昨年の食料自給率は過去最低の37.37%まで落ち込んだ。1998年の大凶作の年の37.33%をわずかに上回った。食料自給こそが安全保障の根幹である。食料を自給できない国家は国家出ない。現在の食料自給の実態は、気象災害によるによる年とは比較にならないほど深刻である。
担い手が高齢化し人がいなくなり、異常なほどの農村の疲弊が日本中で進行している。日本の農業政策が長年にわたって軽視され、工業化・商業化を国家の経済政策の根幹とし、その担い手を農村から奪ってきた結果、成れの果てが37.33%なのである。僅かな政権の危機感は、農業の大型化・工業化・加工化へと邁進させることであった。食料を上図にように金額で、経済指標で評価してきたからでもある。
別の言い方をすれば、アベノミクスの2の矢に沿って、農村に大量に金をばら撒いたに過ぎない。回収できないばかりか、ほんの一時の生産を上げることになるが、農業周辺産業が大儲けして、農村を疲弊させる。更には企業の参入を進めれば、賀が気医療や農薬の大量投入や遺伝子組み換え作物・家畜が導入されるであろうし、農業の工業化が進むばかりで、食の安全の基本が壊れてしまう。
また日本農業新聞の農政モニター調査では、食料自給率向上のための政府の取り組みに対し、「全く評価しない」が49.8%、「どちらかといえば評価しない」が30.3%で合わせて、80.1%が「評価しない」という回答をしている。(下図参照ください)農業関係者へのモニターであるから当然の結果ともいえるが、これほど圧倒的な評価はいかに農政が深刻であるかを物語っている。
政府の新たな自給率目標を定める食料・農業・農村基本計画は、自給に関して何ら機能していないということになる。農村に大量のコルホーズ型農場を作っても、
2020年には見直し期限になるが、新たな自給率計画を農業の基本に立ち返った視点から取り組むべきである。