地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

南海平野線の保存車@貴志川線沿線

2009-08-25 16:03:00 | 保存・園内・特殊車両


 毎日如何にも暑そうな画像ばかりですと食傷される方もおられると思いますので、たまには日本国内の画像を織り交ぜることにしましょう。
 今月上旬の和歌山出張は2日目の天気が本当に悪く、紀州鉄道でも御坊到着早々大雨にやられてしまったのですが、和歌山で用務が始まる前の朝のひとときも……余りにも暗過ぎ (-_-;)。当初は和歌山界隈の国鉄型車両を撮ろうかなぁと思っていたのですが、これではISO400でも絶対に電車は画面内で静止するわけもなし。では、貴志川線ではどうか……と申しますと、ゆっくり走ってくれたところでやはり走行シーンの撮影は望めないだけでなく、そもそも事前に当日の運用を公式HPで調べたところ、ミトー○3編成のフル運用なんて悪夢過ぎます (苦笑)。
 とはいえ、折角の出張撮り鉄の機会。用務が始まるまで惰眠を貪るなんて勿体なさ過ぎる……。そこで「ピーン」と思いついたのが、貴志川線・交通センター前駅脇に保存されている路面電車の存在。今年3月、約22年ぶりに貴志川線に乗った際に車窓から目にしまして、「へぇ~こんなに良い状態なんだ……」と気になっておりましたので、こんな天気だからこそ丁度良い機会だというものです。



 そこで朝食後、ダラダラと和歌山駅の貴志川線ホームに向かいますと、やって来たのは「お○ちゃ電車」……。座席定員を思い切り減らして無意味にショウケースやガチャガチャばかり増やすのは如何なものかと思いつつ、辛うじて嗅ぎ取れる角ズームの趣きを味わっているうちに、目指す交通センター前に到着~。朝8時だというのに、光量はISO400で1/15 f6.7程度という真っ暗さではありましたが、そんな濡れそぼる暗い緑の風景の中に……お目当ての小型ボギー車がひっそりと佇んでいました。
 詳しい素性は良く知らず、単に車窓から眺めて気になって訪れただけですので、この車両は今はなき南海平野線で使用されていたものであることは、車体に小さく掲示された内容ではじめて知った次第ですが、南海系の軌道線旧型車両というと、個人的には阪堺の戦前製1段窓車の印象が圧倒的ですので(そういえば全然撮っていない……^^;)、何やら1201形のミニチュア版を思わせるデザインの小型ボギー車も存在していたのか……という新鮮な驚きがありました。車号と社紋が消されているのは少々残念ですね……。これであとは、南海グリーンツートン、またはダークグリーン+窓枠オレンジであれば最高だなぁ、という気がしますが、まずは適度に良好な状態で保存され、一般の観覧に供されていることを喜ぶべきなのでしょう。
 というわけで、暗い雨の朝という禍も、公園に御子様がおらず光線がフラットであるという福に転じまして、たった一人しばし旧型車と語らったのち、伊太祁曽で折り返して来た「おも○ゃ」に乗って和歌山駅に戻ったのでした。

ジャカルタ炎鉄録 (4) 非冷房ステンレス編成

2009-08-24 14:27:00 | インドネシアの鉄道


 ジャカルタの庶民の足となっている非冷房エコノミー普通列車の主力としては、塗装がなされた鋼製車と並んで、ギンギラギンにさりげなく1980年代半ばに製造された日本製ステンレス車も大活躍を続けています。この車両、鋼製車との性能面での違いはないようで、フツーに鋼製車と連結して8連で運行されている光景も目にしますが、果たしてどちらに乗るのがトクした気分になるのか……結論から申しますと、どちらに乗っても車内アコモ的に違いはほとんどありません(笑)。たまに、椅子がただの板張りではなく、駅のホームにあるプラスチック製椅子のような、一人当たりの占有面積がはっきりと分かれているタイプの椅子を装備している車両もありますが、そのような車両に当たることよりも、↓の画像のように検査明けホヤホヤで、全体的にきれいに整備された車両に当たることの方がウレシイですかね~。なにせ出場間もない編成は、車内の壁面がペンキで丁寧に塗り直されておりますので……(なお、このピカピカ編成は試運転中。多くのドアが閉じられているのも新鮮な光景 ^^; 撮影した翌日からは早速運用に入っていました)。
 ちなみに、日本からの輸出時点では全車両についていたヘッドライトまわりのV字状装飾(むかし鉄道雑誌で写真が載っていた際、一体何の意味があるんだ……と思ったものです ^^;) は次第に撤去されつつあるようで、記録は今のうちかと思われます。それにしても……最後部の乗務員室にも一般客が寿司詰めになっているだけでなく、ビーサンを履いてライト部の僅かな突起の上に立っている客のスパイダーマンぶりには絶句……(汗。なお、最前部へのへばりつきは厳禁)。



