~あらすじ~
本能寺の変から三十年余――。
僧侶、商人、武士、侍女……山寺に集まった六人の男女が語る、あの時の出来事。
彼らはいったい何を見て、何を知ってしまったのか。
本能寺の変の真相が、いま語られる。
~感想~
なぜ明智光秀は織田信長を殺したのか――日本史上の最大の謎の一つに数えられる本能寺の変。
ぶっちゃけ本能寺の変の真相、それ自体に関わる話は最後の一つきりで、六つの物語が少しずつ連関していき、一つの真相を形作るようなものではないのは少々残念だが、様々な形で本能寺の変に関わった六人が、それぞれの視点から語る物語自体が単純に面白い。
特に冒頭の一編、信長の側近くに仕え、本能寺での戦いにも巻き込まれた僧侶の話は、本能寺の変のIFストーリーとして満点回答。
また五編目のヤンデレ侍女の話はもう本筋とはほとんど関係のない、作者の趣味で描かれたような単なる「厭な話」ながら、文庫版で50ページにも満たない分量の前半・中盤・後半それぞれに趣向を凝らした厭で厭でたまらない逸話をぶちこみ、特に指の話の厭さ加減たるや顔をしかめずにはいられない。
そして肝心の「本能寺の変の真相」も、すれっからしの戦国マニア視点から見ても十分に意外性あふれる、これまでに類例のなかった解釈で、歴史小説としての出来も及第点以上、エピローグではおなじみのアレも当然のごとく現れと、戦国ファンなら確実に楽しめる一冊だろう。
昨年刊行の「伊藤博文邸の怪事件」が素晴らしかったので、なんのけなしに読んでみたのだが思わぬ拾い物でした。
14.5.31
評価:★★★☆ 7
本能寺の変から三十年余――。
僧侶、商人、武士、侍女……山寺に集まった六人の男女が語る、あの時の出来事。
彼らはいったい何を見て、何を知ってしまったのか。
本能寺の変の真相が、いま語られる。
~感想~
なぜ明智光秀は織田信長を殺したのか――日本史上の最大の謎の一つに数えられる本能寺の変。
ぶっちゃけ本能寺の変の真相、それ自体に関わる話は最後の一つきりで、六つの物語が少しずつ連関していき、一つの真相を形作るようなものではないのは少々残念だが、様々な形で本能寺の変に関わった六人が、それぞれの視点から語る物語自体が単純に面白い。
特に冒頭の一編、信長の側近くに仕え、本能寺での戦いにも巻き込まれた僧侶の話は、本能寺の変のIFストーリーとして満点回答。
また五編目のヤンデレ侍女の話はもう本筋とはほとんど関係のない、作者の趣味で描かれたような単なる「厭な話」ながら、文庫版で50ページにも満たない分量の前半・中盤・後半それぞれに趣向を凝らした厭で厭でたまらない逸話をぶちこみ、特に指の話の厭さ加減たるや顔をしかめずにはいられない。
そして肝心の「本能寺の変の真相」も、すれっからしの戦国マニア視点から見ても十分に意外性あふれる、これまでに類例のなかった解釈で、歴史小説としての出来も及第点以上、エピローグではおなじみのアレも当然のごとく現れと、戦国ファンなら確実に楽しめる一冊だろう。
昨年刊行の「伊藤博文邸の怪事件」が素晴らしかったので、なんのけなしに読んでみたのだが思わぬ拾い物でした。
14.5.31
評価:★★★☆ 7