してアラブ諸国の300程度である。武器の違いも甚だしい。イスラエルがあらゆる近代的武器を所有しているが、パレスチナは石礫(いしつぶて)である。兵士は訓練された正規軍であるが、パレスチナ側はろくに訓練も受けていない非正規軍でテロ行為と言われるゲリラ戦である。
武器を持たないデモ隊に実弾を乱射している。今回デモ隊に放たれた催涙弾は火傷だなどを引き起こす、化学兵器に近いものであったとされる。
これらの民族あるいは宗教は混ざり合うことは将来ともない。パレスチナ問題には、何らかの形で共存する以外に方法はない。その手法の模索こそが求められる。一方への肩入れはそれに逆行する。
かつてのアメリカは世界の警察を自認していたものである。そのことを評価するつもりはないが、少なくとも歴史的背景や民族間の関係や宗教的ないきさつなどを熟知はしていたものである。トランプにはそうしたものが何一つとしてない。今回のアメリカ大使館の移転は、現在の中東の混乱の原因になったと言える、ブッシュのイラク侵攻に匹敵する蛮行である。
世界各国の避難を受けても、自国の支持者を熱狂させることの方が優先課題であるトランプに、世界を語る資格などない。地球温暖化に興味などなく当然のごとくパリ条約を離脱し、長い時間をかけて8カ国が締結したイランの核合意を離脱し、そして今回のイスラエル大使館のエルサレム移転である。トランプに世界を語る資格などない。
史上初の米朝会談も、自国へのパフォーマンスが優先され自慢話とノーベル賞話ににんまりとする。習近平に入れ知恵された金正恩に、米朝会談を放棄されては困るトランプは、ジャブジャブ金をつぎ込むことになろう。トランプは国内の風評こそが大切なのである。この男に世界を語る資格などない。
しかもトランプはこのタイミングで、こないだまでピンピンしていたメラニア夫人が急病になり入院、という、ご都合ぶりですね、
エルサレムに行って自分のしでかした現実と向き合うことから逃げる口実でしょう、実に卑怯でけしからんと思います。
トランプは金持ちの二代目で、今までずっとそういう生き方をしてきたのでしょう。
生身でデモをするパレスチナ人と、どちらの人間が上等か?
パレスチナの人たちが気の毒でなりません。
「他者が悪ければどんな仕打ちをしてもよい」というのが白人WASPの考えや手法であり(事実そうやって、彼らは世界を支配し覇権を握ってきた)、ユダヤ教信仰者らの考えや手法ということらしい。それゆえ、パレスチナの人々は事実「虫けら以下」の非道さで虐殺され続けている。無実の人々や幼児らを平気で殺戮しまくるイスラエル・ユダヤ人らに神の加護など絶対にあるはずがない。