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ミステリ感想-『本格ミステリ03(論理学園事件帳)』アンソロジー

2004年04月01日 | ミステリ感想
~収録作品~
凱旋  ――北村薫
彼女がペイシェンスを殺すはずがない  ――大山誠一郎
木乃伊とウニコール  ――芦辺拓
百万のマルコ  ――柳広司
目撃者は誰?  ――貫井徳郎
腕貫探偵  ――西澤保彦
リストカット事件  ――乙一
ミステリアス学園  ――鯨統一郎
首切り監督  ――霞流一
別れてください  ――青井夏海


~感想~
『凱旋』
気どっていて読みづらいことこの上ない。しかも禁じ手のようなトリックを使われては…
この人とは決定的に合わない。

『彼女がペイシェンスを殺すはずがない』
解りやすいトリックはお見事。でもこの犯人、頭よすぎだろ。

『木乃伊とウニコール』
氏は捕物帳を解っているのだろうか。こんなの、舞台が江戸なだけのただのミステリ。情緒もなにもない。

『百万のマルコ』
ただのなぞなぞだった気が。それも出来の悪い。

『目撃者は誰?』
無理におかしさを出さなくてもいいのに。(酷言)人には向き不向きがある。(暴言)

『腕貫探偵』
ずいぶん表層的なお役所ですこと。(ネタバレ→)街灯の下なら見つけやすい  はあまりに論理が弱すぎでは?

『リストカット事件』
いちばん“本格”らしかったのは、本格系ならぬ氏の一作。
ジュヴナイル(?)らしく、トリックも展開も見え見えだが、手際よく読みやすい。

『ミステリアス学園』
いつもどーり。

『首切り監督』
たぶん末尾の一言でキメたかったのだろうが、いかんせんキレ不足。
バカミスであってほしかった。(いや十二分にバカだけど)重要な手がかりを伏せすぎ。

『別れてください』
本書中、最も気合が入っていたのは間違いなく氏。
もうちょい圧縮して、謎解きをなめらかに決めていれば――。惜しかった。


~総括~
ダメだこりゃ。本格はどうなってしまったのだろうか。02年の収穫は本当にこれだけだったのか?
本格作家はどこへ行ってしまったのか? 本シリーズはいつから『本格推理』のような、
新人(もしくは亜流・別路線の作家)の発表の場となったのか?
悲しい。哀しすぎる。


04.4.1
評価:★☆ 3
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