哲学の科学

science of philosophy

ギャップダイナミクス(8)

2024-01-27 | yy93ギャップダイナミクス


アレキサンダーのギリシア語。ローマ帝国のラテン語。大英帝国の英語。そしてアメリカンイングリッシュ。時の文明の頂点をなした言語。
現代では、インディアンやフランス人など、英語育ちでない言語の人はこれがないので世界を征服することを思いつきにくい。
たとえば生成型人工知能などを作ってみたい、と思っても、英語の巨大なデータベースがなければなかなか取り掛かる気がしないでしょう。
オープンAI社は、英語の企業です。二〇二二年に生成型人工知能ChatGPTを無料で利用者に提供するサービスを開始し、わずか二か月で一億人のユーザー登録を獲得しました。世界中の人が驚き恐れた世界制覇です。
「人類にとって安全かつ有益な人工知能を開発し、グーグルのような巨大企業の利益追求型AIラボに対抗する役割を果たす」という理念に基づいて開発業務を実行する会社です。つまり善意ある世界制覇を目指しています。
その善意の意味が企業の創始者が違うと、すこしずつ違っているところが面白い。
いずれにせよ、オープンAIも、グーグルをはじめとするマグニフィセントセブンも、アレキサンダー大王と同じように善意ある征服者です。彼らはいずれも、世界に普及すべき(多言語)汎用のデジタルプラットフォームを作って人々を幸福に導くべく善意ある世界制覇を目指しています。単に荒稼ぎを求める成り上がり資本家ではありません。














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ギャップダイナミクス(7)

2024-01-20 | yy93ギャップダイナミクス


社内でネクタイを締めている人はいないらしい。筆者は二〇〇〇年ころグーグル本社を訪問したことがありますが、社内を自転車で走っている人たちを見て驚いた覚えがあります。
ライフルとスコップを担いで金鉱を掘り当てる。鉄道が引かれ町ができ、酒場と銀行が立ちます。山師に資金を融資する銀行家も冒険家です。ベンチャーキャピタルと言います。
バーボンをひっかけてライフルをぶっ放す粗野な一匹狼。一獲千金を狙う乱暴者だが何か共通の理想を持っているようにも見えます。
急拡大する西部開拓の夢。フロンティアスピリット。皆が喜ぶ理想のデジタルプラットフォームを作って、善意ある世界制覇を目指す。

善意ある世界制覇
マケドニアファランクスを完成させてペルシア世界の制覇をなしとげたアレキサンダー大王。卓越した軍事力に加えてアリストテレス直伝の理想を具備していました。東洋世界を席捲して正しいギリシア文明を普遍化する、善意に満ちた征服者でした。
アレキサンダーは、なぜ、世界制覇を思いついたのか?歴史家は種々の理論を唱えていてそれぞれ正しいのでしょうが、一つは彼がギリシア語を使う征服者だったから、といえます。
当時、ギリシア語は世界のすべてを理解できる言語だった、と思われていたからでしょう。ギリシア語を使っている限り、この世で不可能なものがあるはずがない、と彼は思っていたのでしょう。
現代のマグニフィセントセブンは英語の人々です。英語は世界一の言語です。英語で理解できないものは現代のこの世界に存在しない、と思っています。














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ギャップダイナミクス(6)

2024-01-13 | yy93ギャップダイナミクス


マグニフィセントセブン
荒野の七人(The Magnificent Seven 1960年 ジョン・スタージェス監督)は、七人の侍(黒澤明監督 1954年)のリメイク西部劇映画です。
米国株式市場ではマグニフィセントセブンと呼ばれる七社が景気を牽引しています。GAFAM五社(アルファベット【グーグル】、アマゾン、メタ【フェイスブック】、アップル、マイクロソフト)に加えてテスラとエヌビディアです。 
七人の侍たちは、村を襲う四十騎の野盗と戦い敵を全滅させますが、味方も多くを失います。「負け戦だったな」勝ち残った志村喬演ずる侍のリーダーはつぶやきます。 
マグニフィセントセブン七社のなかで創業者社長が残っている企業は、メタ、テスラ、エヌビディアの三社です。
生成AIの戦国時代といわれる現代の世界産業界で西部劇の英雄のイメージで語られるマグニフィセントセブンの株がなぜ、世界一高く買われるのか?
IT革命を作り出した創業者七人の能力が買われているのでしょう。創業者が若くして起業し急成長し世界市場を制覇しています。
グーグルはラリー・ペイジ(1973~)が一九八九年創業。アマゾンはジェフ・ベゾス(1964~)が同じく一九八九年創業。フェイスブックはマーク・ザッカーバーグ(1984~)が二〇〇四年創業。アップルはスティーブ・ジョブズ(1955~2011)が一九七六年創業。マイクロソフトはビル・ゲイツ(1955~)が一九七五年創業。テスラはイーロン・マスク(1971~)が二〇〇四年共同創業者会長。エヌビディアはジェンスン・フアン(1963~)が一九九三年創業。
これらIT創業者の共通点は、アメリカ育ち、若くして創業、コンピュータ技術者、1980年代末から2000年代初頭の創業、シリコンバレーなどの創業者コミュニティでプラットフォーム立ち上げ、先端技術導入、起業買収合併を繰り返す。急速な市場拡大、海外進出、新製品開発。
西部劇の開拓者に似ています。













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ギャップダイナミクス(5)

2024-01-06 | yy93ギャップダイナミクス


東急池上線戸越銀座駅の前に延びる戸越銀座通りは、昭和に盛況を活した大商店街ですが、現在も四百軒の店舗に毎日一万人の買い物客でにぎわっています。商店街の存在理由は昔からあったが、それが大型ショッピングモールに移ってしまったようです。
商店街はふつう組合によって民主的に管理されますが、ショッピングモールは大資本が優秀な管理者を任命して運営されます。封建領主の連合は、しばしば帝国主義国の派遣する植民地総督に負けます。最後は革命によって国民の会議が勝つのでしょうか?
一九九〇年二月、日米構造協議において米国は、大規模小売店舗法(大店法)は非関税障壁である、と指摘し撤廃を要求しました。十年にわたって協議は続き、国会審議を経て二〇〇〇年六月に至りこの法律は廃止され、代わりに、大型店と地域社会との融和の促進を図ることを主眼とした大規模小売店舗立地法(大店立地法)が施行されました。
地元商店街と大型ショッピングモールの関係は、中小業者と消費者の利害が相反する典型例ですが、昨今はこれにアマゾンなどインターネット通販事業者が加わって複雑な三角関係にもなっています。消費者としても経済性と便利性ばかりでなく、前述した気分転換、回遊、新規体験などの必要が実はかなり重要であるので、日常生活における地域の環境とショッピングモールの存在は生活の質、さらには人生の基底として軽視できない面があるといえます。













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