小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『親友記』天藤真

2001年06月26日 | ミステリ感想
~収録作品~
親友記
塔の家の三人の女
なんとなんと
犯罪講師
鷹と鳶
夫婦悪日
穴物語
声は死と共に
誓いの週末


~感想~
『親友記』
たくみな逆転に舌を巻く。

『塔の家の三人の女』
意外な犯人、という点では古今でも上位か。

『なんとなんと』
発表誌が発表誌だけに……。

『犯罪講師』
あの『ダイヤル7』・『カニバリズム小論』はこれの模倣に過ぎなかったのか? 誘拐物の中でも抜きんでた逸品。

『鷹と鳶』
終末の情景がまざまざと目に浮かぶ。これで受賞? と思うのはいつものことだが。

『夫婦悪日』
解りづらし。

『穴物語』
氏の持ち味たる軽妙さが全開。

『声は死と共に』
2時間ドラマ的で楽しめず。

『誓いの週末(ウイークエンド)』
これがジュヴナイルとは恐れ入った。低年齢層が照準だけに謎も状況も明確。それでいて伏線の妙味は絶品。これぞミステリ。傑作!


01.6.26
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『動かぬ証拠』蘇部健一

2001年06月20日 | ミステリ感想
~概要と収録作品~
最終ページに一枚の絵を配し、その絵が事件の真相となっている異色の短編集。

しゃべりすぎの凶器
逃亡者~片腕の男
黒のフェラーリ
天使の証言
転校生は宇宙人
宿敵
宇宙からのメッセージ
逆転無罪
リターン・エース
再会
変化する証拠


~感想~
『しゃべりすぎの凶器』
設定だけで3ページでオチがわかった。

『逃亡者~片腕の男』
破壊力がいまひとつ。

『黒のフェラーリ』
これもいまひとつ。

『天使の証言』
伏線は見え見えだが、うまい。

『転校生は宇宙人』
作者がようやく絵の使い方をわかってきたようだ。……ってかこのタイトルはなに?

『宿敵』
犯人あ然としただろうなあ……。あと、どうして指が一本多いのだろう。

『宇宙からのメッセージ』
あの定番の題材には、こんな趣向もあるのか。いや、ないよな。

『逆転無罪』
最高。絵1つで全てを表すという設定をついに活かしきった。仕掛けがわかったとたん、思わず突っ伏して爆笑した傑作。いいなあ、これ。

『リターン・エース』
犯人が気づきそうなものだけども。

『再会』
これもいい。皮肉が利いている。

『変化する証拠』
まさかダイイング・メッセージ講義を始めるとは思わなかった。というか、蘇部氏がそんなにミステリ好きとは思わなかった。


~総括~
シリーズ化して欲しい。他の作家にもやってもらいたい。と思うほどの素晴らしいアイデア。
この人なにやるか解らんなあ~。


01.6.20
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『亜愛一郎の逃亡』泡坂妻夫

2001年06月15日 | ミステリ感想
~収録作品~
赤島砂上
球形の楽園
歯痛の思い出
双頭の蛸
飯鉢山山腹
赤の賛歌
火事酒屋
亜愛一郎の逃亡


~感想~
『赤島砂上』
展開はそのまますぎたが、おまけの宝探しが冴える。

『球形の楽園』
これって……(見当のついた方だけネタバレ→)『三毛猫ホームズの推理』赤川次郎著 のトリックとまんま同じやん。

『歯痛の思い出』
妄想さながらの論理。こんなこと普通、思いつかん。

『双頭の蛸』
謎の設定が珍しく解りづらい。まあ、明確にすると犯人が一人になるけど。

『飯鉢山山腹』
これはどこに謎があるのか明白すぎる。

『赤の賛歌』
これも妄想。言葉遊びが実に楽しい。

『火事酒屋』
本領発揮。最後の詰めとなる手がかりが、序盤から一見なんの関わりもなさそうに示されているのが、巧みすぎる。

『亜愛一郎の逃亡』
田中芳樹のおかげで台無し。とはいえ、まさに大団円の大集結には感嘆。ここまでやるか。


~総括~
蛍の光、窓の雪。おなごりおしき名・迷・銘探偵。至福の時は二度と帰らぬのか?
他では味わえない「亜愛一郎」の物語も、これにて劇・終。


01.6.15
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『続巷説百物語』京極夏彦

2001年06月12日 | ミステリ感想
~収録作品~
野鉄砲
狐者異
飛縁魔
船幽霊
死神
老人火


~感想~
不世出とすら思えた前作にも全く劣らない、大傑作の山・山・山。
すごい。
以上。


01.6.12
評価:★★★★★ 10
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