小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『クロへの長い道』二階堂黎人

2003年10月07日 | ミステリ感想
~収録作品~
縞模様の宅配便
クロへの長い道
カラスの鍵
八百屋の死にざま

渋柿探偵シリーズ第二弾。


~感想~
『縞模様の宅配便』
そうだそうだ。どこで見たトリックだかやっと思いだした。意外にも(ネタバレ→)「コズミック」 だ。よって。全く楽しめませんでした。

『クロへの長い道』
伏線は利いてるけど、そんなこったろうと思った。

『カラスの鍵』
あーあやっちゃった。二階堂名物「物理化学の応用授業」。こんなところでまで藤木稟と張り合わなくても。(←違う)

『八百屋の死にざま』
こんなもん解けるかい。解きようのない謎を本格とは呼ばない。シンちゃんはほとんどからまないし……。


~総括~
本格としての魅力薄。シンちゃんの描写も練られていない。ハードボイルド味が増してしまったような。
あなたの本格魂はどこへ行ってしまったのだ? こんなトリックばかりならば打ち切りも吉。(酷言)


03.10.7
評価:★★ 4
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ミステリ感想-『北村薫の本格ミステリ・ライブラリー』北村薫

2003年10月02日 | ミステリ感想
~収録作品~
スクイーズ・プレイ  ――レナード・トンプスン
剃りかけた髭  ――レナード・トンプスン
ガラスの橋  ――ロバート・アーサー
やぶへび  ――ローレンス・G.ブロックマン
ケーキ箱  ――深見豪
ライツヴィル殺人事件  ――新井素子・秋山狂一郎・吾妻ひでお
花束の秘密  ――西条八十
倫敦の話  ――ロオド・ダンセイニ
客  ――ロオド・ダンセイニ
夢遊病者  ――カーリル・ギブラン
森の石松  ――都筑道夫
わが身に本当に起こったこと  ――マヌエル・ペイロウ
あいびき  ――吉行淳之介
ジェミニー・クリケット事件  ――クリスチアナ・ブランド


~感想~
『スクイーズ・プレイ』
こんなこと成歩堂でもしないよ。

『剃りかけた髭』
最大の謎は「なぜ殴る」

『ガラスの橋』
豪快。

『やぶへび』
わけわからん。

『ケーキ箱』
このダイイング・メッセージ好き。某作家は(ネタバレ→)二階堂黎人「空より来たる怪物」 かな。

『ライツヴィル殺人事件』
とことんバカ。ようやるわ。この作品(?)の魅力は新井素子に尽きる。

『花束の秘密』
そのまんま。文体は好き。

『倫敦の話』・『客』・『夢遊病者』
そんなに切れ味あるかなあ。

『森の石松』
残念ながら元ネタを知らない。

『わが身に本当に起こったこと』・『あいびき』
前者は「ふーん」。後者は吉行氏を読んでいれば笑ったかも。

『ジェミニー・クリケット事件』
最後にいいものを持ってきてくれた。これぞ本格と唸りたくなる密室・怪奇・不可能状況。
何重もの誤答・誤導と細緻なトリック・プロット。本書中の白眉。


~総括~
まさに渾然一体・玉石混淆。
物理・ユダ・企画・ミス研・文学・幻想・ユーモア・新解釈、そして掉尾を飾るド本格。盛りだくさん。
――まあ、いかにも北村薫が好きそうな作品ぞろいと言えばそれまでだが。


03.10.2
評価:★★☆ 5
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