地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

哀愁の北京北駅 (3) 東方紅5型

2005-10-05 01:00:47 | 中国の鉄道


 中国国産DLの圧倒的多数は「東風」という形式名称がつけられておりますが、中には「東方紅」というネーミングのDLもあります。その違いは、「東風」が電気式DLであるのに対して、「東方紅」は液体式DLだということ。液体式が主流の日本とは随分様子が違う世界ではあります。
 この液体式「東方紅」シリーズの中でも、恐らく「中国鉄」業界において一番有名なのは、かつて北京以北の優等列車の先頭に立って活躍していた東方紅3型でしょうか。しかし、最高速度が100km止まりなのが致命傷となって、今では地方のローカル線で細々と生き残っているようです……。
 これに対し、今回ご紹介している東方紅5型は、中国国鉄では割と小ぶりな部類に属する、割と新しい (?) セミエンドキャブのアメリカンスタイルDLです。入れ換えなどの小運転を中心に、小回りを効かせて活躍しているシーンをここ北京北駅でも目にすることが出来ます。ダークグリーンの車体に真っ赤な「東方紅」の3文字が、何ともたまらず中国国鉄らしさそのもの (^^)。草深いヤードとも合わせて、都心のド真ん中の別世界を演出していました。



 そしてこちらはもう片方の正面。窓が大きく、シンプルなV字のラインが魅力です (^^)。
 ところで、普通ならどこの国でも車両の形式名称は表音文字であることが一般的ですが、中国の場合何故「東風」とか「東方紅」といったネーミングなのか……という疑問をお持ちの方は少なくないかも知れません。意外と「中国鉄」サイトなどでも説明されていないようですので、敢えてここでご紹介しますと……はっきり言って法則性とは一切関係ありません (笑)。

*東風……1950~70年代、中国がバリバリの社会主義計画経済を実践し、冷戦構造の中で西側資本主義国と張り合っていた頃、毛沢東が語った言葉:「東風 (社会主義) が西風 (資本主義) を圧する」
*東方紅……毛沢東の偉大さを讃える革命歌の題名「東方紅」

 さらに、中国国産のELに付けられている「韶山 (しょうざん)」というネーミングは、毛沢東の生まれ故郷のド田舎 (現在の湖南省韶山市) にちなんでおります。
 というわけで、一事が万事毛沢東に結びつけられていた時代の遺物が今でも大手を振って闊歩しているのでした。さすが、偉大で正しい中国共産党 (笑) が指導する国だけのことはあります……。上の画像に見られる「東方紅」の3文字も、毛沢東の筆跡をそのまま再現したものです (^^;)

 ※ちなみに、中国国産液体式DLのうち、もう一つ有名な形式として「北京型」がありますが、こちらは時速120kmを出す旅客用高性能DLです。しかし、こちらも時速160km運転に対応せず、重量級の貨物列車を牽引できないため、最近は不遇な末路をたどりつつあるとか……

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 ところで、昨晩帰宅してみたら、カウンタが一気にものすごい数字になっていてビックリ (^^;)。どうやら、以前本文かコメントで「近々登場がウワサされるE233」と書いたのが検索にひっかかったためでしょうが……JREの「走るんです」シリーズを全く好まない私は、昨晩正式発表されたE233を主題とした記事を書くことはまずありませんので、悪しからず……。わざわざ検索された方は、どうも空振りでご愁傷様でした (^^;;;)。