小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『満願』米澤穂信

2014年11月30日 | ミステリ感想
~収録作品とあらすじ~
夜警
夫婦喧嘩の仲裁で、なぜ部下は殺されたのか。
いつかこうなるのではないかと、殉職させたくないと思っていたのになぜ。
上司の柳岡は遺族に話を聞き、意外な真相に気づく。

死人宿
山深い宿で失踪した恋人は働いていた。
そこは「死人宿」と呼ばれる自殺志願者の集う宿で、脱衣所の籠から遺書らしき手紙が見つかる。

柘榴
女たらしの夫との離婚を決意した妻。
だが二人の娘は母とは別の思惑を抱き、ある計画を実行に移す。

万灯
天然ガス採掘のためバングラデシュに赴いた男。
だが交渉は難航し、やがて二人の男の死に関わることになる。
男に裁きをもたらしたものとは?

関守
次々と車が転落死する都市伝説を求め、峠の茶屋を訪れたライター。
一人で店を営む老婆は犠牲者たち全員と面識があった。老婆が語り、そして都市伝説が始まる。

満願
弁護士の私が学生時代、下宿していた畳屋の妻が借金を苦に人を殺した。
彼女はなぜ減刑を拒み服役を受け入れたのか。


~感想~
以前「米澤穂信は小説力が高い」と評したように器用な作家だとは思っていた。しかしこのミス等にランクインした「追想五断章」や「儚い羊たちの祝宴」などの短編集は平均点は高いものの、個人的に突き抜けたものは感じなかった。
長編の「折れた竜骨」は年間ベストにも推した傑作だが、異世界本格というジャンルゆえに壁を乗り越えたと理由をつけていた。
だがこの「満願」の素晴らしさはどうだ。6編いずれも泡坂妻夫や連城三紀彦と並べても全くひけをとらない。それどころか彼らよりも一層「本格ミステリ」であることを意識した筆致で、描写の一つ一つに丹念に伏線を織り込み、謎と真相と解決を一本の線で貫き、しかも一編の物語としてもまるで長編ばりの濃密さの高水準で成立させている。この「満願」をもって米澤穂信は大化けしたと断言して構うまい。

各編の感想は個別に書かないが、いずれ劣らぬ極上の傑作揃い。なんといっても伏線大好き人間としては、さりげなくも周到に張られた豊富な伏線に恐れ入った。
また舞台設定や語り手の立場も様々で、結末もそれぞれ皮肉なものからホラーそのものなものまで違った味わいで、ラノベを皮切りにミステリ、SF、ファンタジーとあらゆるジャンルを網羅してきた作者の懐の深さを感じさせる。
一編ベストを挙げるなら(とベストを挙げるのにもさんざん迷わされたが)「関守」が最も好みで終盤、人の良い老婆のやわらかな語り口のそこかしこに張りめぐらされた伏線が怒涛の勢いで連鎖爆発していき、最後には怪異として全てを取り込むという出色の作品。ホラーもここまで描けるとは!

6編そろってハズレ無しどころか、6編そろって年間ベスト級。これは10点満点を付けざるをえない。


14.11.28
評価:★★★★★ 10
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ミステリ感想-『デビル・イン・ヘブン』河合莞爾

2014年11月29日 | ミステリ感想
~あらすじ~
2020年、東京に建設されたカジノ特区「聖州」。
刑事の諏訪は、雑居ビルから転落死した男のそばに落ちていたカードに不審の念を抱く。
伝説的なギャンブラー、死神のような男、陰謀を追う男女、帰国子女の政治家。彼らを天上から見下ろすのは天使か悪魔か。


~感想~
新進気鋭の作者が3作目にして早くも出したノンシリーズ長編。
制定間近のカジノ法を題材に、近未来を舞台にしたためまず説明が長いのがネック。風景描写はもちろんのことカジノ周りの(本作独自の)法律の説明や近未来のガジェットに多くの筆が費やされ、前半は非常に肩が凝る。
物語の展開はハードボイルドというには少々過剰かつ安直なB級近未来SFアクションといった雰囲気で、登場人物は基本的に善人か悪人かの二極化されており、水戸黄門の悪代官ばりにわかりやすい悪人による陰謀が繰り広げられ、死ぬほど単細胞な庶民たちが金と命を吸い上げられる、時はまさに世紀末状態。
黒幕との対決は使い古された新味のない手で決着するも、無理のありすぎる軌道修正から俺たちの戦いはまだ始まったばかりなエンディングを迎えるのも物足りない。最後の最後に現実を超越させて締めくくるのは良かったが、それとてやはりB級のにおいがそこはかとなくただよってしまう。

