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ミステリ感想-『鬼女の鱗』泡坂妻夫 ※再読

2012年04月03日 | ミステリ感想
~収録作品~
密室状況の屋敷で娘が殺された。その事件を元とした死人形が評判を取り、見物に行ったわたしの前で人形は目を開き……「目吉の死人形」
釣り上げてしまった心中死体は、心中には不釣り合いな若い男と老婆のものだった……「柾木心中」
数年前、刺青を彫った訳有りの男が死体で発見され……「鬼女の鱗」
まるで菩薩のような心優しい遊女はなぜ身受けをことわり、なぜ殺されたのか……「辰巳菩薩」
墓場で見かけた幽霊と見間違えた女は、その墓場で自害して果てた……「伊万里の杯」
咲かず桜で男が首を吊り、六福神は粉々に壊された。二つの事件を繋ぐ顛倒した論理とは……「江戸桜小紋」
世にも珍しい貨幣を盗んだスリ師が殺されて……「改三分定銀」


~感想~
なかなか長編を読む気になれないので、泡坂妻夫の捕者帳を一気に片付けている。
再読なのだが細部はほとんど覚えておらず、新鮮に楽しめた。初読の時には薄味に感じたが、どうしてどうしていずれ劣らぬ逸品ぞろい。流石は泡坂御大、熟練の技巧と濃厚な江戸情緒を堪能させていただいた。
これなら本格ミステリファンも、捕物帳ファンも、必ず満足することだろう。


12.3.
評価:★★★ 6(再読)
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