小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『ふたたび赤い悪夢』法月綸太郎

2000年06月28日 | ミステリ感想
~あらすじ~
アイドル歌手・畠中有里奈にいったいなにが起こったのか。
刺されたはずの自分が生きていて、刺した男が死体で発見されたのだ。
悪夢の一夜に耐えきれず、彼女は法月父子に救いを求める。
しかし事態は混迷をきわめ……。

本格ミステリ・ベスト100 42位、このミス18位


~感想~
これほどまでに複雑きわまりないプロットを作り出し、読者をおぼれさせ、
自らもまたおぼれてしまう作家は他にいまい。
『誰彼』よりは要領よくまとまっているものの、迷宮さながら、悪夢さながらの構成。
常軌を逸した日常を描き、悪夢を現出させた、てらいの1つもないありのままの苦悩がここにある。
息苦しさ、醜さ、全てを凝縮させ、いまここに。


00.6.28
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『名探偵水乃サトルの大冒険』二階堂黎人

2000年06月23日 | ミステリ感想
~収録作品~
ビールの家の冒険
ヘルマフロディトス
『本陣殺人事件』の殺人
空より来たる怪物


~感想~
『ビールの家の冒険』
原作(?)を簡略化するとこうなるのか? そこそこ。

『ヘルマフロディトス』
簡単すぎ。あと、一般的な高校生はこんな言葉使わない。

『『本陣殺人事件』の殺人』
視覚的イメージとして想像しにくい……のは原作も同じことか。

『空より来たる怪物』
とりあえずSFに逃げられなくてよかった。……どこかで見た有名なトリックな気がするけど。
(見当のついた方だけネタバレ→)どこか=『暗闇坂の人食いの木』島田荘司
これってパクリだよね?



00.6.23
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『将棋殺人事件』竹本健治

2000年06月22日 | ミステリ感想
~あらすじ~
駿河湾沖を震源とする大規模な地震が発生し、土砂崩れの中から二つの屍体が発見された。
六本木界隈に蔓延する奇怪な噂「恐怖の問題」をなぞったかのような状況に興味を覚え、天才少年・牧場智久は噂の原型と発生源を調べ始める。


~感想~
論外。
文に酔い雑多なプロットに酔い洗練のひとつもされずにものされた駄作。(個人的意見です)


00.6.22
評価:問題外
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ミステリ感想-『一の悲劇』法月綸太郎

2000年06月19日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「あなたが茂を殺したのよ」山倉史朗は、取り乱した冨沢路子の前で絶句した。
路子の一人息子茂が誘拐されたのだが、脅迫は、なぜか山倉に向けられていた。
犯人は山倉の息子隆史と、近くに住む同級生の茂を間違えて誘拐したらしい。
山倉は身代金六千万円を持ち、人質の茂を引き取りに、指定された場所へ向かった。
だが、犯人との接触に失敗し、翌日、茂は死体となって発見される。
やがて浮上した容疑者三浦には、鉄壁のアリバイがあった。
犯行当日、名探偵・法月綸太郎と一緒にいたというのだ。

日本推理作家協会賞 候補、このミス19位


~感想~
複雑さは毎度のこと。とにかく形容しづらい作品。
法月綸太郎を脇役に追いやりながらも、引きつける展開、誘拐トリックの盲点を突いたトリックは秀逸。


00.6.19
評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『頼子のために』法月綸太郎

2000年06月15日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「頼子が死んだ」。17歳になったばかりのひとり娘を殺された父親の記した手記。
手記は、通り魔殺人で片づけようとする警察に疑念を抱いた父親の孤独な推理行と、
ついに犯人をつきとめ相手を刺殺、自らも死を迎えるところで終わっている。
だが本当の物語はこの手記を“悩める探偵”法月綸太郎が読んだときに動き出す……。

本格ミステリ・ベスト100 16位、このミス16位


~感想~
結末に驚いた。たった1つの誤謬から砕ける犯人の細工……などどうでもよくなるような、とんでもない結末。
これがなおさら2人の法月綸太郎を迷わせたことは疑いないw
本当にどうでもいいことだが僕の持っている本書は乱丁で、
肝心の結末部分に講談社ノベルス作品情報のページが挟まっていたりする。


00.6.15
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『キッド・ピストルズの妄想』山口雅也

2000年06月12日 | ミステリ感想
~収録作品~
神なき塔
ノアの最後の航海
永劫の庭

本格ミステリ・ベスト100 32位、日本推理作家協会賞候補、このミス2位、文春8位


~感想~
『神なき塔』
思考は狂気すれすれに突飛。だからこその“妄想”。短編ミステリ史上最高峰の大傑作!

『ノアの最後の航海』
↑の次に並ぶとどうしても見劣りしてしまう。並ばなくてもいまいちか。

『永劫の庭』
宝探し譚の楽しさ、てがかりの巧みな配置、ともに見事。講釈が長すぎるのが難。


~総括~
あまりに恣意的、形而上学的な内容ながら、プロットの妙とストーリーテリングのうまさで読ませる。
のだが、面白味には少々欠け、読み終わるとどっと疲れる。いかにも笠井潔氏が褒めそうな作品w


00.6.12
評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『誰彼』法月綸太郎

2000年06月08日 | ミステリ感想
~あらすじ~
“異来邪”を名のる人物から届いた死の予告状どおり、地上80メートルの密室から消失した男。
4時間後、マンションの一室で発見された首なし死体は二重生活を営んでいた彼のものなのか。
なぜ犯人は首を持ち去ったのか。

本格ミステリ・ベスト100 90位


~感想~
とにかく複雑。複雑すぎて展開・状況を作者以外完全に把握していないんじゃあ? とさえ思わせる。
構成は悪くないがとにかくごちゃつきすぎ。


00.6.8
評価:★★☆ 5
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ミステリ感想-『天国からの銃弾』島田荘司

2000年06月06日 | ミステリ感想
~収録作品~
ドアX
首都高速の亡霊
天国からの銃弾


~感想~
社会派?ミステリでありながら本格臭が深い。どれも脱線(本線?)の「いやらしい」話が長く、減点材料。
それさえ目をつぶれば、いずれ劣らぬ良作ぞろい。


00.6.6
評価:★★★ 6
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ミステリ感想-『算盤が恋を語る話』江戸川乱歩

2000年06月05日 | ミステリ感想
~収録作品~
一枚の切符
恐ろしき錯誤
双生児
黒手組
日記帳
算盤が恋を語る話
幽霊
盗難
指環
夢遊病者の死


~感想~
乱歩にしては……の作品ばかり。
大胆不敵すぎる提言だが、誰かアレンジしてくれないだろうか。
ひとつ変えれば大化けする気配を放っているのだが。


00.6.5
評価:★★ 4
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ミステリ感想-『鬼面村の殺人』折原一

2000年06月04日 | ミステリ感想
~あらすじ~
「あいつを殺してやる」黒星光警部は、フリーライター・葉山虹子と訪ねた鬼面村で、そう呟く異様な女に遭遇した。
なぜか村人はその言葉に震え上がる。翌朝、奇怪な事件が起きた。
五階建ての合掌造りの家が、一人の男とともに一夜にして消え去ったのだ。


~感想~
黒星警部シリーズ。
最後の二転三転は見事だが、呆れるほど解りやすい伏線。あまりにずさんな計画。
軽妙を通り越して手すさびもいいところの文体と、見るべきところがない。


00.6.4
評価:★ 2
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