堺屋太一氏と上海復旦大学の樊勇明教授が、「経済発展の飛躍台に~万博開催の意義」について、夫々の持論を述べながら対談形式で語りあった。
日経主催の「中国経済シンポジウム」の第一部がこれで、第二部は、討論会「中国の発展は続くか~安定成長の条件」で、興味深い中国経済論が展開された。
堺屋氏は、1970年の大阪万博を推進したお祭りのオーソリティであるが、当時の日本のライフスタイルの変化を語りながら、2010年の上海万博が中国経済社会を大きくサービス産業化させるであろうと予言する。
中国政府は、上海万博の入場者数を大阪万博の6400万人を考慮して7000万人と見込んでいるが、優に1億人は突破するであろうと言う。
入場者の90%は中国人のようだが、日本からは300万人を見込んでおり、1日に2万人、ジャンボが引っ切り無しに上海に飛ぶ勘定である。
大阪万博の時、閉鎖的であった日本のレストランが外から見通せるオープンなレストランに変わり、入場者達がラフな服装を愛用するようになって、その後、ファーストフードが生まれ、カジュアル・ウエアのファッション化が進んだと言う。
これと同様に、上海万博は、世界の政府や企業が、自らの名前と費用でパビリオンを建てる巨大行事であり、各国の仕事のノウハウや技術、知識が中国に伝わり、中国の経済社会や経営事情を大きく変えるであろうと堺屋氏は言うのである。
中国の経済については、日本の場合と同様に、一時的には経済調整の一環として小規模な経済後退はあろうが(と言うことは、バブル現象の調整など短期的に不況局面に入る可能性があると言うことであろう)、再び回復して成長傾向は維持するであろうと予想していた。
堺屋さんは、日本の企業が共同参加する「日本産業館」の建設を推進しており、上海万博出展を通して日本の技術と企業文化を表現して存在価値をアピールせよと企業の勧誘をしていると言うことだが、4~50億円のコストを各企業が3億円程度づつシェアーするのだと言う。
隣の未来の超大国中国の万博に、たった一つしか日本産業館が建てられなくなってしまったのかと思うと、何となく、日本の産業政策の貧弱を感じざるを得ない。
一方、樊教授は、「世界博覧会と上海経済社会」という演題で、中国の視点から、万博と上海経済について語ったが、見方が違っていて新鮮な感じがして聞いていた。
大規模な万博会場の計画やそれに伴う交通網など膨大なインフラ整備計画などを、青写真を示しながら語っていたが、私自身には、北京オリンピックと上海万博を同時に、中国の経済社会の屋台骨を大きく揺るがすことなく成功裏に完遂しとおせる能力が、今の中国に備わっているようには思えない。
先日、北京のオリンピックを成功させるべく水資源確保の為に地方に大きな犠牲を強いている姿をNHKが放映していたし、現実的にも公害や資源問題などは危機的な状態にあり、何処かで歯車が狂うと大変なことになる。
面白かったのは、世界博覧会を迎える文明行動計画として、市民への教育として、「七つの建設」を定めたことで、中身は、
秩序を遵守、清潔を保つ、礼儀を正す、環境を護る、信用を重んじる、新しい知識を吸収、ボランティア活動に積極的に参加
もう一つは、「文明行動計画の骨子」で、
・交通信号を守り ・列を作ってバスに乗り ・ごみのポイ捨てをやめ ・タンを吐かない ・緑を大切に ・公共の場所の喫煙を自粛 ・老人優先、レディファーストなどのマナーを ・相手に優しく対応
先日、これもNHKだったが、北京で、列を作って行動することを役人が市民に指導しているのに「私の勝手でしょ」と言ってそっぽを向く若い女性を映していたが、マナーとか道徳などを市民に教えないと世界的なイベントを実施出来ない国と言うのは中国だけかも知れない。
礼節を重んじ、仁に篤い筈だった孔子の国中国が、何処へ行ったのであろうか。確かに、同じ中華民族の国シンガポールも昔から街を綺麗にする為には極めて厳しかった。
しかし、2年前に、上海などで数日過ごした時、私自身は、地下鉄で、客が降りる前に外で待っていた客が我々を押しのけてドッと雪崩れ込んで来て恐怖を感じたことがあったが、無茶苦茶な交通信号無視など以外は、衛生的な面は多少気なったが、別に特に不都合は感じなかった。
中国産の毒入り食品が世界を騒がせ、知財無視で海賊版大国で有名な国であり、世界市民としての経験にはまだ慣れていない中国である。騒乱や事故が起きないよう徹底する方が大切なような気がしている。