また主人公格の諏訪刑事を筆頭に多くの登場人物がギャンブル全般に激しい憎悪を燃やすものの、諏訪はともかく他の面々にはさしたる理由が無かったり、実在の認知症ケアまで国民殺害計画に組み込まれたりと、個人的にどうにも居心地が悪い描写が多かったのも厳しい。スロカスで正直スマンカッタ。
間違いなく労作にして佳作ながら、ハードボイルドと呼ぶにはB級すぎ、社会派と呼ぶには世紀末すぎる作風で、個人的にはあまり口に合わなかった。


14.11.27
評価:★★☆ 5
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今週のNXT #250

2014年11月28日 | 今週のNXT
ベイリー ×-◯ ベッキー・リンチ
(サーシャ・バンクスの介入→タイツつかみスクールガール)

入場はフェイス時代と同じだったベッキーだが試合が始まるとロープを悪用したラフファイトで優位に立つ。
対するベイリーも髪をつかむ反則をやり返し反撃開始。お前はそれやっちゃ駄目だろ。
だがエプロンに逃れたベッキーをつかまえたところで、セコンドについていたサーシャ・バンクスがベイリーの気を逸らす。すかさずベッキーはロープにベイリーの首を叩きつけると、スクールガールで丸め込み、ついでに思い出したようにタイツを掴んで3カウントを奪った。

試合後もサーシャらはベイリーに絡もうとしたが、女子王者のシャーロットが現れて暴行を阻止。
かつてサーシャと喧嘩別れをしたシャーロットは彼女に関わらないようベイリーに忠告した。


ボードビレインズ(エイダン・イングリッシュ&サイモン・ゴッチ) ◯-× 偽ルチャ・ドラゴンズ
(ゴッチの後頭部へのアッパーカット→イングリッシュのネックブリーカー)

タッグ王座への挑戦権を手に入れたらしいビレインズが王者のルチャ・ドラゴンズを呼び出すが、現れたのはマスク以外に共通点のないミゼットレスラー二人組。
試合をするつもりはなかった二人組を相手にビレインズは代わる代わる暴行を働き、最後はご丁寧にツープラトンを決めた。
フェイス色の濃かったビレインズにヒールへの軌道修正を図ったようだ。


・2014年12月11日の予告

NXT王者になると豪語する何者かが、12月11日に現れるのを予告するプロモが流された。


バロン・コービン ◯-× エリアス・サムソン
(エンド・オブ・デイズ秒殺)

先週と同じくゴングと同時に観客がカウントを開始。22秒で試合は終わった。


ブル・デンプシー ◯-× スティーブ・カトラー
(ダイビングヘッドバッド)

コービンが退場するのと入れ違いにデンプシーが登場し、CMを挟まずに四試合目が開始。
観客はまたもゴングと同時にカウントを始めるも、ヒール気味のデンプシーは期待に応えるつもりはなく、じっくりとカトラーを料理。
22秒を過ぎると観客は逆にカトラーを応援しだしたが、デンプシーは動じることなく1分足らずで勝利を収めた。


タイソン・キッド ◯-× CJ・パーカー
(シャープシューター)

ヒール同士の一戦で微妙に興味の持てない観客は双方に声援を送ったり、タイソンと妻ナタリヤの出演する別番組のタイトルを叫んだりと勝手に盛り上がる。
タイソンはパーカーを実験台にするようにロープをくぐってハンマーロックを入れ替わったり、ロープ悪用ドラゴンスクリューを披露したりと翻弄。
ライトニングスパイラルからのシャープシューターでパーカーをタップさせると、マイクを手にしフィン・ベイラーと来週戦うことを表明した。


エンツォ・アモーレ&コリン・キャサディ ◯-× スコット・ドーソン&ダッシュ・ワイルダー
(エンツォのマンハッタンドロップ→キャスのビッグブート)

