~収録作品~
不在の証明 ――有栖川有栖
北斗星の密室 ――折原一
わらう公家 ――霞流一
鳥雲に ――倉阪鬼一郎
人の降る確率 ――柄刀一
交換炒飯 ――若竹七海
「別れても好きな人」見立て殺人 ――鯨統一郎
通りすがりの改造人間 ――西澤保彦
フレンチ警部と雷鳴の城 ――芦辺拓
闇ニ笑フ ――倉知淳
英雄と皇帝 ――菅浩江
通り雨 ――伊井圭
やさしい死神 ――大倉崇裕
トリッチ・トラッチ・ポルカ ――麻耶雄嵩
坂ヲ跳ネ往ク髑髏 ――物集高音
麺とスープと殺人と ――山田正紀
ひよこ色の天使 ――加納朋子
消えた裁縫道具 ――河内実加
~感想~
『不在の証明』
はい、肩すかしでした。
『北斗星の密室』
ものすごいバカミスじゃないですか。奇想天外な密室にあ然。
『わらう公家』
バカミスの第一人者を初体験。なんというか――流石だw
ものすごいトリックは筆舌に尽くしがたい。とにかく驚いた。
『鳥雲に』
勝手にやってなさいという感じ。
『人の降る確率』
よくできていることは解る。すごく解る。だが。あんな情景、頭ん中だけで描けるかっつーの。
『交換炒飯』
これは変革構造。ただの交換殺人に終わらない仕掛け。
『「別れても好きな人」見立て殺人』
どこが見立てやねん。
『通りすがりの改造人間』
改造人間の存在に、とってつけた感がいなめない。この一作だけ取りだして楽しめるものではあるまい。
『フレンチ警部と雷鳴の城』
氏はカーを模倣したほうが、はるかに文体が読みやすくなるのはどうしてだろう。
どこかで見たトリック(見当のついた方だけネタバレ→)『嘘でもいいから殺人事件』島田荘司 はともかくとして、雰囲気といい楽しめた。
『闇ニ笑フ』
とんでもないとんでもない。本書中どころか01年度の最高傑作短編。
鮮やかな反転。最後の一行が示す真実。脂が乗りに乗ってます。
『英雄と皇帝』
専門知識総動員ミステリ。好きになれない。
『通り雨』
よくできているようで、非常に粗削りな強引トリック。
文章がこなれていて、これから伸びそうな作家――っていい年なんだなこの方。
『やさしい死神』
解りきった犯人をいつまでも引っぱりすぎ。筆力は高い。円紫なんてさっぱり思いださなかった自分が好き。
『トリッチ・トラッチ・ポルカ』
賛否両論のトンデモ探偵登場。とにかくバカなトリックが冴える。
『坂ヲ跳ネ往ク髑髏』
トリックはもちろん、プロットもロジックもサプライズもどこにあったんだろう。
氏はどうしても好きになれない。というか一、二を争うくらい嫌いなもんで。
『麺とスープと殺人と』
いかにもなオッサン臭さが行間からにじみ出るが(暴言)しっかりとした本格ミステリ。
『ひよこ色の天使』
そこまでひっくり返してくれてよかったのに。とはいえ、読みやすく透明感のある佳作。
『消えた裁縫道具』
単なるマンガ化かと思いきやオリジナルとは。つくづくマンガ向きの題材だと思う。
しっかし、これを読んで誤った二階堂観を抱く少年少女が出ないかは危ぶまれる。
~総括~
去年の、日本のミステリ界は大丈夫かと思わせるラインナップからは一変――とまではいかないものの、
そこそこ楽しめるアンソロジーでした。それにしても……正統派が減ったなあ。
03.3.31
評価:★★★ 6
不在の証明 ――有栖川有栖
北斗星の密室 ――折原一
わらう公家 ――霞流一
鳥雲に ――倉阪鬼一郎
人の降る確率 ――柄刀一
交換炒飯 ――若竹七海
「別れても好きな人」見立て殺人 ――鯨統一郎
通りすがりの改造人間 ――西澤保彦
フレンチ警部と雷鳴の城 ――芦辺拓
闇ニ笑フ ――倉知淳
英雄と皇帝 ――菅浩江
通り雨 ――伊井圭
やさしい死神 ――大倉崇裕
トリッチ・トラッチ・ポルカ ――麻耶雄嵩
坂ヲ跳ネ往ク髑髏 ――物集高音
麺とスープと殺人と ――山田正紀
ひよこ色の天使 ――加納朋子
消えた裁縫道具 ――河内実加
~感想~
『不在の証明』
はい、肩すかしでした。
『北斗星の密室』
ものすごいバカミスじゃないですか。奇想天外な密室にあ然。
『わらう公家』
バカミスの第一人者を初体験。なんというか――流石だw
ものすごいトリックは筆舌に尽くしがたい。とにかく驚いた。
『鳥雲に』
勝手にやってなさいという感じ。
『人の降る確率』
よくできていることは解る。すごく解る。だが。あんな情景、頭ん中だけで描けるかっつーの。
『交換炒飯』
これは変革構造。ただの交換殺人に終わらない仕掛け。
『「別れても好きな人」見立て殺人』
どこが見立てやねん。
『通りすがりの改造人間』
改造人間の存在に、とってつけた感がいなめない。この一作だけ取りだして楽しめるものではあるまい。
『フレンチ警部と雷鳴の城』
氏はカーを模倣したほうが、はるかに文体が読みやすくなるのはどうしてだろう。
どこかで見たトリック(見当のついた方だけネタバレ→)『嘘でもいいから殺人事件』島田荘司 はともかくとして、雰囲気といい楽しめた。
『闇ニ笑フ』
とんでもないとんでもない。本書中どころか01年度の最高傑作短編。
鮮やかな反転。最後の一行が示す真実。脂が乗りに乗ってます。
『英雄と皇帝』
専門知識総動員ミステリ。好きになれない。
『通り雨』
よくできているようで、非常に粗削りな強引トリック。
文章がこなれていて、これから伸びそうな作家――っていい年なんだなこの方。
『やさしい死神』
解りきった犯人をいつまでも引っぱりすぎ。筆力は高い。円紫なんてさっぱり思いださなかった自分が好き。
『トリッチ・トラッチ・ポルカ』
賛否両論のトンデモ探偵登場。とにかくバカなトリックが冴える。
『坂ヲ跳ネ往ク髑髏』
トリックはもちろん、プロットもロジックもサプライズもどこにあったんだろう。
氏はどうしても好きになれない。というか一、二を争うくらい嫌いなもんで。
『麺とスープと殺人と』
いかにもなオッサン臭さが行間からにじみ出るが(暴言)しっかりとした本格ミステリ。
『ひよこ色の天使』
そこまでひっくり返してくれてよかったのに。とはいえ、読みやすく透明感のある佳作。
『消えた裁縫道具』
単なるマンガ化かと思いきやオリジナルとは。つくづくマンガ向きの題材だと思う。
しっかし、これを読んで誤った二階堂観を抱く少年少女が出ないかは危ぶまれる。
~総括~
去年の、日本のミステリ界は大丈夫かと思わせるラインナップからは一変――とまではいかないものの、
そこそこ楽しめるアンソロジーでした。それにしても……正統派が減ったなあ。
03.3.31
評価:★★★ 6