NHK BS4Kのプレミアム・シアターの ベルリン国立歌劇場:モーツアルトの歌劇「ポントの王ミトリダーテ」を観た。
深夜の放映なので、録画映像であるが、画像も鮮明でハイレゾなのでサウンドも良い。
このオペラは、モーツァルトが14歳の時に作曲した作品で、紀元前1世紀、小アジアの国ポントの王ミトリダーテをとりまく戦争と愛憎渦巻く人間模様が描かれた、繰り返される戦争と復讐の連鎖の物語。
今回の特色は、SPAC芸術総監督で演出家の宮城聰が、このオペラを演出することで、ベルリン国立歌劇場が日本人演出家を招くのは同歌劇場278年の歴史上初めてだと言う。宮城は、この物語に、第二次世界大戦末期の日本を重ねた。殺伐とした復讐の連続を、「死者たちの鎮魂の儀式」としてこの作品を描くことによって、希望というあらたな光が見えてくる。というのである。
指揮:マルク・ミンコフスキ
演出:宮城 聰
出演:
ミトリダーテ:ペネ・パティ
アスパージア:アナ・マリア・ラービン
シーファレ:アンジェラ・ブラウアー
ファルナーチェ:ポール・アントワーヌ・ベノ・ジャン
イスメーネ:サラ・アリスティドウ
管弦楽:レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル
ポントの王ミトリダーテは、ローマとの戦争に、婚約者アスパージアを、2人の息子シーファレと兄ファルナーチェに託して出陣する。しかし、二人とも、アスパージアに思いを寄せていて、ことにファルナーチェが積極的でアタックするが、アスパージアはシーファレと相思相愛である。ミトリダーテは、ファルナーチェの花嫁としてイズメーネを連れて帰ってきたが馴染まない。王は、自分を裏切った2人の息子:ローマと通じたファルナーチェと許嫁と相愛のシーファレを殺す決心をするが、イズメーネが諭す。ローマ軍が上陸したので、応戦にでたミトリダーテが瀕死の状態で運ばれて来る。ミトリダーテは、改心して協力した二人の息子を許し、薬をあおいで逝く。
ローマとの戦争と、息子たちの自分の許嫁への恋情に、ミトリダーテが激情して嫉妬し復讐する連鎖が主テーマだが、暗い雰囲気ながら、美しいモーツアルト節が延々と続くので、陰鬱さは全くない。

モーツアルトの得意とするジングシュピールではなく、アリアというのか歌唱の連続で、各歌手とも大変だと思えるほどの長台詞で聞かせてくれる。
各歌手とも相当な実力者で、堪能させてくれたが、詳細なデータが探せないので、感想は控えたいと思う。
このオペラの特色は、テノールのミトリダーテ以外の主要人物は、すべて女声で、シーファレはソプラノ、兄のファルナーチェはアルト、今回はカウンター・テナー、ニンフェアの領主アルバーテはソプラノ、
最初は一寸戸惑ったが、能舞台のことを考えれば不思議でも何でもないので、気にならなくなって、シーファレのアンジェラ・ブラウアーの美声に聞き惚れていた。
さて、宮城 聰の演出だが、蜷川幸雄のシェイクスピアの舞台を結構観ているので、それを思い出しながら観ていたのだが、舞台設定や衣装などは、歌舞伎の影響など日本の美意識が随所に見られたが、オペラとしては、最近の奇を衒ったモダンなデカダン的な印象は全くなく、シックリト馴染んだ、美しい素晴しい舞台であった。
セットは、極めてシンプルで、正面舞台からややセットバックして、左右に階段をセットした長方形の4階建て舞台で、バルコニーは廊下舞台、
各階、6つのコンパートメントに仕切られていて、それぞれ回転ドアーで出入り口となり、裏表の転換で二面のバック・スクリーンが表われる、
3幕全舞台とも、このセットで通して、舞台は4面のバックスクリーンの転換とコンパートメントのバックの舞台利用などで演出し、
小道具は、幡や布、ダンサーたちの移動や演技で代用して、無駄は一切ないのが凄い。


