小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『百器徒然袋-雨』京極夏彦

1999年11月26日 | ミステリ感想
~収録作品~
鳴釜
瓶長
山颪


~感想~
今シリーズの主役は、あの榎木津礼二郎。
「探偵」と書いて「神」と読む榎木津が、あらゆる怪異をブチ壊す!
愉快痛快の娯楽小説に仕上がっています。


99.11.26
評価:★★★★☆ 9
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ミステリ感想-『法月綸太郎の冒険』法月綸太郎

1999年11月22日 | ミステリ感想
~収録作品~
死刑囚パズル
黒衣の家
カニバリズム小論
切り裂き魔
緑の扉は危険
土曜日の本
過ぎにし薔薇は…


~感想~
小難しいだけの物足りない作品と、小気味いい論理の冴える作品とが入り交じる。全体としてなにか食い足りない。


99.11.22
評価:★★ 4
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ミステリ感想-『六枚のとんかつ』蘇部健一

1999年11月15日 | ミステリ感想
~収録作品~
音の気がかり
パンは知っていた
桂男爵の舞踏会
黄金
チチカエル
エースの誇り
見えない証拠
しおかぜ17号四十九分の壁
解けないパズル
丸ノ内線七十秒の壁
欠けているもの
張り込み
消えた黒いドレスの女
六枚のとんかつ
「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」を読んだ男
最後のエピローグ

第3回メフィスト賞


~感想~
本書はマジメに論評してはいけません。これは世に言う「バカミステリ」です。
「バカだなあ」「くっだらねえなあ」と笑い飛ばすのが正しい読みかた。「こんなのミステリじゃねえ!」と怒ったら作者の思うつぼ(?)。バカで下品でしょうもない作品の数々を、気楽に読み飛ばすのが吉。
マジメに読まなければ、面白いものも、ちらほらあるはず。


99.11.15
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『全日本じゃんけんトーナメント』清涼院流水

1999年11月13日 | ミステリ感想
~あらすじ~
今年も全日本じゃんけんトーナメントの季節がやってまいりました。ここ極楽ドームにお集まりいただいた7万人もの観客の皆さまの前で、決勝トーナメント進出者1024人が覇を競います。本日この場所で決定する今年の『ジャンケン王』は、はたして誰か。
(裏表紙より)


~感想~
ミステリ……と呼んでいいものだろうか? 謎っぽいものはあり、解決っぽいものはあり、真相っぽいものもある。ならミステリやんと言われると、いや違うよなあと否定したくなる。流水小説(あ、大説か)としては驚異的に薄く、勢いのある娯楽小説になっているので、「流水読むの怖い! でも読んでみたい!」という方には、入門編としてどうぞ。


99.11.13
評価:★☆ 3
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ミステリ感想-『バイバイ、エンジェル』笠井潔

1999年11月11日 | ミステリ感想
~あらすじ~
ヴィクトル・ユゴー街のアパルトマンの広間で、血の池に横たわる女の死体には首が無かった。
こうして幕を開けたラルース家を巡る連続殺人事件。
モガール警視の娘ナディアは、現象学を駆使する奇妙な日本人、矢吹駆とともに事件の謎を追う。


~感想~
矢吹駆シリーズ第一弾。
全編是、観念の海。理解しうる言葉で書かれているのは救いだが、とにかく骨が折れる。
探偵は論理性を否定し、他者の推理の欠陥を論理的に指摘することはない。
筋は通っているがミステリとしてそれはそれでいいのか。
とはいえ、事件自体はこれ以上ないほど論理的で、まぎれもない本格探偵小説。
娯楽性は皆無に等しいが、ミステリに新たな地平が拓かれたことは間違いない。

……でもこれ、おっそろしく犯人わかりやすいよね?


99.11.11
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『ガラス張りの誘拐』歌野晶午

1999年11月10日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「要求を言います。現金で一億円用意してください」
さえない中年刑事佐原の娘が誘拐された。犯人は話題の連続殺人犯か?
衆人環視の中で身代金を運べと要求する犯人。刑事を待ち受ける信じがたい結末とは?


~感想~
シリーズ物とたもとを分かち、氏ならではの路線を歩み始めた記念碑的作品。
トリックはやや解りやすく弱いが、構成は巧み。
魅力的な登場人物、奇抜な誘拐トリックと、のちの飛躍へとつづく助走ととらえれば十分及第点。


99.11.10
評価:★★ 4
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