車輪は天体の運行を表現する、という見方からは、科学の起源、といえます。同時に機械技術の原点ともいえます。現代文明が科学と機械の実用化を基礎としているとみれば、車輪はその物理的な実体、と言えます。
家の洗濯機が故障しました。数年以上、毎日使っていたので回転部分が摩耗したようです。ベアリングの摩耗は回転機械の寿命です。部品を交換するか、全体を買い替えるかしないと、使用を続けられません。劣化の概念は車輪の利用から発生した、と思われます。
電動モーターの概念からは電磁誘電の科学が生まれ、電波通信の発明によって、今日の通信機械が大発展します。電波技術を発展させて、前世紀に発明された光通信技術は今世紀に入って完全に社会インフラになっています。
これらの基盤技術の基本概念は、車輪の回転運動の数学的表現(微積分)を基礎としています。
回転運動の概念は、スピンと波動の概念を生み出し、物理学の基礎を作りました。
車輪は、実用価値が他の道具に比べて飛躍的に高いがゆえに、短期間で世界に普及しました。近代には産業革命を導き、エネルギー変換技術と融合して、さらにその実用価値を高め現代文明必須のインフラを構成しています。
過去の文明になかった現代文明の特徴は、基礎科学の研究と応用が各国の競争と協力によって新産業を生み出し、経済と生活を向上させるという図式が、世界にいきわたっていることです。
