小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『桜闇』篠田真由美

2001年05月21日 | ミステリ感想
~収録作品~
ウシュクダラのエンジェル
井戸の中の悪魔
塔の中の姫君
捻れた塔の冒険
迷宮に死者は棲む
永遠を巡る螺旋
オフィーリア、翔んだ
神代宗の決断と憂鬱
君の名は空の色
桜闇


~感想~
全編を通じて、ミステリへの情熱を疑うしかない。
もうこのシリーズは打ち止めとすべきとの思いを強くした。
そんなにミステリが嫌ならファンタジィ化しなさい! と言いたくなる。


01.5.21
評価:なし 0
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ミステリ感想-『美貌の帳』篠田真由美

2001年05月17日 | ミステリ感想
~あらすじ~
伝説の名女優・神名備芙蓉が28年ぶりに復活。老婆から美女へ鮮やかに変身してみせる。
だがその後、演出家の失踪、オーナー邸への放火、芙蓉への脅迫と怪事件が相次ぐ。
京介の推理は40年にわたるもつれた愛憎を解けるのか。


~感想~
いかにも氏らしい、どんでん返しの一つもない、無数の謎が個々でじわじわと割れていく多面体的解決。
冗長平坦、たったの一作で『原罪の庭』以前に逆戻りしてしまった。
そしてこの作品から、徐々にシリーズは暗くうち沈んだものへと姿を変えていく。


01.5.17
評価:★★ 4
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ミステリ感想-『生存者、一名』歌野晶午

2001年05月13日 | ミステリ感想
~あらすじ~
孤島に降り立った6人の男女。
彼らは都内で爆弾テロを行なった四人の実行犯と二人の幹部だった。
翌日、幹部の一人が船とともに姿を消し、残りの五人は絶海の孤島に置き去りにされた。
疑心と暗鬼が渦巻く中、一人また一人と殺されていく……。
犯人は、そして最後に生き残るのは誰なのか?


~感想~
拍手。実によくできたオチ話……といっては失礼か。最後の一行には唖然かつ苦笑。
氏は「本当は長編でやりたかった仕掛け」と語るが、これは中編でこそのトリック。
結末に怒る方も多いだろうが……ファンならずとも必読!


01.5.13
評価:★★★★ 8
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ミステリ感想-『ガラスの麒麟』加納朋子

2001年05月11日 | ミステリ感想
~収録作品~
ガラスの麒麟
三月の兎
ダックスフントの憂鬱
鏡の国のペンギン
暗闇の鴉
お終いのネメゲトサウルス

このミス11位、本ミス2位、日本推理作家協会賞 ――ガラスの麒麟


~感想~
連作短編集。
北村薫は、人の醜さをえぐり出す。加納朋子は、人の優しさをすくい上げる。
同じ地点から、同じものをつかみ取ったはずの二人が、どうしてかくも異なる地平にたどりついてしまったのか。
幻でもいい。人の優しさ、美しさを現出させ、わずかでも信じさせてくれる氏の暖かな言葉が、僕は好きだ。
この物語に僕は救われた。ただ一言だけ伝えたい。
「ありがとう」と、気どらずに一言だけ。


01.5.11
評価:★★★★☆ 9
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ミステリ感想-『魔法飛行』加納朋子

2001年05月10日 | ミステリ感想
~収録作品~
秋、りん・りん・りん
クロス・ロード
魔法飛行
ハロー、エンデバー

本格ミステリベスト100 74位、このミス6位


~感想~
『ななつのこ』の続編。連作短編集。
下手な論評をするよりも、氏自身の言葉で締めくくりたい。
「たとえ作り事でも、ご都合主義でもいい。謎があって、そして答えがある。なんて、シンプルなのでしょう?」
聞こえますか。ミステリを忘れたミステリ作家たち。もう逃げるのはやめてください。


01.5.10
評価:★★★☆ 7
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ミステリ感想-『悪魔のラビリンス』二階堂黎人

2001年05月09日 | ミステリ感想
~収録作品~
寝台特急《あさかぜ》の神秘
ガラスの家の秘密


~感想~
『寝台特急《あさかぜ》の神秘』
また機械的トリックかと危ぶんでいたら。練り具合は十分なのだが、破壊力は今ひとつ。よくできているのだが……。

『ガラスの家の秘密』
腰砕け。趣向はいいのだが真相がどうにも……。


~総括~
「大山鳴動して鼠一匹」 二階堂作品を読むたびに思いだすのがこの言葉。
大上段に構え「大仕掛けをしたぞ! すごいトリックだぞ!」と喧伝しておいて、フタを開けてみたら……。
※僕の勝手な印象です。


