先日東急から、かねてから噂されていた (?) 新型電車・2020系の登場が発表されましたが、これはどう見ても、東横線サハ5576で試されていたサスティナ技術を東急が全面的に採用するものと言えましょう。そして正面のデザインは西武40000系や京王5000系と同じような流れなのだろうと言えるでしょうし (固定編成としての割り切り)、車内の基本デザインは6ドア車の代わりに挿入された新規製造サハのそれをベースとして袖仕切りを変えたものと言えそうですが、ともあれ個人的には、5000系の薄っぺらいハリボテ感を幾ばくかでも脱したものとして評価したいと思います。
そんな矢先、サスティナ技術による4扉車の先行量産事例に乗って参りました (E235や京王5000の量産はこれから)。その舞台は、昨年8月に正式開業したタイ・バンコクのパープルライン! 東南アジア有数の大都会として今も拡大を続けるバンコクでは、当然のことながらバスだけでは大量輸送需要を賄うのは限界がありますので、現在かなりのペースで新線や既存国鉄並行路線の建設が進められているところですが、このパープルラインはBTSスカイトレイン、地下鉄、空港鉄道に次ぐ第4弾ということになります。
個人的には普段、新線と新型車両には余り興味がなく、撮り鉄にも全然励まないところですが (^^;)、それでもこの開業間もないパープルラインに何故惹かれたのかと申しますと、線路インフラも車両も基本的に日本の協力のもと造られたという点にあります。要は、私もプチ・ナショナリストであることを免れないということでしょうか。もっとも、単に「どんなもんじゃい」という野次馬的好奇心から乗りに行ってみたという範疇を超えませんので、詳しい情報はいつもお世話になっております『西船junctionどっと混む』様のレポートをご覧頂ければと存じます!
それはさておき、今回パープルラインに乗ったのは、約1週間にわたるミャンマー・タイ撮り鉄遠征の活動最終日。前日はタイ国鉄の日本中古車両放置車体を求めて往復500km強の長距離列車旅をして疲労困憊していたはずですが、朝練撮り鉄のあとの酷暑アワーにはパープルラインの冷房ガンガン車内に逃げ込めると思えば、最後の闘いのパワーも湧き出てくるというものです (笑)。というわけで、なかば毎年の儀式と化している、ホアラムポーン駅の食堂での焼き米粉とかき氷賞味を楽しんだ後、定時であれば11:40発 (この日は約15分遅れ)・スリン行き鈍行客レに乗りまして、バーンスーまでたったの5バーツで半鋼製ボックスシート客車のプチ旅を満喫しました。数十年前の日本製客車から、最新鋭の日本製電車への華麗なる (?) リレーですね、これは……(^O^)。
バーンスーで下車し、駅構内と駅前広場の境目が判然としない (そのユルさがタイ♪) 中を進んで行きますと、ちょうど地下鉄の入口付近にバスを待つ人々の群れが佇んでおり、たまたま待ち時間ゼロで現時点での始発駅であるタオ・プーン駅への無料連絡バス (改めて紹介します) が到着~。数分間乗ってタオ・プーン駅に着きますと、ここは地下鉄との乗り換え駅となるため巨大な構造で、しかも概ね出来上がっている地下鉄ブルーライン (バーンスーから一気に地上、そして高架へと駆け上がってきます) との乗り換えも十分考慮されているようですので、今後地下鉄が延伸開業された後の真価に大いに期待が出来ます。
しかしまぁ……現時点のパープルラインは他の大量都市輸送路線と切り離された状態であることは否めず、運賃も全線で29バーツということで、バスと比べれば高いことから、とりわけ日中は閑古鳥状態……。土日は約半額の15バーツという出血特例措置が慌てて追加され、地下鉄ブルーラインの延伸まで続くようですが、実際不便ですのでどうしようもありません……。とはいえ逆転の発想をとれば、滅茶苦茶空いている今こそ乗り鉄のベストチャンスではあります (^^;)。
そんなことを思いつつ、いざサスティナに乗車! 到着したばかりの電車は社内整備のためすぐに乗ることは出来ず、しばし待ったのち足を踏み入れてみますと……をを!明るい!涼しい!車体幅が広い!しかも「走るんです」よりは堅牢そうに見える! 走り出しても静粛快適そのもの! 良いじゃないですか、サスティナ……。そして全線高架ですので、まさにバンコクのベッドタウンとして躍進と変化を続けるノンタブリー県の様相を、大きな窓から高みの見物をすることが出来ます。
というわけで、終点のクローン・バーン・パーイ駅まで、片道の所要時間は30数分といったところでしょうか、なかなか愉快な涼み旅を楽しむことが出来ますが、唯一最大の遺憾は「とにかく撮り鉄しづらい!」ことに尽きます。何故なら、ほとんどの駅では島式ホームの両端が出入り口の階段になっているためです……。最も、かつ圧倒的に撮りやすいのはウォンサワン駅でしょうか。終点のクローン・バーン・パーイ駅も、引き上げ線から出て来る列車を超望遠で撮ることが出来ますが、ホーム警備員が「線路に近づきすぎる」と判断して笛を鳴らされまくる可能性があります (一応日本的感覚からは十分安全な位置で撮っていますが……)。また、『西船junctionどっと混む』様では絶妙な位置から沿線撮り鉄をされていますが、この建物に入れるかどうかは運次第と言えましょう~(それ以前に、日中は暑すぎて、私はそこまで歩いて行きたくないっす ^^;)。
そういえば、パープルラインはさておき……
バンコクの空港鉄道にこの4扉サスティナを大量投入して、3連なら4~5分間隔で運行せよ!!! (でもスワンナプームのホームドアを何とかしなけりゃイカンのだよなぁ~。鬱)
空港鉄道、沿線民の通勤輸送も激増しているというのに、予備車を含めて計9編成しかないなんて終わってます……。その結果、客の集中によって運転間隔が崩壊する現象や積み残しが常態化……。しかも急行の運転を中止して格下げ改造した4編成は、椅子がメッチャ座りにくいだけでなく、最早使われる見込みのない荷物室1両を未だに旅客用に改造しないのは全く以てワケワカラン……(とりわけスワンナプーム行の場合、先頭車の停止位置は3連と荷物車つき4連で同じであるため、せっかく早めに駅に来て先頭車の位置に並んでいても、結局移動を余儀なくされるという……。そういえば、バンコクの地元客はそこらへんを100%理解して、結局2両分のドアの前にしか並ばず、これがまた混雑激化の原因に -_-;)。これも全て、シー○ンスの口車に乗せられて、使えなさの極みな2扉車を買わされてしまった結果というものでしょう。