例によってじゃんけんでエンツォが先鋒に決まったが、久々に登場したドーソン組の連携に苦しめられる。
しかしキャサディに交代すると圧倒的な体格差でビッグ・キャスが大暴れ。エンツォのマンハッタンドロップからキャサディのビッグブートにつなげるツープラトンでドーソンを一蹴し、エンツォがフォールを奪った。

しかし試合後、アセンシヨンが現れエンツォ組とドーソン組に無差別攻撃。
ワイルダーにフォール・オブ・マンを決めると、観客からの「あと7回!」という無茶ぶりを無視してヒデオ・イタミ&フィン・ベイラーへの報復とタッグ王座への返り咲きを訴えた。


・サミ・ゼインがNXT王座への再挑戦を要求

先週、騙し討ちのような形でエイドリアン・ネヴィルに敗れたゼインが、ネヴィルを呼び出して再戦を要求。しかも負けたら自分はNXTを去ることを条件に挙げた。
足を引きずって現れたネヴィルが「試合はGMが決めることだ」とはぐらかそうとするとゼインは激昂。口論が始まるとGMのウィリアム・リーガル卿が出てきて12月11日の特番での対戦を決めた。

ゼインは負ければNXTを去り一軍昇格となるだろうから、勝敗はいちおうわからないか。
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ミステリ感想-『あした天気にしておくれ』岡嶋二人

2014年11月25日 | ミステリ感想
~あらすじ~
3億2千万円で落札された期待の若駒セシアが、デビュー前に再起不能の骨折をした。
管理する鞍峰牧場は骨折の隠蔽をもくろみ、セシアの狂言誘拐を企てる。

83年文春3位、江戸川乱歩賞・候補、吉川英治文学新人賞・候補、本格ベスト91位


~感想~
エイシンサンディのように良血なら未出走でも種牡馬にしてある程度の投資は回収できるのでは…と競馬ファンなら思うところだが、本作の刊行はエイシンサンディがまだ産まれてもいない1983年で、狂言誘拐を企てた中心人物もあるいは窓際に追いやられていたり、あるいは資金面で苦心していたりと、犯行に踏み切らざるをえない事情があり、さほど無理は感じない。
そしてすでに設定の段階で面白い物語が、中盤から思いもよらない展開を見せ、倒叙形式でありながら謎解きの妙も味わえるという凝った構成で、誘拐に関するあるトリックも「競馬ミステリ」にふさわしい意外性あるもので、なんとも言えない結末まで気を抜かせない。
誘拐・競馬・倒叙と様々な要素が絶妙にかみ合った良作である。

ここからは余談だが、本作は江戸川乱歩賞の最終候補に残るも「トリックが実現不可能で前例もある」ことを理由に落選したという。
作者は文庫版のあとがきで反論しており、まず「トリックが実現不可能」なのは(乱歩賞の選考をした)現時点でのことで、作品の時代に設定した1981年には可能だったという。そもそも「現時点で不可能」が認められないなら全てのSFミステリや捕物帖が存在し得ないではないか。
また「トリックに前例もある」には「競馬の外の社会で頻繁に行われていることからの応用」で「この小説のトリックを思いつくための入口は、あちらこちらにゴロゴロしている」と皮肉交じりに反論しており、これだけの良作を難癖としか思えない理由で落とすとは(後に落選させながらも刊行してくれたとはいえ)新人賞の選考というものを有望株を潰すための場だと勘違いしている輩は80年代の昔からはびこっていたのだなあと思わずにはいられない。


14.11.23
評価:★★★☆ 7
コメント (3)

ミステリ感想-『人間の顔は食べづらい』白井智之

2014年11月23日 | ミステリ感想
~あらすじ~
動物全般に感染するウィルスによって肉食が忌避された近未来。日本は食肉としてクローン人間の培養を認めた。
頭部は切り落として各家庭に配達されるはずが、「食人法」を制定させた政治家のもとに、生首が届けられた。

14年横溝正史ミステリ大賞の最終候補に残り、物議をかもした問題作がついに刊行!


