哲学の科学

science of philosophy

理論を語る人々(11)

2023-01-29 | yy87理論を語る人々


カタストロフィーに達して、交代が自然発生する現象を待つしかないのでしょうか?森林の交代のように高木が倒れ地面に日光がさせば若木が育つ。高木は倒れるほうが良いのか?山火事はいつ起こるのか?
高木林の林冠にはしかし、小型の動物、昆虫類が多数棲息している。むしろ日がささない地面より高木の林冠は、はるかに生産性が高く、そこからこぼれ落ちる栄養を頼りに暗い地面の動植物は生活しています。
とりあえず山火事は防止すべきでしょう。しかし完全な安全対策は長期的には結局、危険を蓄積する、という状況が現代システムのパラドックスです。
人類絶滅のカタストロフィーは困る。それでもそれを絶対さけるには、小さなカタストロフィーは地球上の所所で起こっている必要があるのかもしれない。
火事が地球全体に燃え広がることを防ぐには、江戸時代の火消しのように密集した周辺の家屋を破壊して間引くシステムが必要かもしれません。
現代の真の危険は、実は、ゼロリスク、ゼロエピデミック、ゼロ戦争、ゼロクーデター、ゼロ不況を目指す社会システムにある、ともいえます。












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理論を語る人々(10)

2023-01-21 | yy87理論を語る人々


世代交代理論
疫病ウイルスは数週間単位で世代を交代し新変異株は繰り返し世界に拡散する。そしてその進化は人間社会の環境に適応し最新医学の反撃に耐える。いま世界を支配する新型コロナウイルスは数年におよぶ長期政権となっています。
赤の女王(一八六五年 チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン/ルイス・キャロル「不思議の国のアリス Alice's Adventures in Wonderland」、一九九四年 マット・リドレー「赤の女王/性と人間性の進化 The Red Queen: Sex and the Evolution of Human Nature」拙稿60章「エゴイズムな人々」)の言う通りです。
現代資本主義の時代、人々は希望に向かって走る。走らなければなりません。競争について行かなければならない。経済を回転させるためには絶えず技術と市場構造を革新し、それに合わせて世論と政権も交代させ続けなければなりません。
現代社会でそれを実行できるのは誰でしょうか?いまや政府や政治家はその必要を感じている。大学の知識人やマスメディアも必要は分かっています。しかし彼らにはできません。
だれもが赤の女王と一緒に全速力で走っているのに、進んでいるような気がしません。









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理論を語る人々(9)

2023-01-19 | yy87理論を語る人々


ユニコーン理論
一儲けをたくらむ若者、一発当てて成金になった人々。成り上がりもの。ある社会では嫌われるが、別の社会、別のカルチャーでは憧れられる。
少女に好かれる一角獣。これが育つようならば経済の将来は明るいという考え方がユニコーン理論。
これ、日本では少ない。若い起業家は出てきません。実際、一獲千金をつかんでも人々には案外もてません。成り上がりの若い社長に大事な金を預ける人も少ない。
これではまずい、と政府も心配しているようですが、国民の保守傾向は変わりません。
税制インセンティブなどを用意してユニコーンに出てきてもらって産業を活性化しようというのが政府の狙いでしょうが、それだけでは無理でしょう。順序が逆で、むしろ産業が活性化するような環境にユニコーンが頻出する。
野心を燃やす空気、つまり若者の自己肯定感が強く若い活躍を期待する社会の環境があればそれに引き出されて多くの挑戦が試みられます。それに伴って種々のデマンドが作られテクノロジーが育ってくる。逆の順序での政府誘導はうまくいきません。









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理論を語る人々(8)

2023-01-07 | yy87理論を語る人々


明治日本の成功を追って共産中国、韓国、東南アジア諸国は殖産興業に成功しています。しかし先進国になった日本をはじめ欧米先進国では自分が先頭を走るしかなくなる。過去の成功例に追従するだけの殖産興業理論は使えません。
今世紀の成功産業であるIT産業は自由主義の米国で発展し各国はこれを追随しています。やはりGAFAのように自由闊達で自信満々の野心家による創業を期待するしかないのでしょうか?
自由競争理論
現代の社会は経済の大成功者つまり超富裕層によってリードされているとみる理論もあります。
珍奇なアイデアで風変わりなシステムを売り出しても、たいていの国では政府、会社やマスコミの偉い人たちに叱られます。
そうでない環境、自由闊達の世界にいる野心的な人々。戦後の闇市とか、奨学金や研究資金が潤沢な欧米のエリート大学とか。シリコンバレーとか。アイデアで大いに儲けて金持ちになれば尊敬されてフォロワーが集まる。失敗しても再起できる。資金募集すれば可能性に投資する人が多いという風土。
そのような場で自由競争を勝ち抜く人々が経済社会をリードすることが社会をよくする、という理論があります。自由競争理論です。








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