幸福度調査での回答分析データによると未婚女性の幸福度はたしかに既婚女性のそれよりも低い、となっています。ところが詳細分析では、子持ち有職既婚女性の幸福度は、子無し専業主婦のそれよりも低い、となる。
女性有職者が増え続ける限り少子化は当然、との理論的背景が見えてきます。
女性人生の未来を米国に見るのは乱暴な理論ですが、その国では六〇歳前後の未婚子無し女性の幸福度が最高、以下幸福順に、既婚有子男性、既婚有子女性と続き、最下位は未婚無子男性です(米国国勢調査2018 Survey of Income and Program Participation)。
これらデータが蓄積資産額、あるいは余暇時間などの数値と相関が高いことを分析すれば、少子化問題も社会学、心理学というよりもドライな経済学の範疇に近い問題と見ることもできます。
金持ち自己増殖理論
金を持たなければ金持ちになれない、という理論は昔から庶民の間にありますが、なかなかこれを断定するインテリはいません。今世紀になってからデータ分析に基づいたこの理論が表に出るようになり議論が精緻化してきました(二〇一三年 トマ・ピケティ「二十一世紀の資本 LE CAPITAL AU XXIe SIECLE」)。
どうすれば金持ちになれるのか?青少年はだれでもこれが人生の最重要問題だと思っています。能力を磨き真面目に努力すれば偉くなれる、と偉い人は教えます。一方、これは嘘、という理論もある。
金持ち狡猾理論
金持ちはずるい、真面目な顔をしてダブルスタンダードを語る。金持ち偽善論です。これも昔からあり、これの理論化における金字塔は共産主義理論(一八六七年 カール・マルクス「資本論 第一部」)です。
共産主義理論
資本家といわれる人々がいます。彼らは金持ちで金を使って会社を作りあるいは買い、会社を使ってさらに金を稼ぎ、その金でさらに会社を大きくする。つまり資本は自己増殖する。金持ちは何代にも渡って金持ちの家系を維持できます。
金がない人はこのサイクルに初めから乗れないから会社に雇われるしかない。それではいつまでたっても金持ちにはなれない。
そこで社会を平等にするためには資本家をなくそう、金持ちの私有財産を否定しよう、金で動くマスコミや言論人を追放しよう、資本主義諸国の干渉を排除しよう、という政治を人々が望むことがあります。
このような共産主義を実現するためにはこの政治思想、共産イデオロギーを堅持する党員が団結して革命を起こし独裁政権を作るしかない、ということになります(一八四八年 カール・マルクス、フリードリヒ・エンゲルス「共産党宣言」)。