ユーラシア・グループが、恒例の年次国際リスクの「Top Risks for 2019」を発表した。
必ずしも当たるという保証はないが、年頭にあたっての世界情勢の分析予測であるから、非常に示唆に富む。
簡略のために、朝日の記事を借用すると、次の通り
(1)Bad seeds 悪い種 米欧政治の混迷、同盟関係の弱体化など
(2)US-China 米国と中国 科学、経済、安全保障をめぐる摩擦が激化
(3)Cyber gloves off サイバー攻撃 抑止力が効かない問題も露呈へ
(4)European populism 欧州のポピュリズム 欧州連合の弱体化も
(5)The US at home 米国の内政 トランプ大統領の不正追及で混乱
(6)Innovation winter 技術革新、冬の時代 安保上の懸念などで国際協力が停滞
(7)Coalition of the unwilling 国際協調に背を向ける指導者たち トルコ、ブラジルなど
(8)Mexico メキシコ 左派の新政権の経済政策に懸念
(9)Ukraine ウクライナ ロシアとの外交・軍事的な緊張
(10)Nigeria ナイジェリア 大統領選挙(2月)の結果次第で混乱も
(1)のBad seedsだが、朝日は、「悪い種 米欧政治の混迷、同盟関係の弱体化など」、日経は、「地政学的危険を誘発する(悪い種)」としているが、「大惨事を誘発する地政学的な悪い種」とすべきか、原文の冒頭記述は、次の通り、
現在、世界中で生起している地政学的な危険が、将来、実を結ぶ、すなわち、何らかの形で、結果として現れるであろう。
これは、Gゼロ時代では大きなインパクトであって、世界中の政策決定者が、リーダーシップ欠如の世界で起こる日々の危機に対して、説明広報に、ないし、説明広報の誤りに、あまりにも忙殺されているので、彼らは、多岐に亘る将来のリスクの発生を許してしまい、総じて中期的未来において、深刻な結果をきたすであろう。
現実の一連の地政学的ダイナミックスについて考えれば、米国および先進国経済における政治的組織の強さ、米中・NATO・G20・G7・WTO等の環大陸関係、ロシアとクレムリン、米中、EU情勢、中東の地域的政治力、そして、アジア。
これらは、どれをとっても悪い方向に進行しており、問題となっている地政学的ダイナミックスの圧倒的大半が、今や、悪い方向へ突き進んでいる。と言うのである。
ブレマーは、インタビューでも述べていたが、現在、世界中で吹き荒れているこのような危険な国際情勢の火種が、直近、今年には危険はないであろうが、何かの拍子に、将来大きな惨事として爆発する可能性があると警告しているのである。
悪い種子の例としては、US political institutions トランプ大統領の就任以降、民主主義の危機に直面している米国の政治制度、 Europe 欧州連合(EU)の懐疑的将来、 The system of global alliances 米国を中心とした同盟関係の弱体化、Populism/nationalism 欧米を筆頭に各国に広がるポピュリズム・ナショナリズム を挙げて説いている。
言わば、トランプ政権の誕生とヨーロッパを筆頭とした世界中で展開されているアンチエスタブリッシュメントとポピュリズムの台頭で、世界の歴史が、大きく急旋回したことによる結果であって、超大国アメリカのトランプ政治が、世界激震の最たる根源であることには、間違いがない。
ブレマーが唱え続けているGゼロの時代に、世界の秩序維持に背を向けて国際協調を片っ端から叩き潰しているトランプが、さらに、国際平和安全の脅威となり、そして、最早リーダーのいなくなって世界では、一触即発の危機を回避できなくないつつあるという危機意識の表れであろう。
(5)の、The US at home 米国の内政 を、世界リスクの上位に列強せざるを得ないというのは、人類にとって、大変な悲劇だと思う。
原文28ページに亙るこの「Top Risks for 2019」は、興味深い写真や図表などもある意欲的なレポートで読みごたえがあるが、今回の世界10大リスクについては、ほぼ、サブタイトルを見れば、ブレマーが、何を、問題にしているかは予測がつくであろう。
私が興味を持ったのは、(6)Innovation winter 技術革新冬の時代 と言う項目だが、稿を改めて考えてみたいと思う。
