日々の暮らしから

「街中の案山子」「庭にいます。」から更にタイトル変更します。

映画「真珠の耳飾の少女」を観る。

2007-09-26 07:56:36 | 本・映画・テレビドラマ・絵・音楽
イギリス映画「真珠の耳飾の少女
舞台はオランダ。時代は1665年。
内容的にはおとなしいのですが、見どころは、フェルメールの絵のモデルとなった少女の醸しだす「美」を映像の中に再現、ということでしょうか。
産業活動が盛んになり、市民(ブルジョア)にも蓄財のゆとりが生まれ、絵を描くことが仕事として成り立ち始めた時代です。
フェルメールも注文を受けて絵を描く職業画家です。
注文主をパトロンと言っていましたが、彼らが後の画商という業種になるのでしょうか。
景気のよいオランダで人気画家レンブラントが注文を受けて肖像画を描き、大富豪になったかと思うと、景気下降で破綻したり。勃興期の浮き沈みは、今の時代に繋がるのかもしれません。
身辺の大道具小道具の時代考証も丁寧で(東洋人の私から見ると)、17世紀のオランダを見ることができる。
絵の具の色ひとつにしても、鉱物を摩り下ろして造っていく。チューブ入りの絵の具が並んでいても上手く出せないのに、あのような手作りで作品を描いていたのかと想像すると、かつての絵描きさんの執着のすごさに感心する(17世紀でこれだから、ルネッサンスの時代は更に手がかかったでしょう)。

そして、少女が見せる表情の美しさに、撮影技術の粋を感じます。
中世の終わり、手工業の時代の町の雑踏に、一粒の真珠が…、そんな美しさです。



コメント
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