小金沢ライブラリー

ミステリ感想以外はサイトへ移行しました

ミステリ感想-『人間に向いてない』黒澤いづみ

2018年10月30日 | ミステリ感想
~あらすじ~
ニートや引きこもりの若者がある日突然、異形に変身する――。
平凡な主婦・田無美晴の一人息子も、その奇妙な病に侵された。
法的には死亡と見なされ、夫は無理解を貫くが、美晴は異形に息子として接しようと試みる。

2018年メフィスト賞


~感想~
まず断っておきたいのが本作はメフィスト賞を受賞したものの、広義のエンタメの方であり、ミステリ味はほとんどない。
せいぜい途中に挟まれる断章の意味が後から明かされるくらいで、ジャンル分けするならば、設定はホラーかSFなものの、やはり家族小説と呼ぶのが一番しっくりくるだろう。

メフィスト賞といえばここ数作は「N、N」、「コンビニ」、「異セカイ」と超やべえ受賞作ばかり輩出しているが、彼らと比べるのは申し訳ないほど筆は達者で、「異形性変異症候群」と名付けられた特殊設定とそれを取り巻く社会環境もなかなか細かくできており、舞台と物語自体がまず面白い。
ご都合主義というよりも王道と呼びたくなる展開に好みは分かれるかもしれないが、すいすい読めて理解もたやすく、何かしら考えさせられ、読み終えれば心に残ることは間違いない。
このところメフィスト賞はノベルスかタイガで刊行されてばかりだったが、純文学寄りということもあってか単行本で出しただけはある良作だった。
今回はメフィスト賞だからというだけで読んだので、もしミステリを書いてくれたらぜひ教えて欲しい。

余談だが本作の宣伝として田無美晴がInstagramをやっているそうだが絶対やるわけなくて笑った。


18.10.28
評価:★★★ 6
コメント

今週のキン肉マン #264 ふたつの宿願!!

2018年10月29日 | 今週のキン肉マン
・なんで解説マンにみんな背を向けてるんだろう
・地割れを力ずくで止めようとするなww
・六鎗客は地球でいうアイドル超人なんだな
・アイドル超人にギヤマスターがいるのか…
・「わかってもらえて嬉しい」もうわかり合ってるってツッコミ禁止な
・これ以上無いほど完璧な説明回だった
・友情パワーが星を救うために必要ならスグルは協力するよ?なぜ力ずくで奪おうとするの?という根本的な問いに、上手く理由をつけた
・スグルへの説明役としてパイレートマンが最適だった
・マ、マリキータマンだって全部知ってるゼブラが相手だからボッコボコにしただけで、スグルとやってれば説明するから
・あんな愚直に「好意は受けられない」と説明できるのはパイレートだけだろうけど
・ヘイルマンは細かいことはよくわからないでついてきてそうだけど
・神殺しという意味でサタンは「真の悪魔になりうる一族」と呼んだのか
・次に気になるのはサタンが六鎗客へどの部分に嘘を吹き込んで利用しようとしているのか
コメント

ミステリ感想-『十五年目の復讐』浦賀和宏

2018年10月25日 | ミステリ感想
~あらすじ~
作家の西野冴子が陥れられた罠。
始まりは一通のファンレターから。
「Mの女」の真実がいま語られる。


~感想~
続いたーっ! また続いたーっ!

まずは説明から。説明しなくてはいけないことが多すぎる。
本作は特に断りはないが昨年に発売した「Mの女」の純然たる続編で、電子書籍限定で配信されていた短編「メタモルフォーゼの女」シリーズをまとめ、完結編(?)の「十五年目の復讐」を書き下ろしたものである。
続編だから「Mの女」のネタバレ三昧のためまずはそちらから読んでいただきたい。

またファンなら章題を見ればわかる通り、作者の別作品とも関わっている。
特にノンシリーズ作品「地球平面委員会」のある意味で後日談が語られ、かの密室本「浦賀和宏殺人事件」で作者本人が登場しているのに、作中作「地球平面委員会」の作者として(【悲報】地球平面委員会、作中作になる)浦賀和宏をもじった人物が現れ、しかも結末が……と長年のファンを喜ばせるためだけに書かれたような代物である。

さらにはすでにシリーズ4作品+αを持つ桑原銀次郎がメインキャラとして登場し、自分は未読だが「松浦純菜シリーズ」とも関わっている様子であり、こうなれば大半忘れている「安藤直樹シリーズ」とも関わっていないわけがないはずで、浦賀和宏の集大成ともいうべき作品なのかもしれない。

