アルゼンチンで暮らしている女性が、娘と幼い男の子を連れ、妹の結婚式のため実家のあるスペインに里帰りする。教会での式の後は、親戚や知人が集まり盛大なパーティが行われるのだが、その楽しい宴の最中、彼女の娘が誘拐されてしまう。
なぜ誘拐しやすい息子でなく、ティーンエイジャーの娘がさらわれたのか?犯人は多額の身代金を手に入れられると確信しているのだろうか?
誘拐という一つの事件が引き金になり、結婚式に参加していた家族、知人の間に疑念が沸き起こる。何でもなかった時には、まるでなかったかのようにされていたことが、思い返され、忘れたふりをしていた事は、皆が口にせずにいたわだかまりが、蒸し返される。
誘拐をきっかけに崩れたバランスは、どんどん方向を変え、親戚、知人、そして夫婦の間にも疑いの連鎖が起こるのだ。疑いの連鎖は根深い。
たとえ、誘拐事件が解決したとしても、一度生まれた疑いの気持ちは、消える事はなく、そして一度崩れた人間関係は元に戻ることはないだろう。
セールスマン [Blu-ray] | |
シャハブ・ホセイニ,タラネ・アリドゥスティ,ババク・カリミ | |
バップ |
アスガー・ファルハディの作品は見終わった後複雑な思いに駆られる。
セールスマンの方が絶望が深いだろうか・・・