小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『本能寺六夜物語』岡田秀文

2014年05月31日 | ミステリ感想
~あらすじ~
本能寺の変から三十年余――。
僧侶、商人、武士、侍女……山寺に集まった六人の男女が語る、あの時の出来事。
彼らはいったい何を見て、何を知ってしまったのか。
本能寺の変の真相が、いま語られる。


~感想~
なぜ明智光秀は織田信長を殺したのか――日本史上の最大の謎の一つに数えられる本能寺の変。
ぶっちゃけ本能寺の変の真相、それ自体に関わる話は最後の一つきりで、六つの物語が少しずつ連関していき、一つの真相を形作るようなものではないのは少々残念だが、様々な形で本能寺の変に関わった六人が、それぞれの視点から語る物語自体が単純に面白い。
特に冒頭の一編、信長の側近くに仕え、本能寺での戦いにも巻き込まれた僧侶の話は、本能寺の変のIFストーリーとして満点回答。
また五編目のヤンデレ侍女の話はもう本筋とはほとんど関係のない、作者の趣味で描かれたような単なる「厭な話」ながら、文庫版で50ページにも満たない分量の前半・中盤・後半それぞれに趣向を凝らした厭で厭でたまらない逸話をぶちこみ、特に指の話の厭さ加減たるや顔をしかめずにはいられない。
そして肝心の「本能寺の変の真相」も、すれっからしの戦国マニア視点から見ても十分に意外性あふれる、これまでに類例のなかった解釈で、歴史小説としての出来も及第点以上、エピローグではおなじみのアレも当然のごとく現れと、戦国ファンなら確実に楽しめる一冊だろう。
昨年刊行の「伊藤博文邸の怪事件」が素晴らしかったので、なんのけなしに読んでみたのだが思わぬ拾い物でした。


14.5.31
評価:★★★☆ 7
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今週のNXT #222

2014年05月30日 | 今週のNXT
※ダラス勝利=NXT王座へ挑戦 敗北=NXT追放
ビッグ・E ○-× ボー・ダラス

NXTに久々の凱旋を果たしたビッグ・Eがダラスに引導を渡した。
すでにダラスは糞ウザい良いキャラで一軍昇格しており妥当な結果。


ペイジ ○-× タミーナ・スヌーカ


アダム・ローズ ○-× カマーチョ
(試合放棄→カウントアウト)

えっ。この抗争をまだ続けるの?


NXT女子王座決定トーナメント準決勝
ナタリヤ ○-× サーシャ・バンクス


エイドリアン・ネヴィル ○-× カート・ホーキンス
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ミステリ感想-『99%の誘拐』岡嶋二人

2014年05月27日 | ミステリ感想
~あらすじ~
誘拐された息子の身代金は五千万。それは会社を立て直すために必要な金額と一致していた。
犯人に振り回され、幕を閉じた事件から12年後、新たな誘拐事件の幕が開く。
コンピュータによって全てが制御される、前代未聞の完全犯罪だった。

吉川英治文学新人賞、本格ベスト28位、文春8位


~感想~
岡嶋二人を初体験。発刊当時の1988年とは隔世の感もある日進月歩のコンピューターを題材に、いまだWWWは影も形もない(影くらいはあったか)、チャットという言葉にすら事細かな説明が必要だった頃の作品でありながら、2014年の今なお斬新さを失っていないのはお見事。当時の状況から言えばほとんどSFミステリさながらの設定であったろう。
物語自体も最初の誘拐事件は当事者の手記で語られ、事件中、事件後の捜査の過程が付記されるかたちで、煩雑さを慎重に排してうまくまとめられており、後半の誘拐事件はリアルタイムで進み、息つく暇もないスピード感あふれるもので、とにかく構成の巧みさが光る。
惜しむらくは倒叙ミステリ形式で犯人も犯行手段も最初から明かされており、事件が終わっても残された謎はほぼ皆無で、どうでもいいような補足が付けられて幕引きとなるのは少々あっけないものの、事件の過程それ自体が非常に面白いため不満はあまり感じない。今後も岡嶋二人の作品を読まなければと思わせるに十分な良作だった。

まったくの余談だが講談社文庫版の西澤保彦の解説は、いかにも氏らしい、作者本人の言葉をガン無視して妄想を炸裂させる平常運行で、ある意味こちらも必読である。


14.5.27
評価:★★★☆ 7
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今週のキン肉マン #94 掟破りの宇宙地獄!!

