熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

国立能楽堂からサントリーホール

2012年12月15日 | 今日の日記
   昨夜鎌倉に来たので、朝、娘宅で、玄関脇の庭花壇の手入れを手伝った。
   シクラメンとパンジーの植え付けなのだが、ガーデニングが苦手で、折角の花壇や植え付けも手抜きをしていて、春の準備も十分ではなかった。
   土つくりから初めて、空いた空間に、増えて大株になっていた都忘れを株分けして植えつけた。

   昼前に、鎌倉駅から、湘南新宿ラインに乗って、新宿を目指した。乗り換えて千駄ヶ谷に向かうのだが、新宿まで、乗り換えなしの一本線なので、非常に便利である。
   国立能楽堂には、1時前に着いたので、開演までには十分時間があった。

   この日は、ユネスコによる「無形文化遺産 能楽」第五回公演と言うことで、中々のプログラムであった。
   金春安明と殿田謙吉の金春流能「恋重荷」、野村万作と三宅右近の和泉流狂言「隠狸」、それに、粟谷能夫と宝生閑の喜多流能「安宅」である。
   「恋重荷」は、先日、観世流の舞台を鑑賞した後だったので、その違いなどが分かって、非常に興味深かった。
   「隠狸」も、数か月前に、同じく万作の舞台を観ていて、この時は、シテ/太郎冠者が野村万作、アド/主が野村萬斎で、今回、万作がアド/主を演じていて、人間国宝の両方の舞台を鑑賞できた訳であるから、幸いであった。

   「安宅」は、歌舞伎の「勧進帳」のオリジナルとも言うべき曲で、非常に興味を持って鑑賞させて貰った。
   能狂言に通い始めた動機の一つが、歌舞伎や文楽の元になっている能や狂言を観て、どのように脚色されていったのか、それを知りたいと言うことであったので、今回の「安宅」は、非常に面白かった。
   まず、歌舞伎には、義経の郎党は4人だが、能では倍以上郎党が登場しており、歌舞伎のように、富樫が、義経と知りながら、武士の情けで関を通すのではなく、能では、命がけの対決をするので、大変な迫力である。
   一寸、意外だったのは、アイの役割で、人間国宝山本東次郎が、義経の郎党、山本則俊が、富樫の家来で登場して、舞台にしっかりと溶け込んでいたことで興味深かった。
   能には、山伏問答がないとか、延年の舞の違いだとか、色々舞台に差があって、その違いが非常に興味深いのだが、稿を改めて、感想を書くことにしたい。
   充実した舞台で、終演は、5時10分で、外は暗くなっていた。

   この日、2月の「式能」のチケットを求めた。昨日から発売だったのだが、会場だと言っても自主公演ではないので、能楽堂チケット・ブースには殆ど残っておらず、ぴあの方が良かったのかも知れない。いずれにしろ、5流派揃っての本格的な能の公演は少ないので、貴重な舞台である。

   7時から、サントリーホールで、都響定期公演があるので、直接劇場に行くことにした。
   北参道からメトロに乗って、永田町で南北線に乗り換えて、溜池山王に向かった。
   ホール前のカラヤン広場には、クリスマスのイルミネーションが点灯していた。

   私の定期公演チケットは、東京文化会館なのだが、11月には、丁度、大阪に行って文楽「仮名手本忠臣蔵」を観たので、行けなくて、振替で、サントリーに来たのである。
   今回の公演は、チェコの若き指揮者ヤクブ・フルシャ指揮で、ピアノ独奏ゲルハルト・オピッツのバルトーク「ピアノ協奏曲第2番」、休憩後、コダーイの「ガランタ舞曲」とバルトーク「中国の不思議な役人」組曲。
   オピッツの舞台は久しぶりで、弱音の美しさは格別で、ダイナミックな演奏の迫力には全く衰えがなく、大変な熱演であった。
   
   「ガランタ組曲」は、ロマの音楽、すなわち、ジプシーの音楽を素材にしたとかで、非常にエキゾチックで、どこか東洋の香りがする美しい音楽であった。
   ブダペストには、ベルリンの壁崩壊前後に何回か行っており、レストランやクラブで、ジプシー・バイオリンなどジプシー音楽を聞いており、非常に懐かしく感じた。
   一度、ブダペストで、ジプシーたちがあっちこっちから集合して祝っていた大掛かりなお祭りを観たことがあるのだが、遠くインドから、ハンガリー、そして、あのカルメンのスペインまで、ジプシーの世界は広がっている。
   ロマの音楽には、東洋の香りは勿論、いろいろな国や民族の音色が含まれているのも当然なのであろう。  

   最後の「中国の不思議な役人」は、3人のならず者が女に客を取らせて金品を奪おうとする娼家を舞台にした不埒なテーマの音楽で、とにかく、エロチックなクラリネットの美しさからして興味深いのだが、私には良く分からないながら、大変な迫力の音楽で、客席は大いに沸いていた。
   全部で、正味1時間20分くらいの演奏会だったが、非常に興味深い公演であった。
   
コメント
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