熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

私もフェルメールのトリコになった

2025年01月06日 | 学問・文化・芸術
   NHK日曜美術館で、「私とフェルメール 谷川俊太郎」が放送された。
   1967年、アムステルダム国立美術館で、フェルメールの「小道」と言う作品を見て、フェルメールのとりこになった谷川。フェルメールの絵を見ると、「余計なことを考えずに純粋にきれいだなあ、と思えるのが魅力」だという。1980年の放映の特別アンコールである。

   谷川さんは、フェルメールは、若い時につかんだものを生涯追い求めた画家で、あまねく浮かび上がらせる光の存在が嬉しくて、内面の表現には関心がなく、見えるものそのものが世界であり、日常的なありのままが実在だと認識してその客観を再現した。とにかく美しい、画面が生きている、官能的であるから惚れた、と言う。
   要は惚れるか惚れないかの問題で、美しいものに出会うと幸せになり言葉がなくなる、フェルメールは、そんな稀有な画家だと言うことである。
   

   さて、私が、最初にフェルメールに感激したのは、1973年、留学先のフィラデルフィアから、フランスからの留学生のクリスマス休暇帰国のパンナムのチャーター便に便乗して渡欧して、アムステルダム国立美術館へ、レンブラントの「夜警」を見に行った時で、
   フェルメールの「牛乳を注ぐ女 」を見て、女の捲り上げたシャツの黄色っぽい辛子色から黄緑へとグラジュエーションの微妙な色彩の豊かさなど、何とも言えない程、美しく、注がれれている牛乳の微妙な光など、細部まで、感動して、一気にフェルメールファンになってしまった。
   私も谷川さん同様に、理屈抜きにフェルメールのとりこのなった。

   アムステルダム美術館には、フェルメールの作品は、「小道」と「牛乳を注ぐ女」のほかに、「恋文」「青衣の女」の4点があったと思う。同じ美術館で、同じフェルメールを見ても、好きな絵が全く違い、感性の差を感じて、驚いている。私には、詩心がないのかも知れない。
   
   その後、オランダに赴任後すぐに、ハーグに出かけて、「マウリッツハイス美術館」に行って、「青いターバンの少女(真珠の耳飾りの少女)」や「デルフトの眺望」などを見て、また、感激しきりであった。
   幸い、フィラデルフィアで2年過ごし、アムステルダムとロンドンに8年間いたので、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オーストリアなどの欧米の美術館などを片っ端からまわって、フェルメール行脚をした。
   オランダに3年住んでいたので、フェルメールが作品を描き続けたデルフトを何度も訪ねて、古色蒼然とした故地を散策しながら雰囲気を楽しんでいた。
   次の絵は、フェルメールの「デルフトの眺望」だが、殆ど、今も変わっていない。 

   フェルメールの作品で現存しているのは、37作品で、そのうち、ボストンの作品が盗難にあって行方不明なので、たったの36作品である。
   アメリカでは、ニューヨークに8、ワシントンに4、そのほかに3、
   オランダでは、アムステルダムとハーグに8、
   イギリスではロンドンなどに4、
   フランスに2、
   その他、ドイツ、オーストリア などに8、だと思うのだが、
   フェルメールが生活して絵を描き続けたオランダのデルフトには、一作品も残っておらず、世界中に拡散している。
   その内、幸いにも日本に来た2作品を含めて、30作品くらいは実際に見ている。

   久しぶりに、フェルメールに出会えた感じで幸せである。 
コメント
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