そして最初に叫んだ通り、本作はまだ完結していない。いちおうの決着は付けられるが、動機その他の部分の解明は、作者がTwitterで何度か鋭意製作中とつぶやいている「カインの子供たち」に持ち越されてしまった。


ようやく本作の感想に入れる。
電子書籍で配信された3編は長編「Mの女」の背景を語るとともに、それぞれ別の事件や謎を抱える独立した短編としても読め、いずれも意外性ある良作揃い。
そして3編と「Mの女」をまとめ上げるのが表題作「十五年目の復讐」で、「Mの女」ではやばいくらい東野圭吾「白夜行」に近かった物語が、どちらかというと「幻夜」にシフトして行ったと思いきや、最終的にはやはり「白夜行」に急展開したのには笑った。
表題作はあくまで答え合わせと後日談に過ぎず、驚くような結末が無かったのはやや残念だが、そのあたりも次回作に持ち越しだろうか。

またエピローグは完全に蛇足にしか思えない。もはやお約束ではあるのだが、言ってしまえば日常茶飯事であり、ものすごく不穏な空気が漂ったのに結末がこれでは、有名な都市伝説の「そのバスに乗ってた人はもうみんな死んだんですけど」みたいな、あんだけ盛り上がってオチがちょっとした事故かい!と脱力感にさいなまれた。

個人的に面白かったのは最後の最後に、黒幕が思いつきのように口にしたあることで、あの人に手出ししたらあいつが黙っちゃいないわけで、もし実現すれば浦賀作品屈指の強キャラ二人が直接対決することになり、しかしいくら黒幕さんでもあの人絡みであいつに敵うとは思えず…といろいろ妄想した。これもファン向けのサービスの一つかもしれない。

とにかく次回作が楽しみである。
そしてファンを名乗るならいいかげん松浦純菜シリーズも読まなくてはなるまい。


18.10.25
評価:★★★☆ 7
コメント

ミステリ感想-『鳥居の密室』島田荘司

2018年10月23日 | ミステリ感想
~あらすじ~
2階部分に鳥居の先端が入った奇妙な家で、他殺死体が発見される。
現場は完全な密室で犯人の侵入経路は不明。
さらに2階で眠っていた少女の枕元には、サンタクロースからの贈り物としか思えないプレゼントが置かれていた。
学生時代の御手洗潔が堅牢な謎に挑む。


~感想~
冒頭、京都の街中を百鬼夜行が練り歩き、密室殺人犯とサンタの侵入経路の謎が現れ、若き日の御手洗が電光石火で謎を解き、早くも解決編が始まるのかと思いきや関係者の過去編が延々と描かれる。
むせ返るほどの島田荘司作品感に満ち溢れ、かなりの力技の気配がぷんぷん漂ったものの、過去編であっさり明かされるトリックの全貌はガリレオシリーズの短編で描かれそうなほどに地味。
何よりも歴代作品ではアヌビス神も都井睦雄も鎧武者の亡霊も現物ドーン!だったのに、百鬼夜行はただの幻覚で片付けられたのが実に残念。幻覚なら冒頭に出さないでくれよ…。

御手洗による解決編も、解決編というか答え合わせにとどまり、どんでん返しも特に無いものの、最後はちょっといい話で幕を閉じるため読後感は良好。
とはいえ前半に濃厚に漂う御手洗シリーズ感で恍惚に到れる島田荘司信者には勧められるが、それ以外のごく一般的な読者には取り立ててアピールできる要素がないのも事実ではある。


18.10.19
評価:★★★ 6
コメント

SCP-1621~1630

2018年10月21日 | SCP紹介
SCP-1621 - A Useful Plant
未翻訳

SCP-1622 - Cheese With Expensive Tastes (お高いお味のチーズ)
シロナガスクジラから作られたチーズ。完璧と称されるほど美味だが、食事の準備に使われた総額(部屋の調度品や調理器具、食器等も含む)が97,250米ドルを下回ると、一口食べた瞬間に平手打ちされたような衝撃を受け、さらに知性が低下する。差額が大きいほどダメージは深くなる

SCP-1623 - Night Marches (夜の行軍)
イタリアのある地域で起こる「夜の行軍」と呼ばれる現象。毎年の最高気温が記録される4日間の夜に、一部の地元住民が意識を失い、その幻影が独特の衣装をまとった二種類の集団に分かれ、平原で乱闘する。勝敗によって周辺の農業生産性や出生率が上下する

