地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

秩父も変化目前 (2) 鉱石&貨物列車

2005-10-11 16:08:00 | 貨物列車 (民鉄)


 秩父と言えば国鉄型ですが、それと同じくらい秩父名物なのが、青いオリジナルELに牽引された鉱石列車と貨物列車だと言えましょう。鉱石列車は影森駅からにさらに引込線をたどったところにある三輪鉱山から石灰石を三ヶ尻のセメント工場に運び、秩父名物の鉱石車「ヲキ」「ヲキフ」を延々20両近く連ねており、如何にも重々しい雰囲気を漂わせながらゆっくりと秩父路を走っております。こんな小柄なED級の機関車で大丈夫なのか……という気もしますが、基本的に積車時は常に下り坂なので問題ないようです。むしろ、空車を影森から三輪鉱山まで持って行くときの方が、相当の急勾配のため辛そうです (しばしば撒き砂の煙が朦々と立っていますし ^^;)。いっぽう貨物列車は大野原駅の北側にある武州原谷貨物駅に出入りするセメントタキ・ホキの類を牽引して毎日数往復しているようですが、セメント列車がこれだけの頻度で運転されている路線は他に、秩父と同じく太平洋セメントが関わる三岐鉄道と、三岐からの直通列車が走る関西線ぐらいになってしまいましたので、今や非常に貴重なのではないかと思います (^^)。
 これら鉱石・貨物列車を牽引する秩父オリジナルELには、デキ100・200・300・500形といった形式がありますが、個人的に一番お気に入りなのは、製造年代が古く「私鉄版ミニEF15」という風情が漂うデキ100型ですね……。特に↑の画像はデキ100の中でも、岩手の松尾鉱山 (石油精製過程での脱硫技術の進展により昭和40年代に突如閉山となった,世界有数の硫黄鉱山) から引き取られてきたグループに属する車両で、角張った車体・ヒサシつきの正面窓・古典的な雰囲気の台車はまさにストレートにEF15を思い出させるものがあります (^^)。
 しかしそれにしても……昔と比べて鉱石・貨物列車が本当に減ってしまったなぁ……というのは否めない気持ちです。バブル崩壊・建築不況によるセメント需要の激減が大きく響いているからですが、「昔は鉱石列車だけでも30分間隔ぐらいで走っていたよなぁ……」「昔は影森~武州原谷間の区間運転の鉱石列車を古典電機・デキ1形が牽引して、あの今では草ボウボウの高架線を通って武州原谷の工場に入っていたよなぁ……ベルトコンベアに取って代わられてしまったのか……」「セメントタキ・ホキ以外にも膨大な数の有蓋車がつながっていたのに、車扱廃止の流れは非情だなぁ……」という思いが次から次へと頭をよぎります。
 特にこの日は、恐らく生産調整のため、鉱石列車が1往復運休してしまうという事態にも遭遇しました (T_T)。また、今後長期的に見ても、セメント需要の一層の低下や国内産石灰石・セメントのコスト高、さらには鉱石車・貨車の老朽化に伴い、ジリ貧の一途をたどっている……?という話もあるとかないとか……。
 しかしやはり、鉱石・貨物列車のない秩父なんて考えられませんので (^^;) これからも訪れるごとにその雄姿、その私鉄貨物王国らしさを見せてくれることを期待したいと思っています。