ミステリ感想－『今はもうない』森博嗣

～あらすじ～
電話の通じなくなった嵐の別荘で起きた密室殺人。
二つのとなり合わせの密室で、姉妹は別々に死んでいた。
そこでは死者に捧げるがごとく映画が上映され続けていた。
そして、二人の手帳の同じ日付には「PP」という謎の記号が。


～感想～
このトリックには見事にハメられた。こういうのは（ネタバレ→）名づけるなら“シリーズファン限定叙述トリック”　意外と今までなかったのでは？　しゃれた幕間のタイトルにも拍手。森氏の作品中でも屈指の衝撃を受けた。


評価：★★★☆　７

ミステリ感想－『白い家の殺人』歌野晶午

～あらすじ～
真冬の山荘で、深夜、女子高校生の死体が発見される。
現場は密室状態で、不可能犯罪に思える。
青年探偵が調査を開始したとき、あざ笑うかのようにまたもや惨劇が……。


～感想～
『家シリーズ（？）第二弾』。
前作よりは洗練されたものの、トリック自体はややインパクトの薄れた印象。
作者自身がまだ自分のスタンスを計りかねているような……。探偵ともども試行錯誤を重ねる、初々しい作品。


評価：★☆　３

ミステリ感想－『夢の密室』泡坂妻夫

～収録作品～
石の棺
蛇の棲処
凶漢消失
トリュフとトナカイ
ダッキーニ抄
夢の密室


～感想～
泡坂作品初のハズレ。見るべきところは「こんなものも書くんだ」という目新しさのみ。言いすぎ。
野心作ではあるが、退屈。だから言いすぎ。


評価：☆　１