SCP-1624 - Heartworms (君のハートに寄生チュウ)
寄生虫専用の出会い系サイト。寄生虫たちがプロフィールを載せ宿主を募集しており、返信すると寄生虫がいないにも関わらず症状をきたす。やがて宿主は寄生虫と恋愛関係に陥り、その状態を「長距離寄生」と呼ぶ

SCP-1625 - Tradition (言い伝え)
ケニアのアマスキ族に伝わる神話。アマスキ族の始祖である族長について語ると、その結末が語る人ごとに必ず異なる。結末に沿って新たな族長の遺体が現れ、埋葬地や碑文の内容が変化する。アマスキ族の遺伝子を10%以上持つ者は、知識が無くとも神話を新たに思い出すため収容は困難

SCP-1626 - Drunkshirt (酔いどれシャツ)
硫化水素ガスを発生させるシャツ。着用し21分経過すると、繊維が体内へ侵入する。同時に麻酔薬とエチルアルコールを注入するため着用者は痛みに気づかず、酩酊状態に陥る。そして外気温と同等になるまで体内の熱を放出し、低体温症で死亡させる。その間ガスの匂いが強くなって行くが、死亡すると2日間はガスの放出が止まる

SCP-1627 - Mushroom Wars (キノコ大戦争)
ベニテングダケに酷似したキノコ。普通に摂食するとベニテングダケと同じ毒性を持つが、人間が血液に触れさせて直射日光の無い場所で食べると、異常効果を引き起こす。自分の血で条件を満たした者は全ての怪我や病気が回復し、長期間に渡り水や食料無しで生存出来る。また接触した人物の怪我や病気を治癒させるが、2週間後に老衰死する。他人の血で条件を満たした者は死体に寄生する菌類のような生物へと変貌する

SCP-1628 - Storage Tunnel #1812 (貯蔵トンネル#1812)
廃鉱山の地下にあるワシントンDCの実寸大の模型。真鍮と鉄で出来た人型実体が、1812年のワシントン焼き討ちを繰り返し再現している

SCP-1629 - Ready or Not (もーいーかい)
キャビネット。8~17週に1回、中に入れた物を排出して閉鎖される。その20~30分後に大気圏内に紙飛行機が現れ、キャビネット内部に入る。さらに20~30分後に紙飛行機も排出され大気圏外へと飛び去る。紙飛行機の進路を妨害されると速度を維持して貫通する。キャビネットに入る際に開かれるためハイスピードカメラで観測したところ、かくれんぼをしていると思われる文章が書かれていた

SCP-1630 - Human Food Pyramid (食品人間ピラミッド)
身体や衣服が食べ物で構成された人型生物達。成人と同等の知性や体力を持ち、3体以上集まるとアメリカ農務省が作成した食事ピラミッド図表に則った人間ピラミッドを作る。すると周囲の人物はそのピラミッドに応じた食事をした満腹感を覚え、無生物は形状の似た食物へと変換され、文章はバランス良い食事を呼びかけるものへと変わる。効果範囲は1時間に100mペースで拡大するが、人間ピラミッドを崩せば終息する
コメント

ミステリ感想-『アリバイ崩し承ります』大山誠一郎

2018年10月19日 | ミステリ感想
~あらすじ~
捜査一課の新米刑事がたまたま立ち寄った美谷時計店には「アリバイ崩し承ります」という奇妙な貼り紙があった。
「時計にまつわる依頼はなんでも受ける」という先代店主である祖父の遺志を受け継ぎ、孫娘の美谷時乃が挑む7つのアリバイトリック。


~感想~
こういうのでいいんだよ、こういうので。
ここ2冊ごちゃごちゃしたのと、くどくどしたのを読んだのでシンプル・イズ・ベストな本作は実に良かった。

余計な情報が出てきたら100%なんらかの手掛かりか伏線という作者らしい必要最低限の問題編に、1~2の質問だけであっさり全ての謎を解く安楽椅子探偵。アリバイ崩し or アリバイ探しに限定しながら、様々な手管で騙してくれる。
見たことある設定や見たことあるトリックを、発想の飛躍一つで傑作に昇華させた「赤い博物館」に勝るとも劣らない良作揃いで、そう来たか!と何度となく唸らされた。
特にお気に入りは、シリーズ設定とこういう無茶な話をやりますよという説明を同時に済ませつつ豪快なトリックを仕掛けた1話目「ストーカーのアリバイ」と、さんざん無茶苦茶やってきたからこそ通じてしまう4話目「失われたアリバイ」の2編。
2話ほど力尽きたか時間が足りなかったのかと疑う、シンプルにも程がある物も見当たるが、それでも何かしら秀でたところはあった。

