哲学の科学

science of philosophy

宇宙人はいるか(6)

2017-05-27 | yy57宇宙人はいるか


何億とある地球的惑星のうちのいくつかでは、何億年かに一度くらいは自己複製分子構造とその進化過程は必然的に発生する、と推定するほうが合理的です。
結論として、宇宙発生生物はこの銀河系内に数万、数十万あるいは数百万の数で独立に発生進化している、といえます。
ただし隣り合う二つの地球的天体の間の距離は、数十光年という天文学的距離になるでしょう。光ロケットで何十年も飛べば、宇宙生物が発生する環境があるかもしれない、という話です。
気が遠くなるような遠いところに必ず地球的天体があり、さらに非常にまれではあってもそのうちのいくつかの天体表面では生物のような構造が発生する可能性は否定できない、という言い方が現在の科学知識の結論となります。

それでは次に、地球的天体の上で発生した宇宙生物は人類のような知的生命体になれるのでしょうか?答えは当たり前ですが、イエスです。私たちがここにいるということがその証拠です。しかしこの進化現象は宇宙の歴史上二回以上起こるのでしょうか?この太陽系に関してはノーです。地球人類以外に知的生物はいません。
しかし、私たちが知りたいことはそんな当たり前のことではありません。宇宙のどこかに人類のように高度な文明を持つ存在がいるのかどうかです。特に先に述べたような生物発生の可能性を持つ地球的天体では、どうなのでしょうか?
この問題を調べるには、まず地球上の生物群の中から、どのようにして人類が発生したか、を知る必要があります。
まず地球上の生物は進化します。ダーウィンの進化論が述べるように、遺伝機構が働き、かつ地理的分離など生態系の分離が起これば生物は多様化する。多様な生物の間で生存リソースを奪いあう生存競争が起こって勝利者が大発展する。増殖し拡散した勝利者の間で再び競争が起こり、次の段階の進化が始まる。






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宇宙人はいるか(5)

2017-05-20 | yy57宇宙人はいるか


問題を限定するために、まず、宇宙のどこかに地球と同じような環境を持つ天体があると仮定して、そこでは数十億年の時間をかければ地球のように生物に満ちた生態系が実現するのかどうか、を少し詳しく調べてみましょう。
近年、宇宙生物学(astrobiology)という科学が発展してこの問題は学術的に研究されています。生物が発生し進化する惑星(あるいは小天体)に必要な環境条件が分かってきています。
地球が形成されたころの高温の溶岩で覆われた地表面が放射冷却されていく過程で海ができ火山ができ、宇宙放射線が降り注ぐような環境変化の下で生命の材料である有機高分子が自然生成されることは理論と実験で確かめられてきました。実際、このような環境変化は太陽系以外の惑星系でもかなり頻繁に起こり得る現象であるので、その生成物である有機高分子はかなりの頻度でいろいろな惑星系に存在するはずです。
水(液体状態のH2O)および有機分子が安定的に高濃度に存在するためには温度と気圧が適当な範囲内にあって紫外線や放射線から遮蔽された微細な閉空間(たとえば多孔質岩石、粘土、アスベスト、生物体など)が必要です。惑星あるいは惑星の衛星や彗星などがこのような環境を保有するためには、母星(太陽系の太陽のように惑星軌道の中心にある恒星)からの軌道半径、自転速度、地表面重力、地表面成分、気体濃度、などの組み合わせが適当な範囲内にある条件が必要です。
惑星系の各惑星の重力、軌道、自転速度、表面の化学成分などは惑星生成時に原料となった希薄物質の分布状態や生成過程での衝突融合の偶然性によって幅の広いばらつきがありますから、広い宇宙の数千億の惑星系はそれぞれ勝手なばらばらの条件で生成されていると推測できます。つまり、それぞれの惑星の個性はばらついている。どうにでもなり得る、かなり変わった惑星がいくらでもあり得る、といえます。
そうであれば、液相の水とそれに溶け込んだ有機分子が頻繁に縮合しかつ高分子量の重合体として安定的に存在する惑星あるいは天体上の環境は、この銀河系の中にでもいくつもある、といってよいでしょう。それを地球的天体ということにしましょう。
地球的天体では、先に述べたように有機高分子からたまたま細胞ができ、それがたまたま多重膜細胞に進化し、またしてもたまたま多細胞となり、多様な動物となる可能性を否定することはできません。数億年の時間があれば、あらゆる化学過程は繰り返し、何億回も同じような化合や分離が起こるわけですから、低い確率の現象も繰り返し発生するからです。自己複製機能を持つ細胞が偶然できてしまうと、急速に増殖し、進化発展する可能性は急に大きくなるでしょう。






