そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

食料自給こそ最大の安全保障である

2015-10-03 | 食料自給率
この表は、1970年から現在までの世界の食料事情を表したものである。食料危機が叫ばれているが、昨年は史上最大の豊作で、今年も豊作が見込まれている。世界に流通し保存がききのは穀物である。穀物は人類のエネルギー源として大きな役割を担っている。その一方では、大量生産が可能で貯蔵がきくことで、価格調整が恣意的になる面もある。
その在庫率は年々衰退しているのである。豊作であったのは主に北米のトウモロコシである。今年もトウモロコシは豊作の見込みであるが、コメや大麦が不作で前年並みの24.6億トンが見込まれている。
その一方で、順調に人口は増加している。農耕地は減少しているものの記述革新による反収が増え、穀倉地帯の気候が安定していたことも大きい。この幸運な時間はそう長くは続くことはない。中期的には、地球の温暖化・異常気象、水資源の枯渇や悪化、土壌の劣化が大きな不安定要素となって、これらの要因は複雑の作用し、予測が困難であるが、楽観的見通しなど全くない。

人口増加であるが、均等に増加はしない。途上国に集中的にそれは起きる。現在でも約3割の人間が肥満に喘ぎ、3割の人間が飢餓に苦しんでいる。富が偏在しているからであって、生産国あるいは生産地が偏在しているのではない。そして増えるのは購買力の低い国家なのである。ヒトが生きていくのに欠かすことのできない食料は、これから先も価格だけで供給されるとは限らない。倫理的問題や紛争などによる供給の遍在も問われることになる。

日本は食料自給率が、僅か40%である。その半分は家畜飼料なのであるが、多くの国民はこのことを知らない。その飼料エネルギーを格段に落としながら、家畜は卵や肉や乳を生産しているのである。食料の浪費であるが、畜産関係者として見ると、真っ先に日本では人間より家畜に食料危機が起きることを案じている。
日本の食料自給率はアメリカに偏在する、家畜飼料依存によるものと言える。国家として。食料を国民に供給できないことは最大の危機である。
自民党の高村副総理が、日本の存立危機事態の例に、海上封鎖による食糧輸入が阻止された時であるとして説明していた。どうやら一回で取りされたようであるが、高村の説明は正しい。だったら、自給すれば良いことであって、戦艦や戦闘機を大量に購入して、憲法を無視してアメリカに依存するようなことを止めれば良いだけのことである。攻める農業や販売促進などと言う、価格や規模で農業を評価しようとする、安倍の経済政策は誤りである。
食料はいつでも戦略物資になる。武力による安全保障ではなく、食糧をしっかり自給さえしていれば、それぞれの国家は安泰なのである。

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