「時を戻すことができました」という決め台詞、異常に頭良すぎるし採算度外視の5千円で引き受ける謎の美女、捜査情報を漏洩しまくる倫理観ゼロの新米刑事のコンビと、ドラマ化 or シリーズ化してくれと言わんばかりの設定に、あまりに本格ミステリ的なトリックの数々は例によってツッコミどころが山ほどあるが、こまけぇこたぁいいんだよ!と受け入れられる読者なら、間違いなく楽しめるだろう好短編集である。


18.10.16
評価:★★★☆ 7
コメント

ミステリ感想-『グラスバードは還らない』市川憂人

2018年10月16日 | ミステリ感想
~あらすじ~
大都会の中心に超高層タワーを構えた不動産王のヒュー・サンドフォード。彼が稀少な動植物を密輸入しているという情報をつかみ、マリアと漣は密かに捜査を始める。
だが裏ではヒュー所有のガラス製造会社の社員らが密室殺人事件に巻き込まれ、タワーでは爆発が起こる。


~感想~
酷い。謎の提示とパニックサスペンスは秀逸ながら肝心の真相が酷すぎる。
それ1つでメインを張れるようなネタをいくつも放り込んだ意欲は買うが、それを成立させ不可能状況を作るためだけに、あまりにも都合の良すぎる事態が2つや3つではなく4つも5つも起こっているのがまず興ざめ。
それはまだ許せるとしても某作のバカトリックを大真面目にこれが真相ですと出されても困る。困るどころかこれを認めればもはやなんでもアリになってしまい禁じ手にも等しい。
これでは舞台設定を80年代にした意味がほとんど無い、というか自ら首を絞めたも同然で、元からリアリティの乏しい都合良すぎる展開に都合良すぎるトリックまで絡めてしまい、バカトリックが明かされた途端にもう読む気を無くしてしまったほど。
某作では番外編かつ短編だから許されていたが、こんなものをシリーズ長編の中心に据えてしまっては、数年後には姑獲鳥の夏のアレや翼ある闇のアレや発勁のアレやコズミックみたいに、どこぞの掲示板で槍玉に挙げられても全然おかしくないし、いっそのこと思いっきり馬鹿にされればいいとさえ思う。

前2作は正統派の本格ミステリで、本作も謎の提示がなされた中盤までは抜群に面白かったのに、どうしてこんなことになってしまったのか。どうして誰も止めようとしなかったのか。意欲だけが空回りしてしまい非常に残念でならない。


18.10.15
評価:☆ 1
コメント

今週のキン肉マン #263 本当の侵略者!!

2018年10月15日 | 今週のキン肉マン
・ついに正式に明かされた始祖の粛清
・元気な始祖の姿を見られるのはうれしい
・一番プロレス技らしい技を掛けてるのに顔の怖さだけで一番怖いシルバーマン
・ああやって一人ひとりにアロガントスパーク掛けてるのに虐殺数一位って
・どんだけ掛けまくったんだよさすが虐殺王
・淡々とマッスルスパーク完成のための実験台にしていったんだろうな…
・だいたいアロガントスパークって一歩間違うと自分に大ダメージ返る技なんだぜ
・それを虐殺数一位になるくらい掛けまくってピンピンしてるなんて
・一方その頃兄も地獄の断頭台の実験台にしまくっていた
・それにしてもどうやったら二人同時にスピンダブルアーム掛けられるの?
・回転するたびに相手が入れ替わってるんだけど
・ジェロニモが二人いた誤植のオマージュかな?
・応募超人たちの屍の山www
・あんなに仲の悪いサイコマンとガンマンが仲良く研究所壊してるのほっこりするな
・回想で出てくるだけでもこんなに面白い始祖たち
・なんとか住める環境にした段階なのにもうリングがあるのがさすがゆで世界
・滅びゆく星を救うために地球から何かの力を抽出しなければならず、そうすると今度は地球が滅びる?
・後はそこにサタンがどう関わっているか
・正義超人二軍と運命の王子が見られて楽しかったがストーリーもいよいよ盛り上がってきそう
コメント

ミステリ感想-『ドッペルゲンガーの銃』倉知淳

2018年10月13日 | ミステリ感想
~あらすじ~
女子高生ミステリ作家の水折灯里はデビュー後第一作のアイデアをパクるため、キャリア警官の兄に不可能犯罪をねだり、現場に突撃取材を仕掛ける。
事件の謎を解いたと得意になったのもつかの間、兄に思わぬ異変が起きて……。

