私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

殺人鬼から逃げる夜

2021-10-24 19:33:26 | 映画鑑賞

コールセンターでは、自分と同じ聴覚障碍者の担当として働く女性ギョンミ。彼女の夢は一緒に暮らす母と済州島へ旅行に行く事だ。

そんな彼女が、偶然夜の街で若い男に拉致された女性を見かけてしまう。

夜の街で道行く人に声を掛け、優しい声で相手の警戒心を解き安心させて、突然ナイフで脅し斬りつける男。ばれそうになると車内に隠した洋服で変装し、まるで何事も無かったかのように、また夜の街に繰り出すのだ。

そんな彼の犯行現場に偶然居合わせてしまったギョンミは、「俺の犯行の邪魔をした奴」として次のターゲットにされてしまう。

街角に設置された防犯ブザーを押し急を知らせようとするも、話せない彼女の事を警察は認識もしない。彼女が警察に行こうとしているのに気づいた犯人は、帽子にマスクという服装をスーツに着替え、目撃者のふりをして彼女と一緒に警察まで行き捜査を混乱させようとし、警察はまんまとそれに騙されてしまう。更に突然連絡が途絶えた妹(犯人が拉致した女性だ)を探しに来た兄を犯人と間違える失態まで犯すのだ。兄は家でも海兵隊時代のTシャツを身に着ける男の中の男。両親亡き後、両親の代わりに妹を守る兄の熱い思いをあざ笑うかのような犯人の態度。

自分の邪魔をしたギョンミを殺そうとする犯人、妹を探す兄、そして犯人から逃げるギョンミ。3人がそれぞれ夜の街を駆ける。

聴こえない彼女に夜の街は優しくない。車のクラクションも聴こえず、後ろから迫る怪しい足音も分からない。物音を知らせるライトも電源を切られてしまったら意味がない。こっそり逃げようとするものの、自分がどんな音を立てて逃げているのかを分からない彼女には、逃げる事で自分の居場所を犯人に知らせる事になってしまうのだ。

助けてくれるはずの警察は信じられない位に何も分かってくれない。言葉を発しない彼女の助けは廻りに人間には簡単に届かない。自分を信じて夜の街を走るしかない彼女。

理由もなく人を殺める男の行動と役に立たない警察にイライラし、夜の暗闇に響く音にドキドキし、観ている私も思わず息をひそめてしまう。

オリジナルのタイトルはミッドナイト。それではインパクトが弱いと思ったのだろう。邦題は「殺人鬼から逃げる夜」

確かにその通りの映画だ。

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犯人役のウィ・ハジュンは、イカゲームでの刑事役だ。そういう意味ではタイムリーな映画公開。