日経主催の「中国経済シンポジウム」の第一部がこれで、第二部は、討論会「中国の発展は続くか~安定成長の条件」で、興味深い中国経済論が展開された。
堺屋氏は、1970年の大阪万博を推進したお祭りのオーソリティであるが、当時の日本のライフスタイルの変化を語りながら、2010年の上海万博が中国経済社会を大きくサービス産業化させるであろうと予言する。
中国政府は、上海万博の入場者数を大阪万博の6400万人を考慮して7000万人と見込んでいるが、優に1億人は突破するであろうと言う。
入場者の90%は中国人のようだが、日本からは300万人を見込んでおり、1日に2万人、ジャンボが引っ切り無しに上海に飛ぶ勘定である。
大阪万博の時、閉鎖的であった日本のレストランが外から見通せるオープンなレストランに変わり、入場者達がラフな服装を愛用するようになって、その後、ファーストフードが生まれ、カジュアル・ウエアのファッション化が進んだと言う。
これと同様に、上海万博は、世界の政府や企業が、自らの名前と費用でパビリオンを建てる巨大行事であり、各国の仕事のノウハウや技術、知識が中国に伝わり、中国の経済社会や経営事情を大きく変えるであろうと堺屋氏は言うのである。
中国の経済については、日本の場合と同様に、一時的には経済調整の一環として小規模な経済後退はあろうが(と言うことは、バブル現象の調整など短期的に不況局面に入る可能性があると言うことであろう)、再び回復して成長傾向は維持するであろうと予想していた。
堺屋さんは、日本の企業が共同参加する「日本産業館」の建設を推進しており、上海万博出展を通して日本の技術と企業文化を表現して存在価値をアピールせよと企業の勧誘をしていると言うことだが、4~50億円のコストを各企業が3億円程度づつシェアーするのだと言う。
隣の未来の超大国中国の万博に、たった一つしか日本産業館が建てられなくなってしまったのかと思うと、何となく、日本の産業政策の貧弱を感じざるを得ない。
一方、樊教授は、「世界博覧会と上海経済社会」という演題で、中国の視点から、万博と上海経済について語ったが、見方が違っていて新鮮な感じがして聞いていた。
大規模な万博会場の計画やそれに伴う交通網など膨大なインフラ整備計画などを、青写真を示しながら語っていたが、私自身には、北京オリンピックと上海万博を同時に、中国の経済社会の屋台骨を大きく揺るがすことなく成功裏に完遂しとおせる能力が、今の中国に備わっているようには思えない。
先日、北京のオリンピックを成功させるべく水資源確保の為に地方に大きな犠牲を強いている姿をNHKが放映していたし、現実的にも公害や資源問題などは危機的な状態にあり、何処かで歯車が狂うと大変なことになる。
面白かったのは、世界博覧会を迎える文明行動計画として、市民への教育として、「七つの建設」を定めたことで、中身は、
秩序を遵守、清潔を保つ、礼儀を正す、環境を護る、信用を重んじる、新しい知識を吸収、ボランティア活動に積極的に参加
もう一つは、「文明行動計画の骨子」で、
・交通信号を守り ・列を作ってバスに乗り ・ごみのポイ捨てをやめ ・タンを吐かない ・緑を大切に ・公共の場所の喫煙を自粛 ・老人優先、レディファーストなどのマナーを ・相手に優しく対応
先日、これもNHKだったが、北京で、列を作って行動することを役人が市民に指導しているのに「私の勝手でしょ」と言ってそっぽを向く若い女性を映していたが、マナーとか道徳などを市民に教えないと世界的なイベントを実施出来ない国と言うのは中国だけかも知れない。
礼節を重んじ、仁に篤い筈だった孔子の国中国が、何処へ行ったのであろうか。確かに、同じ中華民族の国シンガポールも昔から街を綺麗にする為には極めて厳しかった。
しかし、2年前に、上海などで数日過ごした時、私自身は、地下鉄で、客が降りる前に外で待っていた客が我々を押しのけてドッと雪崩れ込んで来て恐怖を感じたことがあったが、無茶苦茶な交通信号無視など以外は、衛生的な面は多少気なったが、別に特に不都合は感じなかった。
中国産の毒入り食品が世界を騒がせ、知財無視で海賊版大国で有名な国であり、世界市民としての経験にはまだ慣れていない中国である。騒乱や事故が起きないよう徹底する方が大切なような気がしている。