小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

ミステリ感想-『女王の百年密室』森博嗣

2001年08月30日 | ミステリ感想
~あらすじ~
女王が統治する幸福で豊かな楽園。
不満も恨みもない世界で起こる、起こりえないはずの殺人。
完全なる密室と完全なる犯罪。誰が、どうやって、なんのために?
僕とパートナのロイディは推理を開始する。
しかし、住民たちは「殺人」の存在さえ認めない。
「密室」の謎、「百年」の謎、「女王」の謎、そして「神」の謎とは……?


~感想~
ミステリではない。トリックはほとんどない。ロジックもほとんどない。言うなれば、森小説。
氏の色、氏の味、氏の匂い、氏の形……どこまでも森博嗣の物語であり続ける。
謎物語(ミステリ)として見るならば、おそらくたいした作品ではない。
だが、この結晶のような輝き。陽炎のような揺らめき。この小説を読んでいた時を、決して忘れられない。


01.8.30
評価:★★★★ 8
コメント

ミステリ感想-『ヨギ・ガンジーの妖術』泡坂妻夫

2001年08月27日 | ミステリ感想
~収録作品~
王たちの恵み
隼の贄
心魂平の怪光
ヨギガンジーの予言
帰りた銀杏
釈尊と悪魔
蘭と幽霊


~感想~
『王たちの恵み』
逆転が秀逸。トリックといい奇術といい伏線といい……まことにお見事な佳品。

『隼の贄』
伏線は巧妙だが、奇術がちょっと有名すぎた。

『心魂平の怪光』
小道具の扱いが本当にうまい。

『ヨギガンジーの予言』
逆か! と思わず唸りたくなるトリック。

『帰りた銀杏』
(ネタバレ→)人はともかくなぜ大に? ちょっと理解できなかった。

『釈尊と悪魔』
手がかりを事前に明示していないのは手落ち? 奇術もなくてさみしい。

『蘭と幽霊』
こんなところで(ネタバレ→)ポスターがからんでくるとは。 伏線が冴える。


~総括~
氏らしい丁寧に編まれた作品ぞろい。な半面、インパクトには欠ける華のなさ。


01.8.27
評価:★★☆ 5
コメント

ミステリ感想-『恋恋蓮歩の演習』森博嗣

2001年08月26日 | ミステリ感想
~あらすじ~
世界一周中の豪華客船。
乗客の持ち込んだ、天才画家・関根朔太の自画像を盗み出すのが、怪盗に課せられた今回の任務であった。
許された時間は那古野から宮崎までの一日半だけ。
なぜか小鳥遊練無たちも無賃乗船したまま航海が続くなか、突然の銃声の後、男性客の消失事件が発生する。


~感想~
見え見えのトリックはどうしたことか。(ネタバレ→)「固有名詞に限っては~」なんてヒントを与えすぎ。どうぞ見破ってくださいと言ってるようなもの で、あっさり見抜けてしまい、終始退屈だった。
目を見張ったのは結末の一件のみ。せっかくの周到な構成も、これでは楽しめない。
氏らしからぬ暴走も……。


01.8.26
評価:★★☆ 5
コメント