アメリカは民主党の勝利で、イラク政策が大きく転換することになる。具体的には、ブッシュが退く2年先になるであろうが、彼を支え続けていたネオコンと呼ばれる、ナショナリストたちあるいは、ユダヤ教に近いとされるカソリック福音派の人たちの支えを、今回の中間選挙で失ったことになる。
そのイラクが、泥沼状態にある。10日にはイラク人が108名死亡、203名 が負傷している。数箇所で起きた自動車爆弾自爆テロによるものであるが、これはかなりの大事件であるが、慣れっこになっている マスメディアは報道されることはない。そのほとんどが、シーア派とスンニー派との抗争である。
従来なら、考えられない聖地のモスクを平気で攻撃する。ラマダンの間も、殺戮は絶え間なくおきている。警官を日中攻撃する。かつてのイスラム教では、考えられなかったような出来事である。
フセイン政権下で、虐げられていた数で勝るシーア派に対して、新政権で追いやられた前政権与党のスンニー派が巻き返す構図である。こうした、泥沼状態の内戦の責任は、根拠のない攻撃を一方的に仕掛けたアメリ カにある。そして終始支援した、英国や日本をはじめとする支援国家にある。
クルドとあわせての、イラク3分割論をこのブログでも述べたが、事はそう簡単にはいかないようである。最も大きな問題は、石油資源が均等ではなく、シーアは領域に集中していることである。もう1つは、国内にクルド問題を抱えるトルコが、クルド族が力を持つことを懸念しているからである。このような難題は、少なくとも武力では解決できない。平和憲法を持つ日本が本来の姿を留めていれば、調停にはうってつけなのであるが・・・
フランス、ドイツ、中国、ロシアなどの反対を押し切って嘘で固めた理由で行なった、アメリカのイラク侵略戦争。これを積極的に支持した日本の責任は、今こそ問われなければならない。
NHKアラビア語講座のおねえさん、ご存じですか? 美しいし、インテリジェンスも、ユーモアも、ガッツもある人で大好きです。ああいう人が、日本語・アラビア語の完璧なバイリンガルとして活躍していること、それはやはり日本とアラブの関係が、既に半世紀を越えるという事実を物語っていると思います。
僕の親の同窓生にアラブ石油勤務だった人がいますが、一生をアラブとの関係に捧げて、もう退職です。ほんとうにアラブとは昨日今日の関係ではないんだよなーと思います。
もちろん日本の中東石油依存度の高さもよく知られるところ。国内産や北海油田を持つ欧米と違って、日本の高度成長は、高い造船技術もあいまって、中東からの原油輸送で支えられてきたのですよね。
東京で「イラン人」というと、麻薬バイヤーの隠語だったりしますけど、実はイランからの出稼ぎの人たちってかなり多いみたい。もちろんイラン人と日本人の夫婦もたくさんいらっしゃるでしょう。イラクの子供たちに一番人気なのはテレビアニメ「ちびまる子ちゃん」らしいです。欧米以外の先進国文化が受け入れられやすいということはあるとしても、日本の「お茶の間」のことを、あちらの子供たちはみーんな知ってたりするわけですよね、すごい。きっと我々にとっての「ダーリンとサマンサ」みたいなものでしょう。
アメリカ経由で世界を見ると、中東、特にイランは『ミッドナイト・エクスプレス』的なダークで閉鎖的で理解不能の国と映るかもしれませんけど、じつは日本人には身近だし、身近につきあえるハートを持った国と言えると思います。(自爆テロというのもサムライ的だし、きっとシーア派にもスンニ派にも『忠臣蔵』的なドラマはたくさん起きていると思います)
そのうち・・・対トルコでアラブ部族をまとめたロレンスのように、対アメリカでアラブをまとめる日本人、みたいなすごい人がでてくるかもしれませんよ~。