小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『青き犠牲』連城三紀彦

2023年06月29日 | ミステリ感想
~あらすじ~
彫刻家の杉原完三が死に、容疑は息子の鉄男にかけられる。鉄男は図書室で繰り返し読んでいた「オイディプス王の悲劇」のように、父を殺し母を汚す大罪を犯したのか?


~感想~
読みかけの笠井潔「オイディプス症候群」と同テーマのため、分厚い「オイディプス症候群」からの逃避がてら読んだが、連城長編にしては短い内容で一気に読めた。
内容としては正直言ってがっかりの、しかし本題ではないのでどうでもいいと言えばどうでもいい密室や真相よりも、ある一つのトリックが強烈過ぎて他の全てが目に入らなくなる。
ネタバレを避けてほのめかすと、驚異的な筆力で●●(変態ワード)を●●(別の変態ワード)に見せかけるという、匠の技だけど連城か白井智之しかしない発想で爆笑した。確かにそう読めるし超すごいけどこんなの他に誰が考えつくんだよwww
連城にしてはストレートな性描写や強烈なトリックが人を選ぶが、きっと忘れられない読書体験であった。


23.6.29
評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『嘘は罪』連城三紀彦

2023年06月27日 | ミステリ感想
~感想~
ノンシリーズ短編集だが様々な趣向があり、まずタイトルが冒頭で単行本版の原題の「夏の最後の薔薇」から始まり「薔薇色の嘘」、「嘘は罪」、「罪な夫婦」と、しりとりで繋げていき、最後の「雨だれを弾く夏」で一巡する。
さらに12作全てが「浮気」をテーマにし、20数ページの分量で殺人事件なしの日常の謎だけで構成されており、非常に凝った構成である。
内容ももちろんどれも連城短編のクオリティを保ち、何作か挙げると冒頭からの4編がいずれも強烈で、さりげなく張られた伏線から構図を反転させたり、全く別の意味を持たせたり、思いもしない展開を導いたりとやりたい放題。これでミステリを書くのはやめて恋愛小説に専念したと言われても説得力ゼロですってば。
冒頭からの4編と言ってしまったが、改めて読み返すとどれもこれも空恐ろしくなるほどすごい仕掛けが施されており、読者が連城短編に求めるものが詰まっている。
これだけ縛りを付けてなお、いや縛りを付けたからこそ研ぎ澄まされた粒ぞろいの一冊である。


23.6.27
評価:★★★☆ 7
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今週のキン肉マン #421 欠片の使い道!!

2023年06月26日 | 今週のキン肉マン
・ロビンが行った!
・ボフハー!で集められるなら試合しなくても集められたんじゃあ…?
・そういえばザ・ナチュラルの欠片回収されてなかったのかw
・大問題だぞアシュラマン
・せっかくザ・マンが懐かしいと言ってるのに初期デザインの石塊のまま照射する回想シーンなんなんだよww
・ザ・マンとザ・ワン阿吽の呼吸じゃん
・新たな技法を編み出さないと新しい超人を作れないのにジ・エクスキューショナーが存在するの本当にノイズ
・穴を塞げばとりあえず倒せるのハリウッド版リングの貞子と一緒だな
・やっぱり最後は物理よ
・放置すると無尽蔵に湧いてくる刻の神一派の増殖を止めるのが目的
・世界五大厄とカオスはもういるだろうな
・ザ・ナチュラルだけじゃなくて他の超神からも欠片を回収してなかったなお前ら
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今週のキン肉マン #420 下天せしは"刻の神"!!