01.5.9
評価:★★ 4
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ミステリ感想-『星を拾う男たち』天藤真

2001年05月05日 | ミステリ感想
~収録作品~
天然色アリバイ
共謀者
目撃者
誘拐者
白い火のゆくえ
極楽案内
星を拾う男たち
日本KKK案内
密告者
重ねて四つ
三匹の虻


~感想~
『天然色アリバイ』
最後の逆転・皮肉が見事。

『共謀者』
巧妙。

『目撃者』
結末の皮肉さだけが見るべきところか。

『誘拐者』
初出が初出だけに……。

『白い火のゆくえ』
まさに“悪銭身に付かず”。

『極楽案内』
トリックがいまいち解りづらい。

『星を拾う男たち』
傑作。ゆすりの展開など巧妙絶技。

『日本KKK案内』
大団円……なのか?

『密告者』
結末がややあっけない。

『重ねて四つ』
ミステリ……と呼べるかは微妙だが軽妙なスラップスティック。

『三匹の虻』
本書中の二大巨頭。逆転逆転再逆転の展開に見事の一言。


01.5.5
評価:★★★★ 8
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ミステリ感想-『不在証明崩壊』アンソロジー

2001年05月05日 | ミステリ感想
~収録作品~
八反田青空共栄会殺人事件  ――浅黄斑
死体の冷めないうちに  ――芦辺拓
三つの日付  ――有栖川有栖
オレンジの半分  ――加納朋子
真犯人を探せ(仮題)  ――倉知淳
変装の家  ――二階堂黎人
シャドウ・プレイ  ――法月綸太郎
アリバイの泡  ――山口雅也


~感想~
タイトルは「アリバイくずし」と読む。

『八反田青空共栄会殺人事件』
なぜ新本格勢に混ざって氏が?

『三つの日付』
「五つの時計」に完敗。

『死体の冷めないうちに』
(ネタバレ→)車の線はどうしたの? それは疑問だが二重のトリックなどまずまず。

『オレンジの半分』
いまいち。

『真犯人を探せ(仮題)』
氏らしい佳編。運びます。

『変装の家』
このタイトルって……台無しにしてません? 素朴な疑問。

『シャドウ・プレイ』
なぜこれを選ぶ?

『アリバイの泡』
このシリーズにしてはあまりに出来が悪い。ひょっとして下書き?


~総括~
アリバイ崩しという感じのしない作品ばかり。


01.5.5
評価:★★ 4
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ミステリ感想-『雨女』泡坂妻夫

2001年05月03日 | ミステリ感想
~収録作品~
雨女
蘭の女
三人目の女
ぼくたちの太陽
危険なステーキ
凶手の影


~感想~
『雨女』
絶妙。裏に潜んだ真意が妖しくも切ない旋律をかなでる……とか気どったコメントは吐かない。(吐いとるがな)
あいつ、身勝手すぎ。でも巧み。参った。

『蘭の女』
印象は最も薄い一作。感想も思いつかない。

『三人目の女』
どこかでほぼ同じ着想の作品を見た。そればっかり気にかかって読後感薄。

『ぼくたちの太陽』
奇想。妙手。凄絶。納得。脱帽。感服。

『危険なステーキ』
たった一つの着眼点で、すべての謎が砕け散る。こういう作品、大好き。

『凶手の影』
残酷・酸鼻。それでいて軽快・滑稽。ブラックジョークが小気味いい佳作。


~総括~
細緻。しかしそれをうかがわせない軽妙さ。まさにまさにの泡坂作品。


01.5.3
評価:★★★★☆ 9
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ミステリ感想-『砂時計』泡坂妻夫

2001年05月02日 | ミステリ感想
~収録作品~
女紋

色合わせ
埋み火
三つ追い松葉
静かな男
六代目のねえさん
真紅のボウル
砂時計
鶴の三変


~感想~
ほぼ純文学短編集。にもかかわらず、この綺羅星のごとき傑作群はなんだ!? 泡坂妻夫って、本当にすごい。


01.5.2
評価:★★★★ 8
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