ビックリしているのは、この2時間半に及ぶ複雑な人間模様をオペラにしたのが、14歳のモーツアルトだと言うこと、
小澤征爾さんが語っていたが、神がモーツアルトの手を取って作曲させたとしか思えない。
ベルリン国立歌劇場は、東ベルリンにあって、ベルリンの壁崩壊の少し前に、警戒の厳しい国境を鉄道で越えて出かけて、オペラ「ホフマン物語」を観たことがある。入場券は、西ドイツマルクで支払った。
壁崩壊直後に、ベルリン・コーミッシェ・オーパーで、軍国ムード演出の「魔弾の射手」を観たが、下りたとは言え鉄のカーテン越えのオペラ鑑賞なので、心穏やかではなかった。懐かしい。
深夜の放映なので、録画映像であるが、画像も鮮明でハイレゾなのでサウンドも良い。
このオペラは、モーツァルトが14歳の時に作曲した作品で、紀元前1世紀、小アジアの国ポントの王ミトリダーテをとりまく戦争と愛憎渦巻く人間模様が描かれた、繰り返される戦争と復讐の連鎖の物語。
今回の特色は、SPAC芸術総監督で演出家の宮城聰が、このオペラを演出することで、ベルリン国立歌劇場が日本人演出家を招くのは同歌劇場278年の歴史上初めてだと言う。宮城は、この物語に、第二次世界大戦末期の日本を重ねた。殺伐とした復讐の連続を、「死者たちの鎮魂の儀式」としてこの作品を描くことによって、希望というあらたな光が見えてくる。というのである。
指揮:マルク・ミンコフスキ
演出:宮城 聰
出演:
ミトリダーテ:ペネ・パティ
アスパージア:アナ・マリア・ラービン
シーファレ:アンジェラ・ブラウアー
ファルナーチェ:ポール・アントワーヌ・ベノ・ジャン
イスメーネ:サラ・アリスティドウ
管弦楽:レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル
ポントの王ミトリダーテは、ローマとの戦争に、婚約者アスパージアを、2人の息子シーファレと兄ファルナーチェに託して出陣する。しかし、二人とも、アスパージアに思いを寄せていて、ことにファルナーチェが積極的でアタックするが、アスパージアはシーファレと相思相愛である。ミトリダーテは、ファルナーチェの花嫁としてイズメーネを連れて帰ってきたが馴染まない。王は、自分を裏切った2人の息子:ローマと通じたファルナーチェと許嫁と相愛のシーファレを殺す決心をするが、イズメーネが諭す。ローマ軍が上陸したので、応戦にでたミトリダーテが瀕死の状態で運ばれて来る。ミトリダーテは、改心して協力した二人の息子を許し、薬をあおいで逝く。
ローマとの戦争と、息子たちの自分の許嫁への恋情に、ミトリダーテが激情して嫉妬し復讐する連鎖が主テーマだが、暗い雰囲気ながら、美しいモーツアルト節が延々と続くので、陰鬱さは全くない。

モーツアルトの得意とするジングシュピールではなく、アリアというのか歌唱の連続で、各歌手とも大変だと思えるほどの長台詞で聞かせてくれる。
各歌手とも相当な実力者で、堪能させてくれたが、詳細なデータが探せないので、感想は控えたいと思う。
このオペラの特色は、テノールのミトリダーテ以外の主要人物は、すべて女声で、シーファレはソプラノ、兄のファルナーチェはアルト、今回はカウンター・テナー、ニンフェアの領主アルバーテはソプラノ、
最初は一寸戸惑ったが、能舞台のことを考えれば不思議でも何でもないので、気にならなくなって、シーファレのアンジェラ・ブラウアーの美声に聞き惚れていた。
さて、宮城 聰の演出だが、蜷川幸雄のシェイクスピアの舞台を結構観ているので、それを思い出しながら観ていたのだが、舞台設定や衣装などは、歌舞伎の影響など日本の美意識が随所に見られたが、オペラとしては、最近の奇を衒ったモダンなデカダン的な印象は全くなく、シックリト馴染んだ、美しい素晴しい舞台であった。
セットは、極めてシンプルで、正面舞台からややセットバックして、左右に階段をセットした長方形の4階建て舞台で、バルコニーは廊下舞台、
各階、6つのコンパートメントに仕切られていて、それぞれ回転ドアーで出入り口となり、裏表の転換で二面のバック・スクリーンが表われる、
3幕全舞台とも、このセットで通して、舞台は4面のバックスクリーンの転換とコンパートメントのバックの舞台利用などで演出し、
小道具は、幡や布、ダンサーたちの移動や演技で代用して、無駄は一切ないのが凄い。


ビックリしているのは、この2時間半に及ぶ複雑な人間模様をオペラにしたのが、14歳のモーツアルトだと言うこと、
小澤征爾さんが語っていたが、神がモーツアルトの手を取って作曲させたとしか思えない。
ベルリン国立歌劇場は、東ベルリンにあって、ベルリンの壁崩壊の少し前に、警戒の厳しい国境を鉄道で越えて出かけて、オペラ「ホフマン物語」を観たことがある。入場券は、西ドイツマルクで支払った。
壁崩壊直後に、ベルリン・コーミッシェ・オーパーで、軍国ムード演出の「魔弾の射手」を観たが、下りたとは言え鉄のカーテン越えのオペラ鑑賞なので、心穏やかではなかった。懐かしい。
