財政再建を政府が言わなくなって久しい。小泉純一郎は曲がりなりにも、財政再建に取り組み赤字を増やすことはなかった。それも並大抵のことではないし、小泉内閣は発足時(2001年)から特例公債をゼロにし、一般会計も抑えていた。その後は上の表をご覧いただければお分かりになるだろうが、公債の乱発である。更にはご短期的な視点だけの機嫌取り政策をやり続けることで、赤字額は増加の一途をたどっている。
建前上、安倍晋三は黒字化目標を2020年にしていたが、これを2025年に引き延ばした。財務省の発表によれば、国などの負債額は、1087兆円に膨らんでいる。これを引き延ばすことは黒字化を5年延ばすだけではない。その間、赤字が増えることを容認するという事でもある。
アベノミクスの第二の矢と称して、支持企業などへの金のバラまきを行っている。支援を受けた企業はそれ名入りに業績を上げてはいるが、それを賃金などの還元することなく、企業内保留として国民に還元しない。安倍内閣になってからの企業内留保は25%も伸びている。
もう一つ、医療費の増大など高齢化社会を理由にしているが、高齢化は突如来たものではなく政権が取り組むのが20年遅かったと言われているが、茫然と看過してきたことにこそ問題がある。財政の膨大な借金を漫然と看過し、黒字化の先送りする現在と重ね合わすことができる。困ったことには手を出さずに、先送りする。臭いものに蓋だけして、臭くなった理由など問わず、除去せずの政権の自己保身政策を掲げているようでは、更に赤字が進行することになる。その好例が、福祉予算を減額する一方で。防衛予算は着々と拡大するのである。国際情勢の変化で減らすことなど考えない。イージスショアーの導入などは、無駄だけでなく北朝鮮や中国はロシアなどを刺激するだけである。
高齢化社会を迎える日本では、やれ行けドンドンの経済政策など無理である。それに少子化が加わるのであれば、黒字化など夢のまた夢である。1億総活性化などしなくてよい。600兆円のGDP目標など到底無理な話である。これらの安倍晋三が乱発した目標は全てお金がかかり、企業が自己保身に走る結果になっている。
財政再建の目標の先送りは、更に負債を重ねることになる。国内GDP額を越えた頃にさかんに論議されたのが夢のようである。それが現在は2倍以上になってしまっているのである。
これは原発と同じである。政治家が今だけを乗り切り、未来に解決不能な負の遺産を残すことになる。おりしも東京電飾は、原発の再開へ足を踏み出した。一般会計を支える公債は税収に匹敵し、次世代から我々は借金していることになる。返済不能の借金であることに気が付きながら、黙したままである。