~感想~
世間的には元芸人が獲ったらしい大賞が話題になっているが、ミステリマニアの間では完全に逆で、最終候補から一発逆転で刊行されたこちらのほうが話題の的。
評判にたがわぬ年間ベスト級の問題作である。

まず設定だけ見ればここからユーモアミステリが始まりそうだが、あにはからんや大真面目に物語が展開してしまう。
登場人物も金髪の民間探偵、多重人格を気取る中二病患者、パンクをこよなく愛する風俗嬢と悪い意味で多士済々、作者は平成生まれの24歳と来れば手に取るのも躊躇するところだが、一皮むけば多重人格ならぬ多重解決と鋭い論理をあわせもったド本格ミステリなので安心して頂きたい。

カニバリズムを扱いながらも「食人」という厄介な題材はすでに日常へ溶け込んでおり、実はあまりその方面で深い議論はされず、一歩間違えばグロい描写も淡々と描かれるので、ほとんど気にならない。
話の肝となるのはやはり鋭い論理性で、生首配達事件について入れ替わり立ち替わり推理が行われるが、そのどれもが一定以上の説得力を持っており、特に終盤で披露される推理は、論理も伏線も見事にはまり、意味ありげなタイトルも絡んで膝を打たせておきながら……そこからさらに物語は二転三転し、まったく思いもよらない着地を決められて茫然自失となった。
いろいろと粗い点も散見されるものの、多重解決を用いた作品の中では、今まで読んだ中でも最も優れているかもしれない、とまで思ったり。(推理の枠組みはそのままに真相だけが次々と変遷する三津田信三を別とすればだが)

おそらくこんな尖った題材をわざわざ用いずとも傑作を書けそうな作者だが、次回作は何を出してくれるのか心の底から楽しみで仕方がない。続編とは行かなくても「食人法」の存在する設定は引き継ぎそうな気が。


14.11.21
評価:★★★★☆ 9
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ミステリ感想-『プラスティック』井上夢人

2014年11月22日 | ミステリ感想
~あらすじ~
向井洵子はもう一人の自分の影に怯えていた。
図書館で洵子名義で会員になり、たびたび夫の職場へも電話を掛けているもうひとりの自分。
そして彼女の恐怖の日々をつづったフロッピィが隣人・奥村恭輔のもとへ届けられる。

94年このミス11位、文春9位


~感想~
手記・独白・もうひとりの自分・記憶喪失・信用のできない記述者・頭を殴られ失神と、はじめは折原一を読んでいるような錯覚にとらわれるが、かなり早い段階で真相におおよその察しがつく。
中盤にはあっさりネタも割られ、さてこれからどう展開するかと期待していると……特に進展も反転も起きないまま、後半はほとんどが単なる説明に費やされ、あっけなく幕を閉じてしまった。
読み返してみればよく考え抜かれた構成で、余韻と印象を残すラストも素晴らしいのは認めるが、あまりにあんまりである。
ネットの感想などを見ると「まさか(ネタバレ→)全員が同じ人物だったなんて!」とか書かれているが、いやいやこの流れで行けばむしろそれは必然かつ当然であろう。あと読書メーターという所はネタバレのネの字も考慮されていなくて、ぼくはとてもこわいところだなあとおもいました。
ネタバレ防止機能があっても使う側に防止する意志がなければ無意味。

それはともかく3冊読んで岡嶋二人はこれからも読むべき作家だと思ったが、3冊読んで井上夢人は当分読まなくてもいいかなと思った次第である。


14.11.20
評価:★★☆ 5
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今週のNXT #249

2014年11月21日 | 今週のNXT
・フィン・ベイラーことプリンス・デヴィットが登場。

WWE入りがうれしくてしかたないベイラーは、お前は怪奇派レスラーかと思うような必要以上にねちっこい入場を見せる。
そしてしゃべり始めたのもつかのま、妻同伴のタイソン・キッドとジャスティン・ガブリエルが絡んでくる。すかさずヒデオ・イタミが駆けつけると、ウィリアム・リーガルGMの命令でタッグ戦が決まった。


ヒデオ・イタミ&フィン・ベイラー ◯-× タイソン・キッド&ジャスティン・ガブリエル
(ダイビングフットスタンプ)