表題作の他、中編2作を収録


~感想~
半分でいい。絶対半分以下のページ数で書けるはず。
近年の作者は無駄にページ数を食っているがたったこれだけの内容にこんな分量は絶対必要なく、ここまで来てしまったかという印象。なんというかもっと読者のことを信用して欲しい。一から十まで説明する必要はないのだ。

くどくどくどくど同じ説明を繰り返し、誰も本格ミステリを読むに当たって疑ってもいないような前提条件をくどくどくどくど念を押す。その挙げ句に浮かび上がる犯人が本格ミステリの禁じ手のような条件を満たしていたり、トリックが一目瞭然では世話ないし、力を注ぐ場所を間違っている。
なんせ本格ミステリの中編集で、高速で3/4は読み飛ばしても全く支障が無い作品なんて初めて読んだかも知れない。他のミステリで文章が嫌になって読み飛ばしたことは多々あるがその時は普通に理解できず解決編で困ったのに、本作に関しては一切困らなかったほど無駄な描写が多すぎる。

たとえば指紋は無い、足跡に不審な点は無い、合鍵は無いなど、捜査の過程は最低限の描写で済ませればよいのだ。2018年の本格ミステリの読者は今さら指紋がハンコのような物で捺されていたり、足跡が逆向きに付けられていたり、こっそり合鍵を作れる余裕があったのではないかといちいち疑いはしない。ましてや本作はユーモアミステリである。厳密な捜査や推理の材料など誰も求めてはいない。2018年に雪の密室から後ろ歩きで帰ってたり合鍵をこっそり作ってたらそりゃ激怒するが、今さらそんなことはしないと我々は承知しているのだ。もっと読者を信用して欲しい。

また奇をてらったにしては探偵役のキャラも薄く、特殊設定ながらそこに連作短編集としての仕掛けがあるわけでもなく、登場シーンから何から何まで3話どころかエピローグまで同じ描写を繰り返すのもページの無駄。そもそもこの探偵役は必要なのか? 兄妹のどっちかで良かったのではないか?

近年の作者の個人的に駄目だと思う部分が凝縮されたような一冊だった。
個人的な好みは置いとくとしても、帯にあるような「今年度ベスト級」の作品などではないことは、他ならぬ作者が誰よりも承知しているだろうに。


18.10.12
評価:★ 2
コメント (2)

2/28のNXT #437  アダム・コールの罠

2018年10月11日 | 今週のNXT
タイラー・ベイト ×-◯ ベルベティーン・ドリーム
(パープル・レインメーカー)

ベイトがコミカルかつ軽快な動きで翻弄し先制するが、エルボーを浴びせて動きを止め、ベルベティーンが着実に技を決めていく。
ベイトにペースを握らせず、最後はトップロープ上の攻防からベイトを股間からロープに落とすことに成功し、すかさずエルボードロップを喰らわせベルベティーンが勝利した。


アダム・コール ◯-× セザル・ボノーニ
(レッグラリアット)

コールはマイクを手にするとボノーニをアンディスピューテッド・エラに勧誘しTシャツを渡すが、これは罠で返事を待たずに不意打ちで殴り倒してしまう。
得意げにアダム・コール・ベイベーを叫ぶが振り向きざまにボノーニに蹴り飛ばされ、みちのくドライバーまで被弾。危ういところをボビー・フィッシュがエプロンに上がり時間を稼ぐと、回復したコールがボノーニのフリ向きざまにスーパーキックをお返しし、後頭部に蹴りを叩き込んで小ずるく勝利した。


カイリ・セイン ×-◯ シェイナ・ベイズラー
(チョークスリーパー)

シェイナは地味に痛い打撃と関節技で苦しめるが、カイリは鋭いスピアーから反撃に乗り出すと、スライディングDとフライング・カブキ・エルボーを立て続けに喰らわせる。
さらに裏拳で殴り倒し超高度のエルボードロップを狙ったが、シェイナの蹴りで崩されると、ブレーンバスターの体勢で担ぎ上げ、チョークスリーパーに移行する必殺技らしきものに捕らえられ、あえなくタップした。


・次のNXT王座挑戦者は?

NXT王者アンドラーデ・シエン・アルマスが演説。帰り際にアリスター・ブラックが現れるが、さらにキリアン・デインも現れてブラックと殴り合い、クロスボディでなぎ倒して気勢を上げた。
コメント