この表は日本農業新聞が発表したものである。今年の産物の輸出額は前年同期に比べ、344億円も増え2628億円にも達したと発表された。しかしその実態は極めて恣意的に操作されたものと言える。
その一つが、原料を輸入に頼っているという製品を丸々あたかも日本で生産されたように扱っていることである。このことは、日本農業新聞も取り上げ票の棒グラフを赤くして強調している。白抜きの原料はほとんど日本産というのも疑問が残るものがある。例えば牛肉であるが、多分輸入されている牛肉の多くは和牛肉であろうが、このカロリーの7割は輸入穀物である。味噌醤油やうどんにそば、インスタントラーメンなど、原料のほとんどを海外に依存していて、国産品と言えるものではない。
そしてさらに問題なのが、到底農産物として扱いうのはおかしな物まで多く含まれているということである。メントール(22億円)は全くの工業製品である。農産物として扱われていたことの業者も驚いているとのことであるが、原料もほとんど輸入されたいて日本の農家の収入には全く関係のないものである。その他、キャンディー類(36億円)、チョコレート菓子(34億円)、インスタントコーヒー(12億円)など、どうして国産品と言えるのか?少なくとも日本の農家の収入とは全く関係ない話である。
国内生産で、日本の農家の収入につながるのは、酒、お茶、リンゴ、イチゴ、米と限られたものしかない。
多分官僚か恣意的に、政策に沿った数字を示すために行ったことであろうというものである。攻める農業として輸出を奨励し、農家収入を増やすとする、アベノミクスの一環としてこのようなでたらめな数字が、いたるところで使われているに違いない。
現場では規模拡大すれば、あるいは嘘でも規模拡大しますと言えば、湯水のごとく金が流れてくる。どんな農業も、規模拡大すれば農業としての本態を失い、食料生産としての安全性も確保できなければ、環境汚染に必ずつながる。何よりも人がいなくなる。
農家は収支による判断が優先されるのは当然である。しかし、国家として食糧自給を論じるときには、カロリー計算で見なければならない。日本は現在過去最低の38%まで落ち込んでいる。地方創成は簡単なことである。一次産業を取り戻せばよいことである。