2014年05月26日 | 今週のキン肉マン
・氷を一発で砕いたウルフマンの張り手>サイコマンの握力
・これはウルフマン参戦あるぞ!!
・※ありません
・「ニャガ~~ッ」と元気よく氷をブチ割るサイコマンのポーズからあふれる藤子不二雄臭
・宇宙地獄がリングを自由に出したり消したりできる能力だったとは……
・ペンタゴンと交代する方がよっぽど汚いと思う
・魔技グランドクロス自体は当たってもダメージの無い技なのか
・ここで「ムーン」の効果音出るのかよwwwww
・マグネットパワーは単体で出しても別に反発しないはずでは?
・オリジンの処刑場だからリング自体にマグネットパワーが込められているのだろうか
・最近のゆではこういうところにちゃんと理由を付けてくるからあなどれない
・次回はマグネットパワーの新たな使い道に注目
・サイコマンとマグネットパワー使い同士の対決でネプチューンマン復活あるぞ!!
・※別にうれしくない
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今週のNXT #221

2014年05月23日 | 今週のNXT
コナー&ビクター ○-× バディ・マーフィー&エリアス・サンプソン

初登場のバディ・マーフィー&エリアス・サンプソンはいちおうNXT所属とのこと。


NXT女子王座決定トーナメント準決勝
アレクサ・ブリス ×-○ シャーロット


モジョ・ローリー ○-× エイダン・イングリッシュ


コリン・キャサディ ○-× アンジェロ・ドーキンス


NXT王座挑戦権争奪3WAY戦
◯タイソン・キッド ×タイラー・ブリーズ サミ・ゼイン
(スプリングボード・エルボードロップ)

ベビーのネヴィルと王座を争うならヒールのタイラー・ブリーズが本命かと目されたが、3人の中で最も人気薄のキッドが勝つ波乱の展開に。
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ミステリ感想-『離愁』多島斗志之

2014年05月20日 | ミステリ感想
~あらすじ~
実の姉妹にも打ち解けず孤独のまま亡くなった叔母の藍子。
明るい少女時代の映像とはかけ離れた、暗鬱な性格になぜ叔母は変わったのか。
作家の私は職業柄の興味から、そして甥としての立場から叔母の生涯へ迫っていく。


~感想~
謎は残らず解かれ、意外な真相も現れるものの、語り手が推理を働かせることはほとんどなく、関係者の述懐によって全てが語られるため、ミステリよりも純文学に近い。
調査の過程はまったく無理なく描かれ、一つの謎が解けるとそれをきっかけにさらに調査が進みと淀みなく話は流れ、たるむ場面は少しもなく、完結まで一息に読み通せる。
叔母やその周囲の人物はもちろん、語り手、従妹、両親と脇を固める面々も残らず血が通い、世界大戦前後の空気感も抜群で、実際の事件を絡ませた展開も巧みと、物語として非の打ち所がない。
最後に待ち構えるある仕掛けは、トリックだと大上段に振りかぶるようなものではなく、物語に深みを持たせるためにあり、冒頭の一文に帰り着く末尾の言葉まで実に巧緻に編まれた、ミステリ、文学を問わず本好きなら読んで損のない作品である。


14.5.19
評価:★★★ 6
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今週のキン肉マン #93 無限の宇宙!!

2014年05月19日 | 今週のキン肉マン
・神に代わって太陽系を統括と大きく出るプラネットマン
・宇宙レスリング最高や! ワニ地獄なんていらんかったんや!
・プラネットマン技のデパートすぎる
・「オレの顔は月じゃない」に驚愕するサイコマン
・そのリングはどういう理屈で体にはまってるんだ
・「胴体は木星だから重力が発生する」「左肩は火星だから火山が生える」プラネットマンはゆで理論の権化だぜ
・バッファローマンの少年のような喜びようから見るに、今でも六騎士は彼らの憧れなんだなあ
・冥王星は惑星から外されたので足四の字は使えないんじゃないか、いや作中時間ではまだ惑星のくくりから外されてないから大丈夫だとかいろいろ議論されていたが普通に使ったーーッ!
・でも序盤優勢は死亡フラグ
・人面疽で無量大数軍を人質にとるがサイコマンは平然と人面疽を潰す→ネメシス怒りの報復はありそう
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今週のNXT #220

2014年05月16日 | 今週のNXT
NXT女子王座決定トーナメント一回戦
エマ ×-○ シャーロット
(サーシャ・バンクスの介入→ロールアップ)

優勝本命と目されるシャーロットが順調に勝ち上がった。


カリスト&エル・ローカル ○-× シルベスター・ルフォール&マーカス・ルイス

初登場のカリストはサムライ・デル・ソルの名で活躍したルチャドール。シカゴ生まれだがWWEではメキシコ人で通すようだ。相方のローカルの中の人はリカルド・ロドリゲス。
またマーカス・ルイスはルフォールとフランス人タッグを結成したようだ。目指せラ・レジスタンス。


カマーチョ ○-× キャプテン・コミック(ギャレット・ディラン)