2023年06月19日 | 今週のキン肉マン
・ザ・ワンたちより先に下天していた刻の神
・アリステラだと思っていたザ・マンの竹刀壊すマンは刻の神だった?
・スクリューキッド調査隊(笑)を襲ったのは刻の神一派
・新たに超人を生み出す技術
・ジ・エクスキューショナーの存在はややこしいからいったん忘れとこうか
・超人界の頭脳ミートが最近は本当に冴えている
・超人製造って神的な力じゃなくて培養液とかなのwwww
・神のくせにむちゃくちゃ科学的だった
・オニキスマンの存在もややこしいからいったん忘れとこうか
・ジ・エクスキューショナーが負けること前提みたいな初戦に送られた理由がなんとなくわかったわ
・ためてからの
・時間超人!!!!!
・本当に来ちゃった
・最近の展開にⅡ世のリベンジを感じていた人ら本当にすごい
・刻の神と時間超人の目的は自分達以外の全ての超人の殲滅
・初期ザ・ワンと目的が一致しているな…
・ならスグルと戦えばわかってくれるかもしれない
・ザ・ワンはスグルと戦わなくてもわかってくれたが
・ここでカピラリアの欠片を要求するザ・ワン
・正常な読者は時間超人に夢中でジェロニモが欠片を取られると死ぬことに気づかない
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ミステリ感想-『さらば長き眠り』原尞

2023年06月16日 | ミステリ感想
~あらすじ~
400日ぶりに東京に戻った沢崎を待っていた浮浪者の男。彼は依頼人の伝言を預かっており、沢崎はその依頼人を探す過程で11年前の高校野球の八百長事件と、それを契機に起こった女の飛び降り自殺に行き当たる。
そしてまるで調査を妨害するように次々と事件が起こる。11年前の因縁はまだ終わっていないのか?

1995年このミス5位、文春3位

~感想~
追悼、最高のハードボイルド作家・原尞。
冒頭、沢崎は400日ぶりに事務所へ戻るが、本作はシリーズ長編3作目ながら400日どころか5年ぶりにリリースされた。
ちなみに第4作はさらに10年後、第5作はそのまた8年後で、第6作の前に作者は没してしまい未完となった。

紛い物のハードボイルドを読んだ後の沢崎シリーズは絶品で、一文字たりともおろそかにできない描写と筆の冴えはもう最高。描写はもちろんのことストーリーも展開も、これだけの完成度に高めるためにはそりゃ5年や10年掛かるのも当然である。
そして期待通りに生粋のハードボイルドが終盤、本格ミステリでおなじみのアレに豹変するのだからとんでもない。なぜ生粋のハードボイルド作家がこんなにも本格ミステリ魂を持っているのか。久々に読んでやはり現代で原尞のスピリットを受け継いだのは若竹七海の葉村晶シリーズだと思った。
そのうえシリーズ作品としてもある一つの結末が描かれ、第一期完結と銘打たれるのだからファン必見である。(第一期も何もあと2作しか無いのだが)
文庫版には(10年後の)第4作に直結する掌編も収録され、ファンサービスも万全。あとたった2冊、すぐに読んでしまうのはあまりにもったいなく、人生のどこで読もうか悩みどころである。


23.6.16
評価:★★★★ 8
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コガトナ2023目安箱

2023年06月15日 | お笑い
ご意見・ご質問等ありましたらこちらまでどうぞ!
大会中のやむをえない事情によるチームメンバー交代の連絡もこちらまでお願いします。
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今週のキン肉マン #419 常識を変える"友情パワー"!!

2023年06月05日 | 今週のキン肉マン
・友情は宇宙を救う――!!
・愛は地球を救うみたいに言うな
・なぜここで存在しない応募超人をw
・応募超人がタワーブリッジ使うなよww
・後天的なパワーアップの成果が遺伝してしまうのか超人は
・友情パワーは他の超人から借り受けるパワー
・要するに元気玉
・ザ・マンはスグルを抹殺対象としていた
・その頃のザ・マンの心情はスグルとのやりとりで「ピークア・ブーと仲良くしてます」「それがいかんと言っておるのだ!」とコミカルに示唆していた
・他陣営のネプチューンマンもアシュラマンも友情の力にはにっこり
・ベンキマンも友情パワーの一例にちゃんといる
・ギヤマスターを肉団子まで持っていった驚異のパワー
・友情を持たないはずの悪魔将軍にまで波及したスグルの影響力
・悪魔将軍に敗れたことでザ・マンは変わった
・あやつの目の前で別のあやつを生やすなよww
・108つ目の席の主
・近年の肉はちゃんとしているのできちんと伏線にしてくる
・本当のラスボスの名は刻の神
・な、なんだか猛烈に嫌な予感がするのう…
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ゲーム感想-『大逆転裁判1&2』

