今回のインドネシア訪問は初めてでありまして、総じて初めて訪れる街に夜も更けてから到着するというのは何とも心細いもの。空港から市街へは、インドネシアの門にふさわしく明るく照らし出された高速道路を走るわけですが、一旦高速道路を下りて市街地に入った途端、ところどころぼんやりと電灯が点る真っ暗な街の光景に、「予備知識を勉強するヒマもなく乗り込んだ自分は、果たしてこの先一週間鉄活動出来るのだろうか・・・」という不安を覚えたのでした。
それでも、翌朝からは何が何でも乗って撮りまくらなければ、高い航空券代を払った意味がないというもの。朝4時過ぎから街中に響き渡るアザーン(礼拝の時刻を告げるコーランの朗唱ですが、実にうまい時間に流れる時報代わりでもあります)で目を覚ましたのち、やおら身支度を整え、さっそく夜明け前の暗い街を歩いてゴンダンディア駅へ向かったのでした。すると……ゴンダンディア駅の手前150mあたりで、高架上を走る103系の灯りが目に飛び込んで来たではありませんか!! その瞬間、果たしてどれだけ内心の不安が吹っ飛んだことでしょうか……!! 嗚呼、こうして異国の地を走る103系と本当に巡り会えたのだから、自分はもう孤独ではない!!と (何ともオーバーな表現ですが)。
ゴンダンディア駅に到着した後は、まず90年代に円借款で建造されながらも早くもボロボロな駅の雰囲気や、夜明け前だというのに早くも屋根に人を乗せて満員で到着する非冷房電車の凄絶な眺めに圧倒されつつ、ジャカルタコタから折り返して来る103系をじっと待ち……そして6時15分頃、ついにデポック行の103系エコノミーAC (AC=エアコン) 到着!! やって来たのは低運編成が2本連結された8連でありまして、後ろから2両目のモハ102-321に乗車。外気の蒸し暑さとは全く無縁なほど強烈に冷房が効いた馴染みの車内に思わず「ふーっ……」と安堵の深呼吸……(^^;)。そして、次第に明るくなり行くジャカルタの街を車内から眺める頃には、103系のおかげで少しは気分にも余裕が生まれまして、何とも雑然とはしているものの何処か懐かしい風情の街並みに「これなら何とか馴染めそうだな。さぁこれからどう撮ってやろうか……」というファイトが湧いてきたのでした。
そんな、記念すべきジャカルタでの初乗車となりました103系低運編成 (ケヨ21・27編成)、こんな感じでうまく撮ることも出来、まずは満足です。
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以下、総論・備忘録の続きです(前回記事が字数制限に達しましたので ^^;)。
●撮影許可証について……「Asian Railway Plaza」さんの記述によりますと、最近は恐らくテロ対策との関連で撮影許可証が必要になった模様であり、現地でお会いしたYさんも最初に取得されていました。しかし、私の場合はと申しますと……到着翌日の早朝からいてもたってもいられず乗り撮り鉄に出掛けてしまい (^^;)、「許可証は文句を言われたら取りに行けば良いか」というノリで臨んでおりました。その後Yさんとのお食事中に、ジャカルタコタ駅での取得方法を教えて頂いたのですが、発行するオフィスの場所がなかなか分からず、まずはそれっぽい関係者詰め所に出向き、オフィスの場所を伺ったところ……連れて行かれたのは改札口脇の運行管理室。しかも二つ返事で「どうぞどうぞ、どんどん撮ってくれ!」とのことで、許可証云々は現場に周知されていない雰囲気……。他の駅やボゴール電車区でも、やはり許可証なしでも即オーケー。私の存在に気付いた運転士氏が気を利かせてライト点灯サービスをして下さったり、沿線民の皆様もフツーにウェルカムだったり……。というわけで、結局帰国するまで許可証を取得することもなく、気分良く撮影に徹したのでした (^^;)。但し、それも恐らくは往路の飛行機の中で必死に覚えたカタコトのインドネシア語が功を奏したに過ぎないのかも知れず、治安の状況によっては本当に許可証が必要になる可能性もありますので、訪問される方は臨機応変に対応して頂きますようお願い申し上げます。
●線路内での撮影について……今後ご紹介する画像の中には、踏切以外の線路内で撮影しているカットがあることを予めお断りしておきます(既にネット上でいろいろな方によって紹介されている画像も、線路内に立ち入らなければ撮影出来ないものが多数あります)。つい最近までの中国と同じく、インドネシアでは事実上「列車が来ない線路は生活道路と同じ」と見なされ(本当は立入禁止のはずですが、当局も完全に黙認しています)、例えば複線内を歩いているとしても、立ち入った本人が自分の責任で安全に配慮する限り、対向する列車の運転士は気にも掛けないのが現状です。但し、列車が向かって来る目の前にいるのは厳禁であることは言うまでもありません。列車本数が頻繁な中央線やブカシ線では、線路内撮影をなるべく避けるのが無難かと思われます。なお、現状では黙認されていても、今後厳禁される可能性もありますのでご留意下さい。