先週カマーチョに殴られたローズバドズの覆面レスラーが戦うも敗北。
中の人はかつてスコット・ドーソンとタッグを組んでいたが解雇され、また再雇用されたディランが務めたとのこと。


NXT女子王座決定トーナメント一回戦
アリシア・フォックス ×-○ アレクサ・ブリス

ジョバー役かと思われたアレクサが一軍のアリシアを破る番狂わせでデビュー戦を飾った。


NXT王座挑戦権争奪20人バトルロイヤル
△ タイソン・キッド、サミ・ゼイン、タイラー・ブリーズ
(3人同時に場外転落)

勝ち残っていたキッドら3人が同時に場外転落し、次週に三つ巴戦で決着をつけるとのこと。
ちなみにヨシ・タツが大歓声に乗って終盤まで残るも、ボー・ダラスに落とされたとのこと。


・大量解雇
初代NXTタッグ王者のオリバー・グレイ、ずっとジョバー役だったダニー・バーチ、一度退団するも出戻っていたヴィッキー・ゲレロの娘ラクエル・ディアス、トレーナーとして活動していたアームレスリング女王のサラ・バックマン、主にNXTで戦っていた一軍のメイソン・ライアンが解雇されたとのこと。
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KENTAがWWEで活躍できない5つの理由

2014年05月14日 | 今週のNXT
ノアを退団したKENTAのWWE入団が有力視されているが、残念ながら十数年WWEを観てきている身として、とうてい活躍できるとは思えない。
日本プロレスはほとんど観ていないクソ素人なので、あくまでWWE視点に限るが、以下にその理由を挙げよう。


1.英語が使えない
活躍できないだろう最も決定的な理由がこれである。
現在のWWEで英語が満足に使えないと思われるレスラーはおよそ2人しかいない。同じ日本人のヨシ・タツとインド人のグレート・カリだ。
カリは新日でジャイアント・シルバの名で活躍したことから覚えている方もいるだろう。216センチの恵まれた体格という、英語のハンデを克服する、他にない個性のおかげで彼はWWE世界王座を一度制している。

一方のヨシは今、完全に干されている。すでに6年WWEに所属し、日常会話程度の英語は操れるはずの彼ですらだ。
客観的に見て、ヨシは技術的に他のレスラーに大きく劣ってはいない。
だがWWEではプロレスが上手いだけでは一流にはなれない。試合はあくまでストーリーに添って行われるものであり、流暢に英語が使えないレスラーは、そもそもストーリーに乗ることは容易では無いのだ。
そしてストーリーラインをいったん外されたレスラーは、大きくギミックチェンジするか、新たなストーリーが仕上がらない限りまず再浮上はできない。
ヨシを活かすこともできない現在のWWEのライターに、これまた英語の使えない別の日本人を活かせるとはとても思えない。


2.GAME OVERもgo 2 sleepも使えない
おそらくKENTAの必殺技であるGAME OVERもgo 2 sleepもWWEでは禁じ手とされるだろう。
GAME OVERは現WWE世界王者のダニエル・ブライアンがほぼ同系の技を必殺技としており、go 2 sleepもWWEで一、二を争う人気のCMパンクが使っている。WWEでは必殺技の使用権は基本的に早い者勝ちで、すでに他のレスラーの必殺技として定着している技は使えない。
パンクは夏には退団するが、今もなおファンには支持されており、go 2 sleepの使用許可が得られるとは思えない。
それどころか、KENTAがもしgo 2 sleepを使おうものなら大ブーイングを浴びることは疑いない。
というのも、パンクが退団する理由はWWEへの不満が爆発(俳優活動していたレスラーが出戻ってくるやいなや王座戦線に絡んだのにブチギレた)したものであり、ファンも多かれ少なかれ同じ不満を抱き、パンクの退団が決定的になった今もなお、折に触れパンクの名を叫んでいる。
そんなところにパンクの象徴的な技であるgo 2 sleepを、彼らにとってぽっと出の日本人が使ったらどうなるか。想像に難くない。


3.体格で劣る
現WWE世界王者のダニエル・ブライアンとKENTAの体格はほぼ同じであり、従ってKENTAにもチャンスが有るという論調がちらほら見られる。
はっきり言ってダニエルは例外中の例外である。ダニエルよりさらに小柄ながら世界王座に二度輝いたレイ・ミステリオもいるが、レイはWWE入団前からすでに世界的に名の知られたルチャドールだった。ダニエルもインディーの帝王として著名だった。
WWEでは昔から巨体が好まれる傾向にある。一軍でそこそこの人気を博しながら、ポール・バーチルやマイク・ノックスは体格の乏しさを理由に(それでも彼らは190センチ前後ある)二軍に落とされ、戻ってくると横幅が数倍に膨れ上がり、かつてのスピードやバネを完全に失っていた例もある。
また単純にWWEで最も小柄な部類に入るだろうKENTAが、2メートル台も珍しくない巨漢に説得力ある勝利を収められるかどうかも問題だ。