必ずしも当たるという保証はないが、年頭にあたっての世界情勢の分析予測であるから、非常に示唆に富む。
簡略のために、朝日の記事を借用すると、次の通り
(1)Bad seeds 悪い種 米欧政治の混迷、同盟関係の弱体化など
(2)US-China 米国と中国 科学、経済、安全保障をめぐる摩擦が激化
(3)Cyber gloves off サイバー攻撃 抑止力が効かない問題も露呈へ
(4)European populism 欧州のポピュリズム 欧州連合の弱体化も
(5)The US at home 米国の内政 トランプ大統領の不正追及で混乱
(6)Innovation winter 技術革新、冬の時代 安保上の懸念などで国際協力が停滞
(7)Coalition of the unwilling 国際協調に背を向ける指導者たち トルコ、ブラジルなど
(8)Mexico メキシコ 左派の新政権の経済政策に懸念
(9)Ukraine ウクライナ ロシアとの外交・軍事的な緊張
(10)Nigeria ナイジェリア 大統領選挙(2月)の結果次第で混乱も
(1)のBad seedsだが、朝日は、「悪い種 米欧政治の混迷、同盟関係の弱体化など」、日経は、「地政学的危険を誘発する(悪い種)」としているが、「大惨事を誘発する地政学的な悪い種」とすべきか、原文の冒頭記述は、次の通り、
現在、世界中で生起している地政学的な危険が、将来、実を結ぶ、すなわち、何らかの形で、結果として現れるであろう。
これは、Gゼロ時代では大きなインパクトであって、世界中の政策決定者が、リーダーシップ欠如の世界で起こる日々の危機に対して、説明広報に、ないし、説明広報の誤りに、あまりにも忙殺されているので、彼らは、多岐に亘る将来のリスクの発生を許してしまい、総じて中期的未来において、深刻な結果をきたすであろう。
現実の一連の地政学的ダイナミックスについて考えれば、米国および先進国経済における政治的組織の強さ、米中・NATO・G20・G7・WTO等の環大陸関係、ロシアとクレムリン、米中、EU情勢、中東の地域的政治力、そして、アジア。
これらは、どれをとっても悪い方向に進行しており、問題となっている地政学的ダイナミックスの圧倒的大半が、今や、悪い方向へ突き進んでいる。と言うのである。
ブレマーは、インタビューでも述べていたが、現在、世界中で吹き荒れているこのような危険な国際情勢の火種が、直近、今年には危険はないであろうが、何かの拍子に、将来大きな惨事として爆発する可能性があると警告しているのである。
悪い種子の例としては、US political institutions トランプ大統領の就任以降、民主主義の危機に直面している米国の政治制度、 Europe 欧州連合(EU)の懐疑的将来、 The system of global alliances 米国を中心とした同盟関係の弱体化、Populism/nationalism 欧米を筆頭に各国に広がるポピュリズム・ナショナリズム を挙げて説いている。
言わば、トランプ政権の誕生とヨーロッパを筆頭とした世界中で展開されているアンチエスタブリッシュメントとポピュリズムの台頭で、世界の歴史が、大きく急旋回したことによる結果であって、超大国アメリカのトランプ政治が、世界激震の最たる根源であることには、間違いがない。
ブレマーが唱え続けているGゼロの時代に、世界の秩序維持に背を向けて国際協調を片っ端から叩き潰しているトランプが、さらに、国際平和安全の脅威となり、そして、最早リーダーのいなくなって世界では、一触即発の危機を回避できなくないつつあるという危機意識の表れであろう。
(5)の、The US at home 米国の内政 を、世界リスクの上位に列強せざるを得ないというのは、人類にとって、大変な悲劇だと思う。
原文28ページに亙るこの「Top Risks for 2019」は、興味深い写真や図表などもある意欲的なレポートで読みごたえがあるが、今回の世界10大リスクについては、ほぼ、サブタイトルを見れば、ブレマーが、何を、問題にしているかは予測がつくであろう。
私が興味を持ったのは、(6)Innovation winter 技術革新冬の時代 と言う項目だが、稿を改めて考えてみたいと思う。