家族を愛しているものの、やや喧嘩っ早い用心棒気質のイタリア系の男性が、その現実的な危機回避能力を買われ、1960年の秋からクリスマスまでの8週間の間、裕福なアフリカ系アメリカ人ピアニストの運転手をすることになる。黒人が利用できる施設が掲載されているグリーンブックを持ち、レコード会社が組んだスケジュールに従って、黒人差別が残る南部を旅する二人。
ピアニストの彼は行く先々での差別をある時は淡々と受け止め、ある時は毅然とした態度をとるのだが、泣いたりわめいたり叫んだりという過度な演出はない。道中の景色も美しいし、トラブルを回避し、少しずつ折り合いをつけて、道すがら次第に打ち解けていく二人の姿が自然に感じられる。
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アカデミー賞を取った話題作というこで、ほぼ満席の中で鑑賞。
映画館で見るのが楽しいのは、話をしなくても、周りの満足度や若干がっかりした感じなどが薄っすらと伝わってくる事だ。今回は劇場から出る際に「面白かったよね」という言葉も聞こえてきた。見た人の満足度はとても高かったように感じた。
アカデミー賞を受賞したものの、ありきたりの「白人救世主映画」という批判があることや、スパイク・リーが一時授賞式から退席したことがニュースになっていたので、映画を楽しみつつも、それについても何か考えたいと思ったりしたのだが・・・・何の知識もない私には、8週間という間、一緒に過ごし、お互いの違いを認め合っていく二人の男性の物語という風にしか見られなかった。(ドライビング Miss デイジーの逆バージョンと言われてもいるようだったが、残念ながら未見のため、比較することも出来なかった・・・)
妻に誤字脱字だらけの手紙を送り続けるドライバーと、毎晩カティーサークを一本飲む位、なにか憂鬱を抱えていると思われるピアニスト。フライドチキンを食べたことがないピアニストに無理やり手づかみでケンタッキーフライドチキンを食べさせるドライバー・・・などというという単純なエピソードを並べるのでなく、何かもっとほかの描き方をすべきだ・・・ということなのかもしれないと思ったが、8週間の旅を気持ちよく描くには、このようなスタイルでいいのではと思ったりもする。
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