序盤はベイラーが圧倒するも、二人あわせて5度のタッグ王座経験を誇るタイソン組は巧みな連携でベイラーを孤立させる。
だがベイラーはオーバヘッドキックで脱出するとヒデオに交代。ヒデオは蹴りの連打とドラゴンスクリュー、ドロップキックでタイソンを倒すもガブリエルがカット。
ベイラーが救援に出てきてタイソン組をストンピングで対角線上のコーナーにもたれさせると、先週も見せたヒデオとのドロップキックの競演を披露。
最後はベイラーがフットスタンプをガブリエルに叩き込んで試合を決めた。
一軍のタッグ屋を沈め、まずはNXTタッグ王座が照準に入ったが、なにぶん現タッグ王者はフェイスのため試合が組みにくそうではある。こんなことになるならアセンションがタッグ王座のままでよかったのに。


アレクサ・ブリス ×-◯ サーシャ・バンクス
(バンク・ステートメント)

ただのボーアンドアローバックブリーカーを解説に「これまでに見たことのない斬新で強烈な関節技」と絶賛されながらサーシャが攻め立てる。WWEの解説は人を問わずオーバーかつ適当。
アレクサのルチャ系の技に反撃される場面もあったが、同伴したベッキー・リンチが手を出すまでもなく、最後はバックスタバーからのジャストフェイスロックでサーシャが危なげなく勝利した。


ルチャ・ドラゴンズ(シン・カラ&カリスト) ◯-× バディ・マーフィー&ウェズリー・ブレイク
(セントーンボム)

出番は増えたが初勝利の遠いブレイク組がタッグ王者を相手に健闘。数週間前にも対戦した両者だが、つかまっているのがシン・カラかカリストかかの違いだけで試合の流れがほぼ同じ。ブレイクが中途半端なロメロスペシャルに固めたカリストの首にマーフィーが飛び乗るツープラトンは良かった。
試合はカリストが華麗な空中技でマーフィーを排除すると、シン・カラがスクールボーイの体勢からブレイクを腕力で持ち上げて投げっぱなすルチャでもなんでもない技でしとめ、セントーンボムでとどめを刺した。


NXT王座戦
エイドリアン・ネヴィル ◯-× サミ・ゼイン
(スモールパッケージホールド)防衛成功

観客の後押しを受けるゼインはかつてなく落ち着いた試合運びでネヴィルを翻弄。
ネヴィルは鋭いキックで巻き返しを図るもゼインのパワーボム、ジャーマンスープレックス2連発からの投げっぱなしハーフネルソンスープレックスと大技を立て続けに喰らう。
だがヘルーバキックをカウンタのブートで跳ね返すと、ハイキックで倒しレッドアローを敢行。これをゼインが寸前でかわすと、自爆したネヴィルは右膝を負傷。
ゼインはヘルーバキックを狙うがレフェリーが止めに入り、ゼインも心配して近寄ったところ、ネヴィルがいきなり丸め込んで3カウントを奪ってしまった。
ヒールターンしたわけではなく、右膝の負傷からやむなく汚い手を使っただけのようで、試合後もネヴィルは右膝を抱えていた。不透明決着となったため、またラダー戦あたりで再戦だろうか。
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ミステリ感想-『ずっとあなたが好きでした』歌野晶午

2014年11月19日 | ミステリ感想
~あらすじ~
数々の恋と別れが描かれる13編の恋愛短編集。
恋なんて、うまくいく時もあれば、うまくいかない時もある。
うまくいかなかったからといって、嘆くことも涙にくれることもない。
新しい恋を見つければ、はじまりの時の格別さをまた味わえる。


~感想~
これはなんと呼ぶべきか。「葉桜の季節に君を想うということ」にも比肩する作者の新たな代表作と呼ぶべきか、歌野晶午が叩きつけた「イニシエーション・ラブ」への挑戦状と呼ぶべきか。
いずれにしろ今年度を代表する傑作である。

一見ただのミステリ風味ただよう恋愛小説集だ。
だがまずその一編一編の平均点が高い。歌野晶午にこれだけ様々な形の恋愛を描く腕があったのか(失礼)と思うくらい、多彩な物語に驚かされる。
多岐にわたるシチュエーションと、連城三紀彦や泡坂妻夫ばりと言っては褒めすぎだが、それなりに意外性を持ったストーリー展開で、恋愛物などアニメの「タッチ」を母や姉の横でなんとなく眺めていたくらいの自分でもわりと普通に楽しめてしまえる。
そして終盤、そんな小学生並の感想など一気に吹き飛ばす、すさまじい真相が現れるや目を剥いた。
やはり真っ先に思い出したのは「葉桜」よりも「イニシエーション・ラブ」で、思わず「ど●●●●●●●●●●●●●●●(完全にネタバレ→)いつもこいつもお前だったんかい!!」と絶叫したくなった。

