哲学の科学

science of philosophy

人工知能は人間になれるか(3)

2023-06-25 | yy90人工知能は人間になれるか

こうなると、実用化ビジネスが急に立ち上がってきます。DXの最新版ということで、いまや世界中の会社が試作や応用に参加し始めています。有力新技術として政府も支援を急いでいます。
では、いよいよ人工知能は人間に近い存在になるのか?機械の能力が進化すれば、人間に似てくるのでしょうか?いやしかし、昔の電話に比べればスマホは恐ろしく発達していますが、人間に似てはいませんね。AIが発達しても人間に似るとは言えません。
新技術は需要に引き出されて進化します。AIが人間に似てくるためには、そのような需要が出てくる必要があるでしょう。
今のAIには欠けていると言われる人間的な感情、あるいは意識、と言われるものにもし大きな需要が出てくるとすれば、それは開発の対象になる。たとえばAIを孤独な老人の大事なペットにしたい、というような大きな需要があれば、あとは技術とコストの問題になります。
その需要に見合うコストを実現する技術が実現可能でしょうか?技術がここまで進歩してくるところをみると、長期的には経済の問題、と思えますね。

さて、意識を持つコンピュータは、いつか、実現できるのか、という問題。意識とは何か?人間は意識を持っていることは明らか、と前提する(拙稿9章「意識はなぜあるのか」)ならば、それは可能です。
目を合わせると見返してくるネコのような物体は意識を持っているように見えます。見られると逃げるロボットがあれば、それも意識を持つ、と思えます。
つまり目的を持つかのように動く物体は意識を持っている、と言うことにするならば。そのロボットには意識がある、と言えます。そのロボットをアバター画像として表示するAIは、意識を持つ、と言ってよし。つまり、そのAIは人間に似ている、ということになります。








自然科学ランキング
コメント

人工知能は人間になれるか(2)

2023-06-16 | yy90人工知能は人間になれるか

画像では、リアルな仮面のような絵が現れます。たいていクールな表情をしている。機械の出力が人間の心の働きであるように見える。神秘的で同時に不気味ですね。

さて、人工知能は人間になれるか?
今日の最難関問題といわれています。シンギュラリティとか難しそうなコンセプトです。発音も難しい。しかし簡単に答えようとすれば、答えは至極単純。人工知能は人間になれます。答えはイエスです。

人工知能はコンピュータです。コンピュータは万能機械(チューリングマシーン)の原理で作られています。だから十分高性能のコンピュータを作れば、人間が作った問題である限り、原則としてすべて解けます(一九三六年 アラン・マシスン・チューリング「計算可能数、ならびにそのヒルベルトの決定問題への応用 On Computable Numbers, with an Application to the Entscheidungsproblem」)。 
しかしながら二十世紀中は計算速度が遅くて実用上、人間の脳にはまったくかないませんでした。二十世紀末から発展した多層ニューラルネット構造の計算処理速度が速くなり、大量のデータを高速で処理できるようになったので、リアルタイムの反応が可能になりました。人間と会話もできるしリアルな三次元動画もすぐ描けます。








自然科学ランキング
コメント

人工知能は人間になれるか(1)

2023-06-12 | yy90人工知能は人間になれるか


(90  人工知能は人間になれるか  begin)





90  人工知能は人間になれるか?

人工知能という語は一九六〇年代コンピュータ科学の黎明期に誕生し、SFやマンガの読者に愛され続けると同時に、近未来の革新技術として存在感と現実感を保ち続けました。
一九八〇年代末ころ、NASDA(現JAXA)にいた筆者も、宇宙技術の先端テーマを開始する意気込みで研究活動を開始しました。日本人工知能学会の会長、大須賀節雄先生のご指導を得て一九九〇年、第一回国際人工知能・ロボット・オートメーションシンポジウム(International Symposium on Artificial Intelligence, Robotics and Automation in Space 【i-SAIRAS】 )を立ち上げました。欧米の研究者の参加を得てその後隔年で各国をめぐって開催されています。
さて、老年の筆者が驚いたことには、最近、このSF的な技術が、一般マスメディアの注目を集めているらしい。
人工知能つまりAIが、碁や将棋の名人に勝つなど、急に人間に代わる知性を持ち始めた、といわれています。データ学習機能を洗練させた最近のAIは人間に代わるほど文章や画像が上手になってきたようです。
文書事務などでは人間と見分けがつかない能力を発揮する、といわれています。たいていの事務職はコンピュータに置き換えられて仕事がなくなる。つまり、サラリーマン職業の脅威であるそうです。

人間ができる仕事は、徐々にAIができるようになる。多くの仕事がAIで置き換えられていく。ということは、まあその通りでしょう。そうしたほうが効率が良くなるからです。
そうではあろうが、しかし、そういう実務的な問題と、人工知能はいずれ人間のようになるかというSF的な話題とは、ちょっと違います。
人工知能とかロボットとかいう概念が、魅力的、あるいは神秘的な感じを持っているのは、それが生きている人間に似ていてしかも決して人間ではない、というところでしょう。理科室の骸骨模型に似た不気味さです。小学生は友達を誘ってのぞきに行きます。
人工知能というコンピュータシステムが、ほかのコンピュータと違って神秘的でありかつ不気味なイメージを持っているのは、生身の人体が人工合成されてこちらに動いてくる、なにか意識のようなものを持っている、かのように思えるからでしょう。







自然科学ランキング
コメント

資本主義の夢(12)

2023-06-03 | yy89資本主義の夢


令和五年目の現在、パンデミックの人流規制は全廃され、インフレはまだ規制域に達していません。悲観が加速される状況はなくなったように見えます。
分断が進む世界政治の中で日本はいまだ勝ち組に与しているらしい。沈み込みがさらに進むこともなさそうです。ただし強い楽観が国民に広がる気配はありません。不安と悲観はむしろ目立ってきているようです。不安定ないらだちがマスメディアをシニシズムに追いやるでしょう。
若い人がアンシャン・レジームを尻目に見て新世界を作り出せるかどうか?その気配は、見えていません。しかし多くの人が目新しい情報を探してはいます。機会をうかがう気分は一方で高まっている。どこかに割れ目があればそれを押し広げる場面はあり得る、といえます。
夢がある新しい世界はどこか?才能と挑戦が殺到する戦いの場は間もなく現れてくるのでしょうか?
それは生成AI・VR世界の展開なのか?医療・農業・生物の革命的な新製品、あるいはエネルギー変換システムの大発明なのか?旧世界にしか視野がない筆者には予想もつきません。
規制好きの政府とメディアが気づかない新領域で、新しい資本主義の夢がふつふつと沸き上がり、たくましく育ってほしいものです。■ 





    
(89 資本主義の夢 end)









自然科学ランキング
コメント

文献