~あらすじ~
カルト教団「人民教会」は迷走の挙げ句に集団自殺を遂げた。
教団の闇を暴くために潜入した名探偵は、奇蹟を信じる人々と対峙する。名探偵の推理は奇蹟に勝てるのか?
~感想~
これはすごい。(※プロットにややネタバレ注意)
よく似たタイトルの「名探偵のはらわた」と同様の趣向で、実在の「人民寺院事件」の経緯をなぞりつつ、そこに多重解決と特殊設定ミステリ、狂人の論理etcetcをぶち込んだとんでもない作品である。
これまでSF界隈でも注目されるぶっ飛んだ設定や、他の追随を許さないグロテスクな要素を活かしたグロトリックをグロ伏線からグロ推理で解いてきた作者だが、今回はSFもグロも控えめ。だが異形の論理は健在で、奇蹟を信じる人々にそれぞれの立場からの論理でそれぞれの解決を試みる。
この完成度がとんでもなく高く、どれもミステリ長編の真相にふさわしい論理のキレと伏線を完備しながら、その視点の変化に伴い明確に否定もされてしまうのだ。同じ手掛かりと同じ伏線を用いながら、全く別のいくつもの真相を導き出す超絶技巧である。
伏線はトリックと推理と物語のために無数に張り巡らされ、無駄な描写が1つも無いとすら言えるすさまじさで、最後まで伏せられていたあることも、残された謎と伏線をまとめて回収する手際の良さで、あまりにすごすぎてちょっと笑ってしまったほど。
SF・グロ控えめで広く読者を受け入れ、綺羅星の如く有名作家が集まった9月出版と条件は全てクリアされ、本ミス1位はまず間違いないのではなかろうか。
22.9.29
評価:★★★★★ 10
カルト教団「人民教会」は迷走の挙げ句に集団自殺を遂げた。
教団の闇を暴くために潜入した名探偵は、奇蹟を信じる人々と対峙する。名探偵の推理は奇蹟に勝てるのか?
~感想~
これはすごい。(※プロットにややネタバレ注意)
よく似たタイトルの「名探偵のはらわた」と同様の趣向で、実在の「人民寺院事件」の経緯をなぞりつつ、そこに多重解決と特殊設定ミステリ、狂人の論理etcetcをぶち込んだとんでもない作品である。
これまでSF界隈でも注目されるぶっ飛んだ設定や、他の追随を許さないグロテスクな要素を活かしたグロトリックをグロ伏線からグロ推理で解いてきた作者だが、今回はSFもグロも控えめ。だが異形の論理は健在で、奇蹟を信じる人々にそれぞれの立場からの論理でそれぞれの解決を試みる。
この完成度がとんでもなく高く、どれもミステリ長編の真相にふさわしい論理のキレと伏線を完備しながら、その視点の変化に伴い明確に否定もされてしまうのだ。同じ手掛かりと同じ伏線を用いながら、全く別のいくつもの真相を導き出す超絶技巧である。
伏線はトリックと推理と物語のために無数に張り巡らされ、無駄な描写が1つも無いとすら言えるすさまじさで、最後まで伏せられていたあることも、残された謎と伏線をまとめて回収する手際の良さで、あまりにすごすぎてちょっと笑ってしまったほど。
SF・グロ控えめで広く読者を受け入れ、綺羅星の如く有名作家が集まった9月出版と条件は全てクリアされ、本ミス1位はまず間違いないのではなかろうか。
22.9.29
評価:★★★★★ 10