4.軽量級のベルトがない
現在、WWEには軽量級の王座はない。ここまでWWEで活躍できた日本人としてTAKAみちのくやフナキ、タジリが挙げられるが彼らがいた頃には軽量級の王座が存在したし、そのベルトを争うために軽量級のレスラーも集められていた。
ベルトが無くなった今、WWEには軽量級(だいたい軽量級といってもアメリカでは100キロ以下のことで、190センチ98キロでも軽量級である)のレスラー自体がほとんどいない。
KENTAと戦う相手も、KENTAが狙うべきベルトもWWEには存在しないのだ。


5.キャリアで劣る
日本でいくらキャリアがあろうが、基本的にWWEでは歯牙にも掛けられない。WWEでは日本の団体の王座より、全米学生アマレスのキャリアのほうが評価は上である。
インディーの帝王だったダニエル・ブライアンですらWWEに「ルーキー」として登場した。そしてルーキーの中でも最低評価からのし上がってきたのだ。
KENTAはすでに現在のダニエルと同い年であり、ルーキーとして登場するのも困難なのではなかろうか。
WWEにとって半端な年齢で、半端なキャリアの日本人を持て余す姿しか想像できない。


以上、ざっと考えただけでも5点。KENTAがWWEで活躍できるとは思えない理由である。
繰り返すが僕はプロレスといえばWWEしか知らない、KENTAの試合も1~2回しか観たことがないクソ素人である。
KENTAが僕なんぞの予想を覆し、大暴れしてくれればなによりだ。
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ミステリ感想-『アルファベット・パズラーズ』大山誠一郎

2014年05月13日 | ミステリ感想
~収録作品とあらすじ~
犯罪研究が趣味な有閑オーナーのもとに集い、お茶会がてら推理を繰り広げるマンションの住人たち。
翻訳家、刑事、精神科医……議論の末に彼らがたどり着く意外な真相とは?

Pの妄想
毒殺された資産家。「家政婦が毒を入れている」と訴え、お茶会にすら缶入り紅茶を出していた彼女が、誰に毒を盛られたのか。

Fの告発
博物館の特別収集室で発見された死体。だが指紋認証の壁に阻まれ、彼を殺害できた者はいないはずだった。

Yの誘拐
IT社長の息子が誘拐され一億円の身代金を要求される。悲劇的な結末を迎えた事件を記した手記から、四人は謎を解けるのか。

2004年本ミス8位。


~感想~
昨年「密室蒐集家」で本格ミステリ大賞に輝いた作者のデビュー作。
アマゾンのレビュー(笑)では散々な評価を受けているが、パズラーにリアリティやブンガク性、人物の掘り下げなど不要なのは周知の事実。3編とも意外性あふれるトリックで驚かせてくれる。

Pの妄想
「誰がなぜいかにして毒殺したか」3つの謎にそれぞれ斜め上の回答を用意した秀作。
ほのぼの系の物理トリックにタイトルの意味を絡めたのも見事。

Fの告発
想定をはるかに上回る、あまりに突飛な真相に仰天した。
使い古された古典的な手なのだが、まさかここで使ってくるとは思わなんだ。
最後に氷解する疑問はそもそも冷静に考えると単に警察の手落ちなのだが、それでも納得させるに十分。

Yの誘拐
アマゾンのレビュー(笑)で指摘されるのももっともな、末期のキン肉マンⅡ世を思わせるしつこいくらいの状況説明は確かに煩雑。
ここまで2編が短い分量でまとまっていたのに、およそ3倍の文章量で語られる内容の大半は謎解きに必要がなく、明らかに余分だった。
しかし最後にたどり着く真相は(そりゃ●●●が黙っちゃいないだろうが)先に言ったようにリアリティを度外視すれば、十分に意外なものである。


総括して純粋なパズラー小説と見れば、実に魅力的なトリックを3編そろって兼ね備えた好短編集である。
また文庫版では描き下ろしの短編を加え、文章にも大幅に手を入れているそうなので、機会があればそちらも読んでみたい。

ネット界隈では散々に言われているが、氏よりも文章の酷い作家はいくらでもいるし、人間味(笑)にあふれたミステリが読みたければ、どうぞ他を当たっていただきたい。
諸君が偉そうにやれ人間が描けてない、やれ文章が拙いだの騒いでることなど、我々が二千年前に通過した地点に過ぎないし、そういった下らないことは麻耶雄嵩を十冊読んでから言って欲しいものである。


14.5.11
評価:★★★☆ 7
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