~あらすじ~
もし、現在の記憶を持ったまま10ヶ月前の自分に戻れるとしたら?
この夢のような「リピート」に誘われ、疑いつつも人生のやり直しに臨んだ十人の男女。ところが彼らは一人、また一人と不審な死を遂げていき……。
~感想~
SFファンという人種は理由や哲学がなければ納得しないのだろうか。
と愚痴ってみたのは、SFファンが口をそろえて「SF要素に哲学がない」だの「理由がない」だのと難癖をつけていたのが、どうも解らないのだ。
たしかに今作に登場するSF要素は完全に説明放棄である。なぜ起きるのかどういう原理なのか厳密な設定はどうなのか。そういったことは全く語られない。
だが今作はSFミステリとして最高の結実を見せた傑作である。
哲学や理由はないが、SF要素を最大に活かした、とびきりの謎がとびきりの真相をはらんでいる、SFミステリでしかなしえない境地にたどりついているのだ。
この作者ならではの、登場人物を突き放す結末の黒さと、ラストに語り手がつぶやく一言に誰もが「お前絶対そんなこと思ってねーだろ」と言いたくなるだろう、とってつけたような乾いた(それゆえに鋭く光る)感慨。見え隠れしつつ最後に慄然と立ち上がる主題もまたいい。
こんな面白い「小説」のSF部分にのみ的を絞って難癖つけるのはどうにも……。
まあ、ミステリバカという人種はフェアプレイや浪漫がなければ納得しないので、人のことはとやかく言えないのだが。
08.4.18
評価:★★★★☆ 9
もし、現在の記憶を持ったまま10ヶ月前の自分に戻れるとしたら?
この夢のような「リピート」に誘われ、疑いつつも人生のやり直しに臨んだ十人の男女。ところが彼らは一人、また一人と不審な死を遂げていき……。
~感想~
SFファンという人種は理由や哲学がなければ納得しないのだろうか。
と愚痴ってみたのは、SFファンが口をそろえて「SF要素に哲学がない」だの「理由がない」だのと難癖をつけていたのが、どうも解らないのだ。
たしかに今作に登場するSF要素は完全に説明放棄である。なぜ起きるのかどういう原理なのか厳密な設定はどうなのか。そういったことは全く語られない。
だが今作はSFミステリとして最高の結実を見せた傑作である。
哲学や理由はないが、SF要素を最大に活かした、とびきりの謎がとびきりの真相をはらんでいる、SFミステリでしかなしえない境地にたどりついているのだ。
この作者ならではの、登場人物を突き放す結末の黒さと、ラストに語り手がつぶやく一言に誰もが「お前絶対そんなこと思ってねーだろ」と言いたくなるだろう、とってつけたような乾いた(それゆえに鋭く光る)感慨。見え隠れしつつ最後に慄然と立ち上がる主題もまたいい。
こんな面白い「小説」のSF部分にのみ的を絞って難癖つけるのはどうにも……。
まあ、ミステリバカという人種はフェアプレイや浪漫がなければ納得しないので、人のことはとやかく言えないのだが。
08.4.18
評価:★★★★☆ 9