哲学の科学

science of philosophy

理論を語る人々(7)

2022-12-31 | yy87理論を語る人々



殖産興業理論
この政治システムではしかし、政府、与党の内部以外では優秀な人材が活躍できません。独裁は自由な活動を抑圧し社会の沈滞を招く。科学技術も発展しないし経済も発展しないでしょう。国全体が貧乏のままになってしまうのではないか?
それならば独裁国家が計画的に殖産興業を進めれば良いだろう、となります。専制君主、独裁国家主義、軍事政権など共産主義国家以外でも、独裁性が強ければ実行可能です。











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理論を語る人々(6)

2022-12-23 | yy87理論を語る人々



共産党独裁理論
革命が成功し、共産党独裁が最良、と決めるとして、さてそれでは共産党が権力を維持するシステムはどうあればよいか?自分たちの独裁以外のシステムが出てこないように毎日、悪い芽を摘まなければいけません。
そのためには利口そうな口を利く人々の勝手な動きを抑えて一人の偉大な指導者に権力を集中することがよい。その手段は力と恐怖の政治、つまり軍と警察を筋金とする官僚組織を全国的に組み上げてマキアヴェリズムに徹する(拙稿69章「モブのボスはモブなのか」)、人々に対しては、自信たっぷりの偽善に徹することが最良、となります。 
いわば毒を以て毒を制する、劇薬療法です。健康を取り戻すには長い時間がかかりそうです。











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理論を語る人々(5)

2022-12-17 | yy87理論を語る人々


幸福度調査での回答分析データによると未婚女性の幸福度はたしかに既婚女性のそれよりも低い、となっています。ところが詳細分析では、子持ち有職既婚女性の幸福度は、子無し専業主婦のそれよりも低い、となる。
女性有職者が増え続ける限り少子化は当然、との理論的背景が見えてきます。
女性人生の未来を米国に見るのは乱暴な理論ですが、その国では六〇歳前後の未婚子無し女性の幸福度が最高、以下幸福順に、既婚有子男性、既婚有子女性と続き、最下位は未婚無子男性です(米国国勢調査2018 Survey of Income and Program Participation)。 
これらデータが蓄積資産額、あるいは余暇時間などの数値と相関が高いことを分析すれば、少子化問題も社会学、心理学というよりもドライな経済学の範疇に近い問題と見ることもできます。

金持ち自己増殖理論
金を持たなければ金持ちになれない、という理論は昔から庶民の間にありますが、なかなかこれを断定するインテリはいません。今世紀になってからデータ分析に基づいたこの理論が表に出るようになり議論が精緻化してきました(二〇一三年 トマ・ピケティ「二十一世紀の資本 LE CAPITAL AU XXIe SIECLE」)。 
どうすれば金持ちになれるのか?青少年はだれでもこれが人生の最重要問題だと思っています。能力を磨き真面目に努力すれば偉くなれる、と偉い人は教えます。一方、これは嘘、という理論もある。
金持ち狡猾理論
金持ちはずるい、真面目な顔をしてダブルスタンダードを語る。金持ち偽善論です。これも昔からあり、これの理論化における金字塔は共産主義理論(一八六七年 カール・マルクス「資本論 第一部」)です。
共産主義理論
資本家といわれる人々がいます。彼らは金持ちで金を使って会社を作りあるいは買い、会社を使ってさらに金を稼ぎ、その金でさらに会社を大きくする。つまり資本は自己増殖する。金持ちは何代にも渡って金持ちの家系を維持できます。
金がない人はこのサイクルに初めから乗れないから会社に雇われるしかない。それではいつまでたっても金持ちにはなれない。
そこで社会を平等にするためには資本家をなくそう、金持ちの私有財産を否定しよう、金で動くマスコミや言論人を追放しよう、資本主義諸国の干渉を排除しよう、という政治を人々が望むことがあります。
このような共産主義を実現するためにはこの政治思想、共産イデオロギーを堅持する党員が団結して革命を起こし独裁政権を作るしかない、ということになります(一八四八年 カール・マルクス、フリードリヒ・エンゲルス「共産党宣言」)。










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理論を語る人々(4)

2022-12-10 | yy87理論を語る人々


性別がないとまず子供がうまく作れない。結婚、出産、育児、家族。大昔からジェンダーは社会構造の主要な構成要素として存在しています。女は子供のために耐える。男は女のために戦う。同性間競争。嫉妬、差別、プライド、虚栄。現代社会にとってマイナスのように言われますが実は人口維持エネルギーの源泉でもあるのかもしれない。
性別意識は家族単位の社会を支える強力な駆動力です。が、強力であるがゆえに逸脱した派生理論も産む(拙稿54章「性的魅力の存在論」)。男性能力理論、女性魅力理論、母性理論、性的幻想理論、その他。人生を退屈させない機能がある。
女性蔑視理論はかなり手ごわい。少なくとも現代日本の局所最適解を支えています。

負け犬理論
三〇代未婚無子の女性を揶揄して負け犬という流行語がありました(二〇〇三年 酒井 順子「負け犬の遠吠え」)。昔から行き遅れ、という語があり、三十歳前後の未婚女性本人や親に年齢を意識させる社会の理論的仕掛けとなっています。
日本国憲法第二十四条「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」
つまり二人が合意する以外の条件はない。年齢など関係ありません。それにも関わらず、負け犬になるのは嫌な気がする理論的仕掛けになっているらしい。その負け犬理論とは何か?
女の人生は結婚するかしないかでまっぷたつに分かれる、結局は結婚しないとダメ、という理論。生涯未婚は不幸、というメタ理論が裏にあるようですが、これはあまり語られていないようです。










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理論を語る人々(3)

2022-12-03 | yy87理論を語る人々


がんばり礼賛理論
ひたすら前進することが正しい、という人生理論。休まず愚直に攻める。夜遅くまで働く。休憩は疲労回復のための最小限。先のことは予測できないからただ努力するしかない、という理論。たしかに、平和な時代はこの理論がほぼ正しい。たいていは成功します。
現代の日本、あるいは昔でも江戸時代のような安定した時代には正しい理論だったでしょう。そうでない時代、戦乱の世では、地味な努力の蓄積が一夜にして奪い去られます。
平和な現代でもマスメディアの影響で戦乱を危惧する人は安心して勉強など努力に頼れないのでいらだつでしょう。そのような場合は宝くじなど一撃の機会に集中して日頃は惰眠しておく戦略(拙稿86章「惰眠する人々」)に変更すれば安眠できます。

女性蔑視理論
あまりに古今東西に蔓延しているので理論とは意識されないほどですが立派に理論です。男女平等、ジェンダー理論が正論の現代では差別発言で政治家が馘になります。にもかかわらず口に出さない人も腹では多くそう思っている、ともいわれます。
女は腰をかがめる。男は大股で歩く。動作に現れてしまいます。弱き者汝の名は女なり(一六〇二年 シェイクスピア「ハムレット」)。この言、昔の遺物になりつつあるか?
最近の女性は男の領域にどんどん進出しています。日本は遅れていますが外国では首相をはじめ大臣、官僚は女性が多い。社長も教授もしばしば女性です。パイロット、重機運転手、警察官、兵士など、どこにも女性活躍、ジェンダーレス(agender)のリーダーシップが見られます。
これ危なくないか?昭和のおじさんたちは違和感を捨てきれません。実際、性別なしで社会はやっていけるのか?根本のところでダメがあるのではないか?










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