但し、金曜の夜7時頃に着いて、翌朝9時には母と別れる。
遠路はるばるだったけれど、ほかの用件があったため短時間の滞在。
早朝、寝床で、頼みたいことがあるという。
「かつて、気に入った言葉を自分でメモしたのだけれど、今、その手帳の鉛筆文字が小さすぎて、自分でも読めない」
「大きい文字に書き写して欲しい」
お安い御用と引き受ける。
昭和62年9月の日付の、そのメモの文章は次のように始まる。
『他人の邪ま(よこしま)を観るなかれ、彼が何をなし、何をなさざるかを云うなかれ。我は何をなし、何をなさざるかを思うべし』
- お釈迦様の説法の言葉 -
文字をノートに書き写しながら、何で母はこれを、私に頼んだのだろうか。
私に、本当は何か言いたいことがあるのだろうか。
ドキッとする。
その朝の寝床に起き上がって、書き写している私に、
「これで助かった、好きな言葉なんだけれど、小さくて読めなくて困っていた」
言ったのは、それだけ。
遠路はるばるだったけれど、ほかの用件があったため短時間の滞在。
早朝、寝床で、頼みたいことがあるという。
「かつて、気に入った言葉を自分でメモしたのだけれど、今、その手帳の鉛筆文字が小さすぎて、自分でも読めない」
「大きい文字に書き写して欲しい」
お安い御用と引き受ける。
昭和62年9月の日付の、そのメモの文章は次のように始まる。
『他人の邪ま(よこしま)を観るなかれ、彼が何をなし、何をなさざるかを云うなかれ。我は何をなし、何をなさざるかを思うべし』
- お釈迦様の説法の言葉 -
文字をノートに書き写しながら、何で母はこれを、私に頼んだのだろうか。
私に、本当は何か言いたいことがあるのだろうか。
ドキッとする。
その朝の寝床に起き上がって、書き写している私に、
「これで助かった、好きな言葉なんだけれど、小さくて読めなくて困っていた」
言ったのは、それだけ。