 そういえば、前回は抵抗制御エコノミー車の豪快な103系的走りについて触れましたが、車内の様子についてももうちょい触れておいた方が、行ってみたい方のご参考にもなりましょう。総論としまして……むかし日本でオハ61系客車や国鉄時代のキハ30・35を利用したり、台湾の藍色客車のうち日本製のロングシート車(現在はごく一部が残存し、行包列車にバイク積載車として連結中)やインド製のセミクロス車を利用したりして不愉快さを感じなかった方にとっては、何の抵抗もなく利用出来るのではないかと思います。これらの車両はお世辞にも清潔に整備されていたとは言えず、湿気と埃が入り交じったような空気が漂っていたものですが……ジャカルタのエコノミー車はまぁ大体似たようなものではないかと思われます(パイプ類の破損や床・壁などの剥離などはジャカルタの方が多いですが ^^;)。
 最大の違いは、ひっきりなしに物売りや流しのギターが攻撃に来ることですが (爆)、これも韓国ソウルの地下鉄で免疫が出来ている方にとっては大した問題ではないでしょう。むしろ、売っているモノの奇抜さや販売方法という点では、遥かにソウルの後塵を拝しているあたりは少々残念ですらあります (^^; それだけソウルの地下鉄では想定外のブツを仰天の方法で売っているということです)。たまにギョッ!とするのは、座っている客に片っ端から品物を配って歩く物売りの存在ですが、これは客に吟味をさせるためでありまして、不要であれば後で回収に来る際に渡せばオーケー。って……メモ帳をこの要領で売っていたオバサンがいたのですが、何度も繰り返し客に配って吟味させているうちにメモ帳自体が汚れて来ないのかと……(苦笑)。
 流しのギターにつきましては、上手いヘタが極端に分かれ、評価が難しいですね。上手ければ1000ルピア程度をやっても良し、無視しても良し……ですが、下手なヤツほど同じ車両で長時間粘りやがって迷惑千万。とくにポンドック・チナとボゴールの間で流しているギター&ピアニカの2人組は、単に叫んでいるだけでヘタだった……(当然フトコロから金を出す乗客も少ないという……苦笑)。


 こんな感じで空いていればまぁ「快適」で、103系サウンドも満喫可なのですが……流しギターが来ると一気に売れないミュージシャンの苦悶のライブハウス状態に (滝汗)。
 床面の中央部が擦れて剥離しているのは、恐らく物売りが頻繁に竹籠を引きずって商売しているためだと予想……。

ジャカルタ炎鉄録 (3) 非冷房薄緑編成

2009-08-23 00:21:00 | インドネシアの鉄道


 ジャカルタの日本製非冷房車のうち鋼製車は、前回ご紹介した通りオレンジ色に塗られていますが、最近どうやらイメージアップのため (?) 塗装変更を模索しているようで……中には黄色とグレーの帯に加えてもう一本、濃いグリーンの帯を加えている編成も目にしました。しかし、それ以上に大胆な塗装変更として、斜体全体を薄いエメラルドグリーンに塗り、グレーの帯を巻いた編成が4連1本存在し、ステンレス編成(改めてご紹介します)と組んで運用されています。う~ん、個人的には如何にも暑苦しいオレンジ色 (熱帯の地で見るその色は、中央線で見かける際とは比較にならないほど暑そう……^^;) よりも、ジャングルを伝う風のようなエメラルドグリーンに軍配を上げたいなぁ……ということで、この編成は来れば「当たり!」でしたが、所変われば品変わるという言葉の通り、色彩感覚も変わるものかも知れません。インドネシアの皆様は、一年中夏という気候の中でも毎日オレンジ色の電車を利用することに暑苦しさを感じないのだろうなぁ……と (^^;)。