2023年06月03日 | ゲーム
~あらすじ~
殺人容疑を掛けられた大学生の成歩堂龍ノ介は、親友の亜双義一真の助けを得て、自らを弁護する。
そして成歩堂と亜双義は大英帝国へ向かい、その船上で大探偵シャーロック・ホームズに出会う。
明治時代を舞台に、逆転裁判の新たなシリーズが始まる。


~感想~
PS4版ではなく3DS版を今さらクリア。
シリーズ集大成にして紛れもなく最高傑作だった。

とにかくストーリーの質が高く隙がない。2作10話掛けて1つの大きな物語を描き、一話一話がそれを補完するとともに全ての伏線として機能し、しかも一話ごとに個々の短編としても上質である。
そのうえホームズのパスティーシュとしても秀逸で、半可通の自分でもわかるくらいにホームズ作品の要素が目白押しで、大ファンならばなおのこと楽しめるだろうし、ホームズの「推理は常に正しくやる時はやるが、推理への筋道と普段はむちゃくちゃ」なキャラも最高。
逆転裁判シリーズどころか本格ミステリとして歴史に残りうる、7作+α続くシリーズをさしおき「大」を冠したのも納得の超絶傑作である。


以下、細かい苦言も少し。
とにかく一話が長い。1の第一話からこれまでのシリーズの最終話くらい長く、2話以降で探偵パートも入るともっと長い。3Dモデルが全ゲームの中でも最高峰くらいぬるぬる自然に動くが、モーションが長すぎるキャラもちらほらいて冗長な面もある。
冗長といえば完全に続編なのに1と2の間が2年開いたのも足を引っ張った。完成度を高めるためか、話かロジックに矛盾が生じてやり直しになったのか、いずれにしろ2年の空白は致命的だったし、正気の沙汰ではない。
販売本数が8万本も減ってしまったのもむべなるかなである。

パート内で5回間違えると問答無用のゲームオーバーでセーブ地点まで戻されるのはいつも通りだが、前提条件だった「証拠と発言の間の矛盾を指摘する」ことが崩れているところが多々あり、話の流れから正解はわかるものの、発言との間には矛盾がなく、難易度を上げてしまっている。
このあたりを開き直ることで表現の幅を広げるのには成功したが、同時にこのフォーマットの限界を露呈してしまった。

おそらく本作は逆転裁判というシステムでできる、やりたいことの全てをやり尽くしてしまったのではなかろうか。
本作を最後にシリーズが止まって6年が経つ。何も調べず書いているが、もう逆転裁判でできることが、やれることが無くなったために筆を置いてしまったのではないかと思う。
大逆転裁判はシリーズ最高傑作であると同時に、シリーズを終わらせてしまった完結作なのかもしれない。


評価:★★★★★ 10
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6月の新刊情報

2023年06月01日 | ミステリ界隈
5日 実業之日本社文庫
彩坂美月 向日葵を手折る

6日 角川書店
三津田信三 歩く亡者 怪民研に於ける記録と推理

6日 小学館文庫
大山誠一郎 仮面幻双曲

6日 ハヤカワ文庫
月村了衛 機龍警察 未亡旅団

7日 幻冬舎
倉知淳 恋する殺人者

9日 徳間文庫
笹沢左保 シェイクスピアの誘拐 ※復刊
都筑道夫 三重露出 ※復刊
山田正紀 神曲法廷 ※復刊

13日 角川文庫
浅倉秋成 六人の嘘つきな大学生
綾辻行人 Another2001 上・下
東川篤哉 谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題

15日 南雲堂
霞流一 エフェクトラ 紅門福助最厄の事件

20日 集英社文庫
相沢沙呼 教室に並んだ背表紙
伊坂幸太郎 逆ソクラテス

21日 幻冬舎
井上真偽 アリアドネの声

21日 光文社
大倉崇裕 一日署長
岡田秀文 治験島

28日 星海社
逸木裕 世界の終わりのためのミステリ

30日 角川書店
辻村深月 この夏の星を見る
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