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宇宙人はいるか(4)

2017-05-13 | yy57宇宙人はいるか


DNAを使う遺伝子機構が確立した後は、二十億年くらい試行錯誤で食うか食われるかの競争を繰り返した結果、分裂した娘細胞どうしをアンカーでつなぎとめたまま多細胞で膜状や管状などの構造を作って細胞分化を進め栄養補給能力をあげてくる多細胞動物があらわれます(最初の多細胞動物のイメージは海綿のようなものです)。
その後、五億年くらいたって原因不明の生物大絶滅のあと、前後左右の対称軸を持つ動物が大繁栄しはじめて節足動物や脊椎動物の祖先が出現します。
その後の進化のスピードは速い。というか、目に見えて進化してきます。脊椎動物は魚になり、そのうち上陸した四つ足の肺魚から両生類が出て、そのうち羊膜を備えて水密性の卵を作れた種族が水から出て爬虫類、鳥類、哺乳類になってきます。
哺乳類の世界では敏捷であるか器用であるかするものが有利らしく、脳神経が極度に発達して手先が器用な人類が結果的に勝ち残って、全地球を制覇していきます。
脳が大きいため発達が遅く手間のかかる育児のため協力する家族社会が必要な人類は、コミュニケーション装置として言語を発展させ、農耕牧畜文化を経てついに都市文明、科学文明を築き今日に至っています。

このような数十億年にわたる過程を経て人類はここに存在していることを、私たちは知っています。さて、このような過程は、広い宇宙のどこかで、いつか、地球上であったと同じようにもう一度起こるのかどうか? 実際、起こっているのかどうか? 
確率は低くても、ゼロではないのか? それとも確率は実質ゼロか無限小であって、宇宙の歴史上たった一度だけ起きた奇跡のようなできごとなのか? このような奇跡は再び起こることはない、と判断すべきなのでしょうか?
まずそういう問題があります。






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宇宙人はいるか(3)

2017-05-06 | yy57宇宙人はいるか


まず、私たちがよく知っている事実として、この地球には人類が大繁栄しているが太陽系のほかの天体には、人類どころか生物の痕跡も、はっきりとは見つかっていません。それは当たり前、という気もしますが、一方、不思議な気もします。そこから出発してみましょう。

そもそも、この地球にはなぜ人類が住んでいるのか?
昔の人は、それは神様がそう創ったからだ、と思っていましたが、現代人は、進化論などを勉強して、宇宙と生物の発生と進化、という科学的創世記の概念で理解しています。この科学概念は偶然と必然という抽象概念を下敷きにしています。
簡単におさらいしてみましょう。

この宇宙は百三十八億年前に(何の理由もなく)ビッグバンで発生しましたが、その九十三億年後、つまり今から四十五億年前に太陽系ができました。
太陽系ができた過程はかなりはっきり分かっています。そのころ偶然近くで起こった超新星爆発の影響で希薄な水素やヘリウムが凝縮して太陽ができあがり、その重力の周りをまわる軌道上で集積した物質のかたまりの一つが地球になりました。地球の大きさと軌道がちょうど水を液体状態にする温度と気圧におさまっていたので海ができました。
一億年もすると、地球周りの隕石がほとんど地球に落下し衝突してなくなったので衝突熱も冷えてきて緩やかな温度変動になってきました。常温の気象変化と化学変化が続く中で海底火山の高温や宇宙放射線などのエネルギー照射によって有機分子の重合が進み、種々の有機物質が集積されてきます。有機物の濃度が濃いドロドロした水溶液のたまり場などで、偶然の試行錯誤の末、核酸やタンパク質など生物の材料ができたと思われます。
両親媒性分子(水と油の両方に溶ける分子)であるリン脂質やタンパク質などの自己凝集により膜でとじられた細胞が作られ、互いに融合分離を繰り返しているうちに、偶然の積み重なりで細胞の内部構造が作られてきます。この過程を実証する実験には数百万年はかかるので、理論的推測でしかありません。
高分子の自己凝集により成長する細胞間で融合分離が起こり、効率的な内部機構を備えた細胞が、成長が速いため勝ち残り、他の細胞を融合して増殖してきます。最終的に、有核細胞やミトコンドリア、葉緑体など高度な内部機構を備えた多重膜細胞が融合分離過程で勝ち残って進化してきたと考えられます。この過程も実験するには数百万年もかかるので理論で推測するしかありません。






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