 そんな薄緑編成……撮影初日ののっけから行き交う列車を激写しまくったのち、ポンドック・チナからボゴールまでいよいよ非冷房エコノミーに初挑戦しようという際に、ちょうど折良くやって来ました。……とは言っても、車内に一歩踏み込めば他の非冷房エコノミー車両と何も変わらなかったりするのですが (^^;)。午前中にボゴールへ向かう普通列車は、勿論朝のジャカルタ・コタ行のような殺人的混雑ということはなく、全ての座席が埋まって立ち客がちらほら……という程度でしたが、とにかく参ったのは通気の悪さによる蒸し暑さ……。とくに、2段窓の下段が嵌め殺しになっており、かつ扇風機が壊れているのは致命的……。そういう列車だからこそ、壊れたドアが全て開け放たれ、転落防止は乗客一人一人の責任となるのは自然な流れと言えましょう。そして、こんな蒸し暑い車内だからこそ、むしろドア部分にぶら下がったりステップ部分に腰掛けるというのは特等席なのだということに気がついた次第……(^^;;)。
 そこで、ポンドック・チナ駅で座席にありつけなかった私も早速、日本の旧型客車や台湾の手動ドア客車で楽しむのと全く同じように、ドアの手すりをつかんで体を思い切り外に出してみたのですが (良い子は絶対に真似してはいけません!!)、ををっ、ワンダホー!! (^O^) 単に風が涼しいだけでなく、車内にいると激しいフラットのため余り良く聞こえない103系風モーター音をバッチリと聴き取ることが出来ます (*^^*)。何と申しますかこの……103系的走行音と旧型客車的ノリを同時に楽しみつつ、沿線の椰子の木の連続や古くとも風雅な家並みを眺めるという悦楽……病みつきになりそうです。とくに、デポックを発車すると終点のボゴールまで平均駅間所要時間7分、しかもひたすら登り勾配の連続ということで、とにかくダイナミックの一言に尽きます……。これであとは、空気が澄んでボゴール近辺の名山の数々 (いきなり2千数百m級の山々がそそり立っている) が見えれば完璧だったのですが、モヤ~っと埃っぽい天気で視界は広がらなかったのが残念! また次回訪問時のお楽しみということで……(^^;

東京総合車両センターにて青い車両を撮る

2009-08-22 18:15:00 | 国鉄型車両


 本日はJRE大井工場あらため東京総合車両センターにて、毎年恒例となった夏の一般公開がありました。その詳しい全貌の紹介は他の熱烈なJRファンの皆様のブログにお任せするとしまして、内容の激しい偏りを以て任ずる当ブログとしましては、そのごく一部の内容をご紹介……(^^;
 かねてから現存する貴重なクモヤ90を撮影したいと思いながらも仕事や所用が重なり、なかなかこのイベントに参加出来なかった私としましては、昨年ようやく訪れることが出来たものの、肝心のクモヤ90が奥に引っ込んでいて涙したものです……(-_-;)。そこで、リベンジの機会を窺っていたところ、今年も幸いにして時間を確保出来ましたので、開場直後の入場待ちの列が消えるのを見計らって昼の12時過ぎに大井町に到着、何はさておき最奥部の車両展示コーナーへ向かったのでした。すると、オハニ36及びEF60 19といった高崎の秘蔵品に加えて、鶴見線205系と房総向け209系が並んでいるという光景が……。4両まとめてみると如何にも脈絡がなさそうにも見えますが、ここは左側の2両(高崎コンビ)と右側の2両(黄+青帯)のそれぞれが別の展示だと解釈すれば合点が行きます (笑)。EF60 19、美しいですね……(*^^*)。



 いっぽう、詰所を挟んで東側にあるもう1ヵ所の展示コーナーに移動してみますと、ここには昨年EF58 61とクモハ12という茶色コンビが並べられていたものですが、今年は……左からクモヤ143・クハE231 (東海道)・クモハ12という並び……。うぅ、一体何なのだ、ますます脈絡がなさそうなこの並びは……。一応クモヤとE231の組み合わせは国府津っぽいと解釈することも出来ますが、個人的にはクモヤ143とクモハ12を隣り合わせて並べて頂きたかった……です (T_T)。E231とクモハ12を肩寄せ合わせたところで、一体何の関係があるといふのでせう……(-_-;;)。
 そして肝心のお目当てのクモヤ90は……今年も展示されず!! (号泣)。既に大部分の入場車両が「走るんです」シリーズとなり、編成単位での入場が完全に一般化する中、牽引車の役割は大幅に狭められつつあるようで、昨年の時点で花壇の奥に見られた (手前から) クモヤ143 (?) 改造入換車+クモヤ90+クモニ13の並びは全く変わらず、しかも完全に動いていない様子が伝わって来ます……。もうクモヤ90を撮ることなど期待しない方が無難なのでしょうか……。
 というわけで、激しい後悔が残ってしまった今回の大井工場訪問、取り敢えず撮るものを撮ったあとは、余りの人出の多さの中にいつまでも留まる必要を感じなかったことから早々に出てきたのですが、まぁこれだけの車両を間近に撮影出来るだけでも有り難いことなのかも知れません。開催関係者の皆様に、この場ながら心より御礼申し上げます。