正直さほど興味の持てない恋愛短編を13編も付き合わされるのは苦痛になりかけていたのだが、終わってみればこの一発ネタは13編そろってはじめて威力を発揮するものであり、また大ネタが明かされた後に、作者の悪癖として例によって蛇足的に数編続いてしまうのだが、そのラスト数編が本作に限っては素晴らしい余韻と後味を残すもので、これまで着地に失敗し続けてきた(と個人的に思う)作者がついに完璧な着地を決めてくれたといったところ。
恋愛(?)本格ミステリ四天王を挙げるなら、乾くるみ「イニシエーション・ラブ」、麻耶雄嵩「隻眼の少女」、牧薩次(辻真先)「完全恋愛」、そして本作を推薦したい。

私的2014年ランキングを作るにはまだ7冊読まなければいけないが、もうこれで1位は確定でいいんじゃないだろうか。


14.11.17
評価:★★★★★ 10
コメント (4)

ミステリ感想-『無貌伝 ~最後の物語~』望月守宮

2014年11月18日 | ミステリ感想
~あらすじ~
世界で唯一の人間のヒトデナシ・無貌は変容しつつあった。
顔を奪われた仮面の探偵は無貌を追い、探偵の妻・遥は無貌を殺そうとする。
無貌が創り出そうとする楽園で待つのは希望か、絶望か?


~感想~
シリーズ完結編。
探偵譚としては二作前の「探偵の証」で完結し、シリーズ全体の謎は前作「奪われた顔」で明かされており、本作は無貌伝という物語を終わらせるためのものに過ぎない。
したがって鋭いトリックも意外な展開もほとんどなく、収まるべきところへ静かに収まっていくだけの話なのだが、まず驚かされるのはその薄さ。最終巻でありながらなんと200ページ足らずである。
まったくなんの他意もないのだが「根こそぎラジカル!」と叫びたくなるほどの薄さにビル・ゲイツもびっくりだ。
作者自身にも予想外だったらしい「探偵の証」の結末があまり活かされていなかったり、終盤などむしろページ数が足りなくて瀕死のはずのあの人がマシンガントークを披露する羽目になっているが、それはともかくデビュー作から続くシリーズを、無駄に長大化させることなく最後までこれだけ冷静に描き上げたのは賞賛すべきだろう。

(↓以下ネタバレ↓)
そして一番驚かされるのは仮面の探偵の「何もしていなさ」だ。もう本当に何もしていない。
「夢境ホテルの午睡」のラストで名探偵史に残るような超カッコイイ宣戦布告をしておきながら、終わってみればこちらも名探偵史に残るくらい何もしていない。貴族探偵のほうがよっぽど能動的に動いている。
無貌伝の探偵役はあくまで古村望であり、仮面の探偵はせいぜい狂言回しに過ぎず、彼にできることは「奪われた顔」でやった種明かしくらいのもので、探偵不在の最終巻がミステリでは無くなったのは必然なのかもしれない。


ともあれ稀有のシリーズは幕を閉じた。外伝や続編も余裕で作れそうだが、やはり次は作者の別シリーズやノンシリーズを読んでみたい。
再始動が心から楽しみである。


14.11.15
評価:★★★ 6
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今週のキン肉マン #111 裁かれる実力!!

2014年11月17日 | 今週のキン肉マン
・だからこれは誰が実況してるんだ
・二郎(アシュラ)はギルティオアノット・ギルティ?
・やだ……ジャスティスマンのファイトスタイルかっこいい
・「ハワァーッ」はいちいち気の抜ける掛け声だが、グロロ…ストロング・ザ・武道ばりに「ただ強い」だけの個性が光る
・タービンストームはどこでどう竜巻を起こしてるのかわかりづらいのが魅力
・あとこれも「悪魔を舐めるな」そっくり
・遅れる腕がミロスマンの腕なんだろうな
・アシュラマンのターンは必ず来るだろうが、改良阿修羅バスターかアルティメット阿修羅バスターをどう破られるか見もの
・正攻法の力ずくで破られたらもうアシュラマンに打つ手はないな
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