ジャカルタ炎鉄録 (2) 非冷房オレンジ編成

2009-08-21 22:41:00 | インドネシアの鉄道


 ジャカルタ市街の中心部にあるゴンダンディア駅から乗車した103系「エコノミーAC」は、終点のデポックへ向けてひたすら勾配を登って行きます。その激しいシャウトにすっかりうっとりしつつも、一方で撮り鉄にふさわしい場所はないものかと窓外をじーっと注目……。一応パサール・ミング周辺までは、ゴチャゴチャと住宅街が建て込んだ風景が続きますが、さらに南下すると文教地区兼田園都市 (?!) という風情が漂うようになり、どこで下りても良さそうだなぁと判断しまして、とりあえずインドネシア大にて下車。インドネシア大は言うまでもなくインドネシアの最高学府でありまして、駅周辺を歩く学生さんの雰囲気はさすがに知的で洗練されたものがあります。では、井の頭線の駒場東大前との違いはと申しますと……街路樹や線路脇の植え込みがそのまんまジャングルになっていることでしょうか。あと、列車の発車直前の横断多過ぎ (笑)。
 インドネシア初入国の翌朝からイキナリこんなシーンの真っ直中に身を置く酔狂なヤツはそうそういないだろうなぁ……と我ながら思いつつ、早速踏切の脇で構えていますと……ぬををっ! ボゴール方面からやって来たエコノミー(非冷房の普通電車)、屋根もドアもマジで鈴なり過ぎ……(@o@)。既に夜明け前のゴンダンディア駅で、早朝だというのに屋根にも人が乗ったエコノミーを目にして衝撃を受けていたのですが、ちょっとこれはムチャクチャ過ぎるレベルではないのかと……。



 勿論、屋根の部分には「直流1500V危険!登るな!」という警告がラッピングされていたり、主要駅のホーム上屋には屋根乗車を妨げる柵が設置されていたり、鉄道当局としてもあの手この手で対策を講じているようですが、とりあえず観察するにつけ、以下の理由で屋根乗車は止めきれない状況であるのも事実です。
 (1) ただでさえジャカルタへの人口集中、郊外へのベッドタウン拡大、そしてとにかく渋滞する悲惨な道路状況ゆえ、鉄道への乗客集中は激化の一途。
 (2) それを緩和し快適な通勤通学環境を提供するべく日本の中古冷房車が集中的に投入されるも、線路容量自体は増えず、すでに2~3分間隔運転で限界。
 (3) そこで、故障が相次ぐ非冷房VVVF車からどんどん離脱が進み、低所得者でも乗車できる非冷房エコノミー普通列車は減便の一途。(エコノミーACはジャカルタコタ~ボゴール間均一運賃で6000ルピア、非冷房エコノミーは区間によって1000~2500ルピアで、大幅な開きがあります。100ルピア=約1円)
 (4) というわけで、行き場を失った低所得利用者がいっそう非冷房エコノミーに集中。車内は激しく混み、乗る余地がなければ屋根に乗るしかなし。
 (5) より現実的な問題として……通気が悪い車内よりも、100%新鮮な外気に触れられる屋根上やドアの方が気分爽快! (笑……別の記事で改めて触れます ^^;)
 ……とまぁこんな感じで、ジャカルタ近郊の通勤通学輸送は誠に過酷な利用環境となっているのが現状ですが、それを長年担ってきたのが日本製の抵抗制御車です。最初に1976年に製造された車両は2扉車で、78~84年に製造された車両は3扉車ですが、性能的には103系と極めて近似しているとされ、相互に混結可能です。こんな過酷な環境でも故障も少なく (?) 30年以上走ってきたのはまさに日本製車両の面目躍如といった感じでありまして、現場の信頼感も都営6000系以降の冷房車輸入に大いに与っているのではないかと想像しています。